現在地 HOME > 掲示板 > 選挙1 > 338.html ★阿修羅♪ |
|
(回答先: Re: それでもイラクに自衛隊派遣?【 なだいなだのサロン 打てば響く(コラム)】 投稿者 長壁満子 日時 2003 年 11 月 07 日 14:26:09)
「自民・民主」の保守二大政党制を突破する労働者・市民の運動を拡大しよう
日本革命的共産主義者同盟(JRCL)中央委員会
1
十月十日、小泉首相は国会を解散した。十月二十八日公示、十一月九日投票という日程で、小泉内閣になって初の総選挙が行われる。小泉内閣は「聖域なき構造改革」の名の下に新自由主義路線を推進して失業と福祉切り捨て、健保・年金改悪、企業減税・大衆増税の道をひた走ってきた。また小泉内閣は二〇〇一年「9・11」を契機に「グローバル戦争」を解き放ったブッシュ米大統領の最も忠実な追随者の一人として有事法制・海外派兵・憲法改悪という「戦争国家」確立の道に突き進んできた。
今回の総選挙で、われわれは小泉内閣に対する労働者・市民の厳しい批判と抵抗を突きつけなければならない。
しかし小泉内閣の二年間を通じて、日本政治の国家主義的右傾化はいっそう進んでいる。「改革なくして成長なし」をスローガンにした小泉内閣は、労働者・市民に「痛み」をあからさまに強制し、犠牲を甘受せよというイデオロギー的攻勢をしかけている。社会的「弱者」は「敗者」になることが当然だとする新自由主義的「市場競争万能」と資本にとっての「効率」の原理が吹き荒れている。「人権」や「平等」の価値は攻撃にさらされ、「弱者」「少数者」への差別と排除が蔓延している。
小渕内閣時代の一九九九年に成立した日米新ガイドラインに基づく周辺事態法、「国旗・国歌法」、「盗聴法」、住民基本台帳法改悪、憲法調査会設置を規定した国会法改悪などの一連の反動的諸法の基礎の上に、小泉内閣はブッシュ米政権による「対テロ・グローバル戦争」への加担を通して「戦争国家体制」づくりを決定的に加速させた。今年の通常国会では有事3法が成立した。さらに国連憲章にも国際法にも違反する米英両国のイラクに対する侵略戦争を全面的に支持し、不法なイラク軍事占領に自衛隊を参加させるための「イラク特措法」の下で今年中にも自衛隊がイラクに派兵されようとしている。総額五十億ドル(五千五百億円)にものぼるイラク占領費用を分担することが、ブッシュ政権の強力な圧力の下で発表された。
自民党が総選挙にあたって発表した「政権公約」によれば、二〇〇五年に憲法改悪の自民党草案作成、恒常的派兵法の制定、国民保護法制の整備、教育基本法の改悪、憲法改悪国民投票法の制定などがうたわれている。また「治安の強化」を口実に「不法滞在外国人の半減」や警察官の抜本的増員といった施策も強化され、排外主義の動員を通じた「強い国家」の主張が自明のことのように前面に押し出されている。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正日官僚独裁体制による「日本人拉致」などの国家犯罪と核開発の「脅威」がこうした「戦争国家」体制確立のために全面的に利用されているのである。
そして自民党の新幹事長になった安倍晋三のように「自衛のための先制的武力攻撃」や「日本核武装」をも容認する新国家主義的なウルトラ・タカ派が確実に自民党内での影響力を増大させている。
2
今回の総選挙は、最大野党の民主党と自由党の合流による新・民主党の成立によって「自民か民主か」の「政権交代を問う選挙」になったと宣伝されている。しかし、新・民主党の成立は新自由主義的「構造改革」と「改憲」を共通の枠組みとした保守二大政党制の確立を意味している。日本経団連などは新・民主党の成立が安定的な「政権交代」を促すものとして歓迎のエールを送っている。
実際、民主党の「政策綱領」(マニフェスト)は、憲法改悪(「論憲」から「創憲」へ)、治安対策(警察官の大幅増員)、経済政策、郵政民営化などの新自由主義的「構造改革」の内容において自民党と本質的に変わるところはない。民主党は「イラク派兵法にもとづく自衛隊のイラク派兵は行わない」としているが、それは国連決議に基づく多国籍軍が承認された場合には、その一員として自衛隊を派遣することを排除するものではない。
民主党の「マニフェスト」は、「官から民へ」を掲げて新自由主義的な民営化・規制緩和を促進し、労働者・市民の権利剥奪と公的福祉の解体を推し進めるという方向において小泉「構造改革」路線と共通の土俵の上に成り立っている。民主党は「市民の安全」を掲げて有事3法を全員一致で支持した。民主党の「マニフェスト」はまさしく「個として自立した市民」の名において、「弱肉強食」社会を肯定し、福祉解体を促進し、「有事危機管理」国家体制の確立を肯定するものにほかならない。「つよい日本をつくろう」という民主党の総選挙ポスターはその現れである。実際、民主党は旧自由党の西村真悟のような極右デマゴーグを抱えた政党であり、「護憲」を主張する民主党内の旧社会党議員は完全にその中に呑み込まれてしまった。
したがってわれわれは「自民か民主か」といったブルジョア保守政治の枠組みの中での「二者択一」を拒否する。労働者・市民は十一月総選挙を「自民か民主か」の政権交代を問うものとして捉えることはできないのである。
3
戦後「護憲・革新」派の中心をなしていた共産、社民両党は大きく後退した。一九九四年の自・社・さきがけ連立政権で首班をつとめた社会党は、「安保・自衛隊」を容認し、所属議員の多数が民主党に移行することによって議会内では極小勢力に転落した。一九九八年以後、共産党は、民主党との「非自民連立政権」を前提とした「安保容認・自衛隊活用」論に踏み込んだ。共産党は総選挙の後の来年一月に予定されている第二十三回党大会で、現行綱領を全面改訂して「資本主義の枠内での改革」を純化した右傾化路線を完成させようとしている。
多くの労働者・市民は大失業と不安定雇用、賃金切り下げ、労働条件の徹底的押し下げと超長時間無権利労働を強制され、福祉・年金の切り捨てにあえいでいる。そしてこのような社会的・経済的不安を土台に、「強いリーダーシップ」を希求し、憲法改悪と「戦争国家体制づくり」を肯定する気運が培養されている。
労働者・市民は、資本のグローバリゼーションに基づく新自由主義的「構造改革」による失業・無権利・生活破壊に立ち向かい、海外派兵と憲法改悪・「戦争国家体制」づくりと闘うことによってのみ、「自民か民主か」の強制された「二者択一」の枠組みを打破する新しい政治的選択肢を自らの力で作り上げることができる。
そのためには労働者・市民の「集団的抵抗」の復権が不可欠である。共産党と社民党の路線がそうした大衆的な社会運動を築く上で、きわめて限界を持ったものであることは明らかである。ヨーロッパ諸国ではすでに新自由主義を受け入れた共産党と社民党に代わって、労働者のストライキ闘争や反グローバリゼーション運動、反戦運動の拡大の中で、新たな反資本主義的左翼のオルタナティブを打ち立てようとする構想が、議会選挙の中でも進められている。
しかし日本では、われわれをふくむ社共にかわる左翼勢力の圧倒的弱体さに規定された大衆的抵抗闘争の長期にわたる不在の中で、支配階級の攻勢に有効に対決するオルタナティブな反資本主義勢力の登場は、いまだ現実のものとはなっていない。労働者・市民の運動をベースにした国政をめざす共同戦線的な選挙ブロックのための闘いも、一九九〇年代以来の数多くの努力と模索にもかかわらず、いまだ結実するにいたってはいない。われわれは、こうした闘いを今後も継続しなければならないが、それを今日の情勢に間に合って登場させえてはいない。
われわれは今回の総選挙では、小泉政権の「戦争国家体制」作りと新自由主義的「構造改革」に反対する労働者・市民の意思を、共産党と社民党、ならびに労働者・市民の運動と連携してきた無所属候補(とりわけ東京21区〔立川市、日野市、昭島市〕の川田悦子候補)への投票によって表現するよう訴える。
戦争・憲法改悪と小泉「構造改革」に反対する候補に投票し、「自民・民主」の保守二大政党制を突破する労働者・市民の運動を拡大しよう。グローバルな「平和・人権・公正・民主主義」のために闘おう!
(二〇〇三年十月)
http://www.jrcl.net/web/frame031027f.html