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成田空港予定地にある東峰（とうほう）神社の立ち木伐採訴訟で、新東京国際空港公団が、千葉県成田市東峰地区の反対派農家７人との和解成立に向け、争点となっていた神社敷地の所有権の移転登記を提案していることが３日、分かった。
「土地は地区のもの」とする農家側の主張に公団側が譲歩した形だが、事実上の無償譲渡となり、公共事業用地では極めて異例の措置。公団は、柔軟姿勢を示すことで未買収地取得交渉を進展させ、計画に沿った平行滑走路（２５００メートル）の実現につなげたい考えとみられる。
神社敷地は約１５４平方メートルで、平行滑走路予定地に含まれる。公団は２０００年１２月、敷地名義人の男性から買収したが、農家側は、男性は形式的名義人に過ぎず、７人が共同で神社を維持管理してきたとして、敷地所有権は農家側にあると主張。今年９月の口頭弁論で、敷地所有権が農家側にあることを承認すれば、和解に前向きに応じる考えを示していた。
関係者によると、公団が提示したのは、農家側を敷地所有者と認め、所有権を移転登記するという案。農家側が求めている７人による共有を認める方針で、事実上、農家側に神社敷地を無償譲渡する措置となる。
公団は、和解を突破口に平行滑走路実現に向けた未買収地取得交渉を進展させたいとの考えがあるものとみられ、今回の提案はいわば苦肉の策。予定地内の未買収地は４・５ヘクタールあり、このうち、約３ヘクタールを７人が所有している。このため、取得交渉は現在、「（交渉相手と）裁判で争いながら、空港建設協力を求めることはできない」（公団幹部）状況で進んでおらず、公団は、交渉を進展させる上で、「農家側と和解し、信頼関係を築く必要がある」と判断した。
公団関係者は「公共事業で有償取得した用地を対価もなく手放す事例は聞いたことがない」としている。
公団は、和解の場合、取得交渉が成立して農家が移転する際には、神社敷地の所有権を手放すことを確認しておきたい考えだが、農家側は和解と用地交渉が連動することを警戒しており、和解が成立するかどうかは流動的だ。
◆東峰神社立ち木伐採訴訟＝新東京国際空港公団が２００１年６月、東峰神社の立ち木１９本を伐採したことが発端で、農家７人が２００２年４月、千葉地裁に提訴した。公団は、高さ約２０メートルの立ち木が、航空機の安全な発着を妨げると判断、訴訟では「立ち木は土地に付随する」として神社敷地の所有権をタテに伐採の正当性を主張。農家側は「立ち木は神木で精神的よりどころ。無断伐採は人格権侵害だ」と訴えた。和解交渉が本格化したのは、今年６月末の口頭弁論以降。公団側は伐採の謝罪や慰謝料の支払いなど７項目の和解案を示したが、農家側は、敷地所有権を農家側に認めることを和解応諾の必須条件としていた。
[12月3日14時40分更新]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031203-00000107-yom-soci
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。