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「外国人犯罪増加」報道の欺瞞
あなたの信ずる「治安対策」は間違っていませんか?
2003.11.6
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松沢神奈川県知事による暴言の背景
03年11月2日の毎日新聞ウェブによれば、神奈川県の松沢成文知事は2日、 衆院選候補者の応援演説の中で、
「中国なんかからいろいろ就学だとか学生だとかといってビザを使って入ってくるけども、実際はみんなこそ泥。みんな悪いことやって帰るんです」
「(日本の)刑務所は暖房も入っている。ご飯も食べさせてくれる。だから犯罪やっても全然怖くないからどんどん(外国人による)空き巣や窃盗が増える」
と述べたという。
マスコミは、松沢知事の暴言をそそくさと報道しただけで、あとは沈黙した。それもそのはず、松沢知事の主張を誘導、補強してきたのが他ならぬマスコミだからだ。
その証拠に、新聞サイトの記事検索やサーチエンジンで「外国人 犯罪 増」をキーワードに検索すれば、過去の記事がいくつも引っかかるだろう。
「犯罪」という言葉の中身を吟味さえしないマスコミ
例えば、「毎日」は今年3月20日付の「外国人犯罪:検挙件数、人員とも過去最高に 窃盗犯が激増」という見出しの記事で次のように書いた。
「警察庁は20日、昨年1年間の外国人による犯罪状況のまとめを発表した。検挙件数は3万4746件(前年比25.2%増)、検挙人員は1万6212人(同10.6%増)で件数、人員とも過去最高になった・・・検挙した人員の国籍別では、最も多い中国人が全体の40%を占め、韓国、ブラジル、フィリピンと続いている」
警察情報の垂れ流しの典型だが、ここでいう「犯罪」とは一体具体的に何を指しているのか。「犯罪」というとわれわれが通常想像するであろう「刑法犯」(注1)の検挙件数、検挙人員は、警察庁の「犯罪統計資料 平成14年1月〜12月分」によれば、それぞれ24258件、7690人に過ぎない。
実は、「毎日」が提示した数字は、刑法犯と特別法犯(注2)とを合わせたものであることが分かる。特別法犯には出入国管理及び難民認定法違反も含まれ、「不法滞在者」(注3)は平穏に暮らしていても特別法犯とされるのだが、マスコミは「犯罪」という言葉の中身を吟味さえせず(=言論機関失格)、特別法犯も含むすべてを「犯罪」とひとくくりにすることによって、本当にわれわれの生活を脅かしている刑法犯の実態を覆い隠しているといえる。さらにいえば、「犯罪統計資料」が警察庁HPにアップされたのは1月で、「毎日」のこの記事は目新しくも何もないという意味で「新聞」記事の名にも値しない。
外国人を犯罪増加でフレームアップする不当性
次に、他ならぬ《外国人》の犯罪が増加しているのだとフレームアップするマスコミの不当性を、やはりデータで示そう。
次は、過去10年間の日本全体、「来日外国人」(注4)、「不法滞在者」の刑法犯検挙人員と、日本全体の刑法犯検挙人員に占める「来日外国人」「不法滞在者」の割合を示したものだ。
年
刑法犯検挙人員
B/A
C/A
日本全体(A)
「来日外国人」(B)
「不法滞在者」(C)
1993
297725
7276
1015
2.44%
0.34%
1994
307965
6989
1215
2.27%
0.39%
1995
293252
6527
1315
2.23%
0.45%
1996
295584
6026
1632
2.04%
0.55%
1997
313573
5435
1317
1.73%
0.42%
1998
324263
5382
1302
1.66%
0.40%
1999
315355
5963
1529
1.89%
0.48%
2000
309649
6329
1603
2.04%
0.52%
2001
325292
7168
1379
2.20%
0.42%
2002
347558
7690
1403
2.21%
0.40%
また、過去10年間の日本全体、「来日外国人」、「不法滞在者」の凶悪犯(注5)検挙人員と、日本全体の凶悪犯検挙人員に占める「来日外国人」「不法滞在者」の割合も示そう。
年
凶悪犯検挙人員
B/A
C/A
日本全体(A)
「来日外国人」(B)
「不法滞在者」(C)
1993
5190
246
130
4.74%
2.50%
1994
5526
230
133
4.16%
2.41%
1995
5309
201
106
3.79%
2.00%
1996
5459
212
142
3.88%
2.60%
1997
6633
213
131
3.21%
1.97%
1998
6949
251
137
3.61%
1.97%
1999
7217
347
186
4.81%
2.58%
2000
7488
318
159
4.25%
2.12%
2001
7490
403
180
5.38%
2.40%
2002
7726
353
141
4.57%
1.83%
これらの表から日本全体の刑法犯、凶悪犯検挙人員に占める「来日外国人」「不法滞在者」の割合はここ10年間では増えたとも減ったともいえないことがわかる。
日本全体の刑法犯、凶悪犯検挙人員が、10年前に比べてそれぞれ17%、49%増えているという事実は避けて通れない問題だが、その中の外国人のみを挙げて「犯罪が増えている」と煽る日本のマスコミは人種差別体質を露呈しており、さらにそれを利用して一部の政党が「外国人犯罪」「不法滞在者」を減らすことを治安対策として政策公約に掲げることは、刑法犯、凶悪犯のうちの0〜5%の、さらにそのうちのどのくらい減らせるかを議論しているに過ぎず、ほとんど無意味であり、滑稽ですらある。
参考サイト
「うきうき書房online」から
http://homepage2.nifty.com/ukiuki/dameldp.html
http://homepage2.nifty.com/ukiuki/data.html
コムスタカー外国人と共に生きる会:外国人差別と闘う
注
(1)刑法犯とは、刑法に規定する罪(第211条のうち交通関係の業務上過失致死傷罪を除く。)爆発物取締罰則、決闘罪に関する罪、暴力行為等処罰に関する法律、盗犯等の防止及び処分に関する法律、航空機の強取等の処罰に関する法律、火炎びんの使用等の処罰に関する法律、航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律、人質による強要行為等の処罰に関する法律、流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法、サリン等による人身被害の防止に関する法律及び組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律に規定する罪をいう。(警視庁による定義)
(2)特別法犯とは、刑法犯を除くすべての犯罪(刑法第211条のうち交通関係の業務上過失致死傷罪並びに道路交通法、自動車の保管場所の確保等に関する法律等の交通関係法令に規定する罪を除く。)をいい、条例に規定する罪を含む。(同上)
(3)「不法滞在者」=「不法残留者」(正規の上陸手続等を経て正規の在留資格を有していたが、その在留資格の有効期間=在留期間の経過後も、在留期間の更新又は変更を受けることなく日本に残留する外国人)+「密入国者」。
(4)「来日外国人」とは、日本にいる外国人のうち、いわゆる定着居住者(永住権を有する者等)、在日米軍関係者及び在留資格不明の者以外の者をいう。(同上)
(5)凶悪犯=殺人、強盗、放火、強かん。
http://www.aurora.dti.ne.jp/~osumi/hrmedia/jcr03.html