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(回答先: 反軍拡・利権阻止の石井紘基議員はなぜ刺殺されたのか。[民主党・反軍拡議員・石井紘基刺殺テロ] 投稿者 なるほど 日時 2004 年 1 月 09 日 14:24:30)
(※急用ができて第2信が遅れ、失礼しました。なお、スレッド表示が深くなりすぎているので、JP10 1274 に対するレスという形にしました。実質的には JP10 1293 に続くレスです。メールをスレッド表示している方、ごめんなさい。)
被告人・伊藤白水の「単独犯行説」を支持する理由について説明します。
(詳述したいところですが、急用でそうもいかなくなり、略述するにとどめます。)
まず、石井代議士が殺されることによって利益を得る者が、各方面に多数存在するであろうことは言うまでもありません。官界・政界・産業界・闇社会など、石井代議士の追及を煙たがる者は大勢いました。
しかし、だからといって、この事件が「謀殺」であると決めつけることはできません。その可能性を完全に排除することはできないものの、「誰が」伊藤白水に殺害を依頼(もしくは指令)したかを、明白な根拠をもって特定しなければ、謀殺を云々することは、単なる妄想を撒き散らすだけの結果に終わるでしょう。猪瀬直樹氏などは、石井代議士に関連した集会などで、しきりに「謀殺妄想」を振りまいていますが、それは妄想でしかありません。根拠はないのです。
仮にこの事件を謀殺だとした場合、加害者(依頼者・指令者)となる可能性のある者が多すぎるため、これを絞り込むのは容易ではありません。新たな証拠でも浮上しない限り、謀殺の依頼者が実際に存在したことを証明するのは不可能でしょう。
一方、実行者(伊藤白水)に視点を移して、謀殺説を検討してみると、謀殺依頼があったかどうかを見極めることは、かなりの程度まで可能です。伊藤の生活実態や人脈などを、取材を通じて明らかにしてゆけば、謀殺依頼があったかどうか、あり得たかどうか、をかなりの確度で推定できるからです。
しかし、特定の職業に就いていない右翼の生活実態や人脈を洗い出すことは、なかなか難しそうに見えます。(現在では、企業等に寄生する右翼浪人は少なくなっており、右翼活動家の多くは会社員などの職業人です。また、右翼の看板を掲げるヤクザも少なくありませんが、こちらはヤクザとしてのシノギを収入源としていますので、その意味でヤクザを職業と見なすことができます。)伊藤白水の場合、特定の職業に就いていたわけではありませんが、主に中小出版社の書籍を仕入れ、これを地元・世田谷区選出の国会議員・都会議員・区会議員などに販売した収入で生活していましたから、彼の生活はわりとシンプルでした。
また伊藤白水は、右翼としては組織に属することのない「一匹狼」で、本人も「一人一党」を掲げ、主に議員などに働きかけることによって政治的主張を通す、というような活動形態でしたから、人脈もわりとシンプルでした。(彼が「一人一党」を掲げるようになったことにはそれなりの経緯がありますが、それは省略。)彼の「守皇塾」という団体は、構成員1名のみ、つまり伊藤ひとりの団体でした。
彼と何らかの関係を持ったことがある右翼は、すべて洗い出すことができますが、一般のジャーナリストは、そこで厚い壁にぶつかります。関係者たちは伊藤のことを喋りたがらないのです。しかし私は、その点では特殊な位置にいて、その壁を楽に突破できたため、伊藤の生活実態や人脈を洗い出し、多くの右翼関係者から話を聞き出すことができました。もちろん、伊藤本人からもそれに関連した情報を得たことは言うまでもありません。
以上のような状況で取材を進めた結果、私は伊藤白水の「単独犯行」の可能性が強いことを確信しました。
(1) 犯行によって伊藤白水は利益を得たか。
答えは「ノー」です。
謀殺だとしたら、伊藤は報酬として、何らかの金銭的な見返りを得たはずですが、その形跡はまったくありません。
彼はカネがないため、弁護士も私選ではなく国選弁護人です。弁護士にとって国選弁護の仕事は、たいへん非効率で低廉な報酬しかない仕事です。だから、国選弁護人が「全力を傾注して」国選弁護事件に取り組むことはない、と考えて大過ないでしょう。(もちろん冤罪事件だと確信した場合には、採算を度外視して働く正義派弁護士もいますが、伊藤の事件は、国選弁護人が同情する余地のない事件です。)被告人がもし、少しでも刑を軽くし、早く娑婆に戻りたいと考えたら、精力的に働く私選弁護人を雇うのが普通です。(政財界人が逮捕起訴された場合を想起すればよく分かるでしょう。)といっても、それには相当なカネが必要です。しかし、伊藤にはそのカネがないのです。
今年で50歳になる伊藤が、どんなに軽くても最低18年の懲役、悪くすれば死刑、という裁判において、仮に20年後に出所できるとしても、その時はもう70歳。報酬をどこかに隠しているとしたら、1日も早く出所して果実(報酬)を享受したいところでしょう。そのためには優秀な私選弁護人を選び、方策を尽くして刑を軽くしようとするのが当然です。しかし、そのためのカネがないのです。
それどころか、拘置所生活に必要な品々(自弁の衣類、副食、雑誌、便箋、切手etc)を購入するカネにも不自由しています。閉鎖・拘束された生活の中で、たまの副食や、好きな雑誌も読めない貧窮状況は、とても演技で辛抱できることではありません。
(2) 伊藤は巨額の借金をしていたか。
これも「ノー」です。
彼はもともと質素な生活を常態としており、極端にいえば、米と味噌さえあれば、それだけでも生活できるような人間でした。カネがなければ贅沢はしない、支払うべきものを削るか、払わないで済ませられるものは払わない、ということで日常生活を送っていたようです。つまり、借金をしてでも支払うというような見栄は張らなかったわけです。
だからこそ、アパートの家賃を2年もためて立ち退き訴訟を起こされ、強制執行で立ち退かざるを得なくなり、宿無しとなったのです。それが事件の1週間前のことでした。
猪瀬直樹氏などは、ある集会でこんな話をしました。仮に犯人(伊藤)が1億円の借金を抱えていて、それを帳消しにするという条件で殺人を請け負ったとする。それが刑期10年で出てきたとしたら、懲役1年につき1千万円を稼いだのと同じことになる。これはいいビジネスだ、と。
国会議員を殺して刑期10年という想定は非現実的ですが、仮に借金2億円で、刑期20年なら、同じく懲役1年につき1千万円相当の利益を得ることになります。しかし、伊藤の生活ぶりからは、2億円の借金はおろか、1千万円の借金すら見えてきません。彼は、家賃を別にすれば、月5万円でも生活できたものと思われます。
伊藤が昔から時々立ち寄ったという飲み屋のオヤジさんも、伊藤の質素な生活ぶりを具体的に語ってくれました。彼は誰かのおごりで飲みに来るか、たまに収入があったときにしか飲みに来なかったというのです。(具体的な生活の話は省略。)
つまり、謀殺を請け負う動機となるほどの借金もなかった、ということです。
(3) 伊藤は刑期を軽くする努力をしているか。
これも「ノー」です。
謀殺(請負殺人)なら、判決を軽くするための努力をするのが当然です。私選弁護人を選ぶのもその一つですが、事情があって私選弁護人を付けられないとしても、被告人自身ができることはあります。それは裁判で、「改悛の情」を示すことです。つまり「情状酌量」による減刑を追求することです。
伊藤が起こした国会議員殺人事件は重罪です。特に、これが思想上・議員活動上の理由で国会議員を殺害したとしたら、民主主義に対する重大な挑戦ということになります。石井紘基代議士は10万票近い支持を得ていました。つまり、10万人の国民を代表して国会活動を行っていた人物です。それを思想上・議員活動上の理由で抹殺したとしたら、その行為は民主主義社会の根幹を揺るがす凶行ということになります。
当然ながら、検察側の求刑は「死刑」でしょう。だとしたら、判決は、死刑か無期懲役ということになります。この場合、無期懲役でも、20年程度の服役で仮釈放される通常の無期懲役と違って、伊藤の場合は「マル特無期」(事実上の終身刑)となる可能性が大です。
現に私は、伊藤への手紙で、「あなたは仮に死刑を免れたとしても、マル特無期になる可能性が大きい」と書き送りました。つまり、伊藤はそのような事情を十分に承知しているのです。
にもかかわらず、(記事にも書きましたように)彼が遺族に謝罪する様子は微塵もありません。それどころか、裁判長が伊藤に直接質問し、「遺族に謝罪するつもりは?」と訊いたとき、明確に「謝罪するつもりはありません」と答えたのです。また、別の公判のとき、「命乞いをするつもりはない」とも発言しました。まるで死刑を望んでいるかのようです。
(4) 伊藤に代わって報酬を受け取る人物はいるか。
これも「ノー」です。
事件を謀殺だと仮定した場合、伊藤が自分で報酬を受け取るのではなく、別の誰か(家族など)に報酬を支払うように指定していたとしたら、伊藤自身は死刑になっても構わないわけです。これはイタリア系マフィアなどではあり得る話です。
しかし、伊藤には、そういう係累が存在しません。(この点、詳述が必要ですが省略。)
(5) 金銭的報酬ではなく「義理」に迫られての犯行か。
伊藤の人脈や人間関係の中で、唯一「義理」を感じる人物がいるとしたら、それは四元義隆氏でしょう。私の■記事(1)■の中で「超大物右翼のA氏」と表現している人物がそうです。(Aと匿名にしたのは編集部の配慮でした。)
しかし、公判で証人尋問された、四元氏の秘書だった人物は、「四元は伊藤と一度も会ったことはない」と証言して、伊藤を激怒させました。伊藤が以前から四元氏を「師」と仰いでいたことは記事にも書いた通りですが、公判のこの場面では、伊藤と四元がまったく面識すらないと証言することは、伊藤の従来の主張(石井代議士に対する3千万円の融通)を完全に否定することを意味したので、伊藤は激怒したのです。
したがって、もし伊藤が四元氏から「義理」で犯行を強いられたとしたら、この時点で、伊藤は裏事情を暴露したに違いありません。あの公判以後、伊藤は四元氏に対する罵倒の言葉を、私への手紙に書き連ねてきたほどですから。
しかし、暴露すべき裏事情はありませんでした。つまり「義理」で殺害を迫られたという可能性は、ほとんど考えられないのです。
死刑をも覚悟している男が、自分の誇りを傷つけるような仕打ちを受けたとしたら、もう誰にも遠慮することなく「真実」を暴露することでしょう。しかし、そういう「真実=謀殺依頼」はなかったから、あれだけ激怒しても、何も出てこなかった、と考えざるを得ません。
その他、説明したい点はいくつかありますが、とりあえず以上で十分でしょう。こうした理由から、私は95%以上の確率で「伊藤の単独犯行説」を支持しています。