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更 生 親子関係再構築図る
男児誘拐殺害事件の少年=当時(12)=は、長崎少年鑑別所に留置されていた間、時に衝動的な行動を見せた。「こんなとこ逃げ出してやる」とわめき散らしたり、ドアをたたいたり、本を机にたたきつけたこともある。鑑別所で面会した関係者は「事件への反省がまるで見られなかった」と振り返る。
予断を許さず
「ノートに少しずつ反省文を書かせている。謝罪文については、書こうとする意欲は伝わるのだが…」。同じころ、少年の付添人弁護士は、定例記者会見で戸惑いながら語った。遺族あてに謝罪文を書くよう少年に促し続けたが、処分決定までの三カ月間、具体的な形をなさないままだった。
九月二十九日の長崎家裁の決定処分では、少年について「今後も衝動的な行動に及ぶ可能性が高い」「心身共に不安定な時期を迎え、予断を許さない」と“警告”を発した。
少年は現在、さいたま市の国立武蔵野学院で更生期間に入っている。学院は、行動の自由を制限する強制措置を取ることができる全国唯一の児童自立支援施設。少年はここで一年間過ごした後、処遇を再審査される。“暫定期間”を設けたのは異例のことだ。
少年には精神科医や児童心理士による特別専門チームが当たる。更生の程度を見極めるのは県中央児童相談所。児童福祉士が定期的に施設を訪ね、更生の進ちょく具合を見る。「前例がないので、少年の状況を見ながら処遇を検討する」と川原ゆかり所長。対応は手探りだ。
一九九七年二月から五月にかけて起きた神戸市の連続児童殺傷事件の加害少年=当時(14)=は、心身に著しい支障のある少年の矯正施設、医療少年院に送致された。対象は十四歳以上、二十六歳未満。長崎の事件の少年は医療少年院はもとより、十四、十五歳が入る初等少年院の対象にさえならない。
少年が入所する国立武蔵野学院。特別専門スタッフによる少年の更生プログラムが始まった=さいたま市
両親も対象に
少年には発達障害もある。強制措置が可能とはいえ、生活指導のための児童自立支援施設で更生は可能なのか。日大法学部の板倉宏教授は、起こした事件の性質ではなく、年齢を基準に施設を振り分ける現行制度を批判して言う。「医療少年院などスタッフやノウハウが充実した矯正施設送致など、少年の状態に応じた適切な処置の在り方を考えるべきだ」
医療関係者の一人は「施設での対応には限界がある。現実生活に戻ったとき、周囲の支援が得られるかが更生の本質的な問題」と指摘する。
県中央児童相談所は今後、少年の両親にもカウンセリングを行い、事件の凶悪性や被害者心理を受け止められるよう指導する。「親の役割の再生を図り、親子関係を築き直す。それが更生の究極の目的」。川原所長は言う。(男児誘拐殺害事件取材班)
2003年10月28日長崎新聞掲載
http://www.nagasaki-np.co.jp/press/yuusatu/kikaku3/03.html
少し古い記事ですが、一番新しい続報のようなので、転載しました。
以下は、この記事の関連記事です。
<上>少年法
http://www.nagasaki-np.co.jp/press/yuusatu/kikaku3/01.html
<中>犯罪被害者の支援
http://www.nagasaki-np.co.jp/press/yuusatu/kikaku3/02.html