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旭川新聞「田中良太のニュースを読む」第9号=2003年10月31日
(金)執筆=掲載日は11月4日(火)
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自民党と協調する巨大メディア
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ちょっとした必要があって、過去五回の総選挙での、自民党得票数を調べて
みた。自民党は一貫して得票を減らしていることがわかり、自分でもびっくり
した。
一九八六年七月総選挙(中曽根内閣=衆参ダブル選挙)では三、〇九九万票
を数え、有史以来の圧勝を勝ち取った。八九年七月参院選での惨敗をうけた九
〇年二月総選挙(海部内閣=体制選択選挙)でも三、〇三一万票を獲得、自民
党政権を維持した。しかし九三年七月総選挙(宮沢内閣不信任案成立による解
散)では、二、三〇〇万票と大きく得票を減らし、野党に転落してしまった。
その後、村山政権を経て、政治は自民党政権に回帰した。しかし自民党の得
票数は減少し続けた。九六年一〇月行われた小選挙区比例代表並立制初の選挙
(橋本内閣)では、小選挙区で二、一八四万票▼比例区で一、八二一万票とな
った。二〇〇〇年六月総選挙(森内閣)では、小選挙区が二、四九五万票と得
票増に転じたものの、比例区では一、六九四万票と落ち込み続けた。
二〇〇〇年総選挙の大きな落差は、小選挙区で公明党票が自民党に流れ込ん
だことによって起きた。自民党の「実力」は、比例区の得票数だと考えるべき
だろう。自民党の得票能力は、三、〇〇〇万票の時代からみると、その半分近
くにまで落ち込んでしまったのである。
政権を維持しているから、自民党は総選挙で負けていないかのような印象を
受ける。しかし得票数減という「敗北」を続けていることは、数字が物語るの
である。
得票数減は通常、議席減をもたらす。少ない議席で政権を維持するには、連
立という手法がある。イデオロギー的には相容れないはずの社会党とも連立し
た。宮沢内閣不信任案に賛成し、自民党の政権独占を終わらせた裏切り者・小
沢一郎氏の保守党とも連立した。政権維持のためには、どんな政党とでも連立
を組むという無節操ぶりである。
得票数減を議席減に直結させない手法もある。投票率を下げればいいのであ
る。事実、この五回の総選挙では、投票率が下がり続けた。
投票率を低下させるには、政治をばかばかしいものにし、有権者に「投票に
よって政治を変えことは不可能だ」という無力感を持たせるのがいちばんだ。
二年前の春、小泉・真紀子フィーバーをあおり立て、いままた安倍晋三幹事
長を持ち上げている女性週刊誌あたりが、自民党にとって最も都合がよいメデ
ィアだろう。
大新聞、テレビの総選挙報道にも、自民党の得票数減という事実そのものが
出てこない。この数字を読者に突きつけて、「票を減らしても政権だけ維持す
る自民党政治に我慢できますか?」と問いかけることこそ、オピニオンリーダ
ーの使命だろうに……。
安っぽい政治報道こそ、自民党の共犯者である。この共犯関係の下で、政治
はどんどん堕落していく。
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