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(回答先: 団地金融から長者番付日本一に 武井容疑者(朝日新聞) 投稿者 エンセン 日時 2003 年 12 月 03 日 04:30:59)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20031204/mng_____tokuho__000.shtml
元社員ら証言 武富士の特異な情報統制
消費者金融の大手、武富士は、創業者の武井保雄会長(電気通信事業法違反容疑で逮捕)抜きには語れない会社だ。絶対的な経営権を握り、社員たちには強烈な忠誠心を求めたという。この特異な社風をつくり出す中で、軸になったのが徹底した情報統制戦略とされる。元社員らの証言で浮かび上がる“統制の掟(おきて)”とは。
十一月下旬、熊本市で開かれた「全国クレ・サラ・ヤミ金・商工ローン被害者交流集会」(全国クレジット・サラ金問題対策協議会など主催)で、武富士がテーマになった。
武富士元課長の中川一博容疑者(同容疑で逮捕済み)による盗聴被害にあったとされる、武富士元丸亀支店長の藤井龍氏の話に会場は沸いた。
「軍隊と宗教団体、宗教団体にもいろいろありましょうから、カルト団体でしょうか。二つを足して二で割ったのが武富士です」
軍隊のようであれば、厳しい情報統制もついてくる。藤井氏ら元社員が証言するのが「退職社員が現役社員と交流してはいけない」という一種の“掟”だ。
■報告しなければ密告で追及され
藤井氏は「(現役時代に)接触禁止を体験した」と明かしながら説明する。
「元社員から連絡があった場合、現役社員は自分から上司に報告しなければならない。そうすれば不問に付される。しかし、報告せず同僚に密告されるなどして明るみに出ると、上司から『なぜ黙っていた』と厳しい追及を受けた。密告は、上司の信頼を得たり同僚の足を引っ張る手段にもなっていた」
藤井氏は二〇〇〇年三月、本社から業務指導に来た社員に「態度が悪い」と暴行を受け退社したという。「退社後、私と話したことで、現役社員が少なくとも三人、会社を辞めざるを得なくなった」と語る。
元社員の一人は、「臨店」などと呼ばれる検査の内容を証言する。
「本社などから支店に突然担当者が行き、一種の手荷物検査をやる。そこで目を付けていた社員の携帯電話を取り上げ、着信発信の履歴を調べる。元社員らと電話で接触していないかチェックする目的だ。接触していれば、目的を厳しく問いただす」
■署名、なつ印し社長に差し入れ
別の元社員は「現役社員に話をしたことが会社側に分かると、その社員に迷惑がかかりそうなので、接触は控えていた」と話す。
本紙が入手した「退職時覚書」という文書のコピーは、この情報統制の一端を示している。これは昨年秋ごろに使われていたとされる。退職社員が署名、なつ印して清川昭社長あてに差し入れる形になっている。
内容は(1)退職後二年間は同業の事業を営まず、同業他社の職務にも従事しない(2)退職後は現役社員と交流しない(3)在職中に知り得た機密情報を第三者に漏えいしない−が柱となっている。
その上で、何が機密情報に当たるかを細かく列挙し「第三者が知り得た場合、武富士が有形・無形の損害損失を被るおそれのある事項」まで挙げている。これらの条項に違反して武富士に損害を与えた場合は退職金全額を返納し、武富士が認定した損害額と退職金の差額を支払うことを約束する、とされている。
■厳しかった体制訴訟増え崩れる
元社員らの証言によると、武富士は退職した社員の動向を探るため「元社員の自宅に『今は何をされていますか』などと、さりげなく電話をかけることも行ってきた。これによって『武富士に都合の悪いことをすると、何かの形で報復されるのではないか』とおそれる元社員もいた」という。
ただ、情報統制の内容が厳しくなる一方、今年になって「一部その体制が崩れつつある」との関係者の見方もある。未払い残業代を求める元社員が三十人を超えるなど、元社員が訴訟で武富士と戦うことが増え、彼らが訴状などで会社の実態を明らかにし始めたからだ。
さて、これまで「情報統制」の中で、武富士の経営のあり方を追及してきたジャーナリスト、弁護士らに、問題の核心について説明してもらうと−。
「週刊金曜日」の記事で訴えられたジャーナリストの三宅勝久氏は「武富士は、厳しいノルマで新入社員の多くが辞める。そんな社員から情報漏れを防ぐ手段が、退職者への情報統制だ。『自宅前を見張られた』と明かす、辞めた社員もいる」と解説する。
同時に「複数の証言によれば、退職者だけではなく、現役職員の情報統制もここ一、二年で厳しくなっている。内部文書で禁止項目が次々追加されている」と指摘しながら続ける。
「営業統括本部に報告せず、社員が複数で集まることも禁止されているようだ。会社のやり方に反発する社員が、会合を持つことを防止したいのだろう。社員の抜き打ち持ち物検査も頻繁に行われ、私物の携帯電話のメールなどを強制的に調べられる。警察の強制捜査さながらだ」
「静岡県で実施される研修でも『異性と口をきいてはいけない』『立ち話禁止』『携帯電話使用禁止』などが規則になっているという。不正行為を見つけたときは、報告することを奨励されているようだ。不正行為をした社員がいたグループは、連帯責任で処罰を受けるという証言もある」
最近、情報統制が厳しくなった理由について三宅氏は、「景気が悪いのに、無理な営業計画を社員に押しつけている。当然、不正な営業行為や不満が出やすくなるが、それらを力で押さえ込む手段として、厳しい情報統制が取られているのでは」と分析する。
一方、武富士の未払いの時間外労働賃金問題に取り組む弁護士の市川守弘氏は「最近、退職金の支払いを求める訴訟が増加している。その動きを抑制する目的で、退職者が現役社員に影響を与えることを防ぐために、退職時覚書が決められたのではないか」と推測する。
「武富士としては、会社と縁の切れた退職者から牙をむけられるのが怖いのでは。現役社員のころに、持ち物検査などで人権侵害したやましさが、その恐怖心を増幅させていると思う」
■親族含め仲間に裏切られた経験
武富士問題を追うジャーナリストの寺沢有氏は「親族を含めた仲間に裏切られてきた武井会長の過去から導き出された教訓といえる。社を去った身内が同業他社に移り、顧客名簿を持ち去ったこともある。こんな経験が、武井氏を『退職者は敵』と考える懐疑心の塊にした」との見方をとった上で指摘する。
「独裁国家並みの監視がある会社とみている。各支店に武井氏の写真があり、始終業時に従業員全員で写真に向かって頭を下げる。ちゃんと頭を下げているかどうかも社員同士で監視しあう異常さだ。こんな会社の行き着く先が、盗聴事件になるのは当然と考える」