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★この結果に「釈然としない」と発言する記者もいるが、それなら何故こういう結果になったのか解明するのがメディアの役割だろう。(シジミ)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031225-00000002-mai-l40
◇意外な“結末” 捜査に課題も
全国に衝撃が走った福岡市の松本真二郎さん(当時41歳)一家4人殺害事件は、発生から半年が過ぎた。えん恨による事件との当初の見立てと違い、福岡県警は中国人3人による強盗目的の事件と断定。別の強盗罪などで起訴された元専門学校生、魏巍被告(24)を年明けにも強盗殺人、死体遺棄容疑で逮捕する方針だ。意外な展開をたどった事件を、取材に当たった記者たちが振り返った。
◇当初はえん恨で
――県警は中国人3人による強盗殺人目的の事件と断定したが、発生直後は真二郎さんへの恨みが動機との見方が大勢だった。
A 幼い子供と夫婦を海に沈めるには、それなりの理由があると考えた。県警も当初から「松本さんはいろいろな仕事をしており、複数のトラブルがある」と話し、当初はえん恨を中心に捜査していた。
B 手錠や遺体を沈める重りを準備していて計画的だったし、全員殺害、海中への遺体投棄は面識がある人物の仕業をうかがわせた。えん恨を基本線にした捜査は当然だろう。
C 県警も、我々取材班も、松本さん一家に何の面識もない外国人による事件とは考えられなかった。県警幹部が「交友関係が非常に複雑だ」と頭を抱えていた。
D ただ、一部の捜査員は当初から「たとえ暴力団でも幼子まで殺して海に沈めるまではしない。日本人ならあそこまでやれない」と漏らしていた。でも「では誰が」となると、外国人に結びつく材料はなかった。
◇ビデオ公開の時期
――事件が急展開するきっかけになったのは、中国側が身柄拘束している王亮容疑者(21)が、手錠や鉄アレイを購入した店の防犯ビデオの映像だった。王容疑者は、楊寧容疑者(23)とともに事件の4日後に帰国した。県警は事件から約1カ月たってビデオ映像を基に似顔絵を公開したが、公開が遅れたのではないかとの声もある。
D もっと早く公開していたら、これほど時間がかからなかったかも知れない。だけど、もし映像の人物が事件に無関係だったら人権侵害になる可能性はある。
A 事件の計画性からみて、映像の男はただ購入を依頼された「善意の第三者」の可能性があった。公開が遅れたのもそのためだ。
E 似顔絵公開で、王容疑者と分かった後も「問題は誰が(購入を)頼んだかだ」と話す捜査員もいた。
C だが実際、公開で「似ている」という通報があり、そこから動いた。公開が遅れたと批判が出ても仕方がない。
E それは結果論だ。145人態勢で1カ月捜査したが行き詰まった。だから公開に踏み切ったということだ。
◇県警も黒幕追う
――県警が8月6日に別の傷害容疑で逮捕した魏被告が、9月中旬になって関与を認める供述を始めたが、その時点でも指示や依頼をした「黒幕」がいると考えたか。
A 魏被告の供述が得られる以前に、松本さんの車から採取した微物から検出したDNAと、王容疑者の部屋などに残っていたDNAが一致した。これらから3人が実行した疑いは物的にもほぼ確実になった訳だが、その時も県警はまだ黒幕がいるとみている面もあった。
D 魏被告は「3人でやった」と供述したが、私も背後に誰かがいると考えた。松本さんと中国人3人に接点がなかったからだが。
C 松本さん宅から大金が奪われた形跡もなかったし。
E 仮に強盗が目的なら殺害、遺棄する必要がない。やはり何らかの意図を持った黒幕が存在すると思った。
◇「決着」に異論も
――いずれにしても県警は中国人3人の強盗殺人目的の事件と断定した。黒幕はいなかったという決着になりそうだが。
E 釈然としない思いが残る。やはりなぜ幼い子供まで殺して海に沈めたのか、その残虐性の背景が引っかかる。魏被告の「失跡に見せかけるため」という供述は素直に信じられない。「自分も同じ思いだ」という捜査員もいる。
B 魏被告の供述は、事件を発覚させないためだったという点で筋は通るよ。残虐と言うが、彼らは外国人。すべてを日本人の価値、常識で考えると間違う。魏被告が、別の強盗計画でも「全員殺すつもりだった」と供述しているが、想像を絶している。
D ではなぜ松本さんを狙ったのか。「ベンツがあり金持ちと思った」と言っているが、ベンツなら他の家にもある。やはりこの供述は腑(ふ)に落ちない。
A Bが話したように3人は他にいくつか強盗殺人計画を練っていた。実際、魏被告は別の2人との強盗罪で起訴されているし、3人は他に窃盗もしていた。「失跡を装った強盗殺人」との見方に異論はない。
C 同感だ。当初、荒っぽい手口から暴力団の関与が疑われたが、中国人3人と暴力団の接点は確認できていない。金に困った3人が窃盗に手を染めるようになり、短期間に強盗殺人にエスカレートしたと考えるべきだろう。
B 魏被告の公判では、すぐにカッとして女性を殴るなど短絡性も指摘されている。松本さん一家を狙った理由、殺害した理由、遺棄した理由にこだわるのは分かるが、すべての事件に合理性がある訳ではない。
◇解明、法廷に期待
――今後解明すべき点は。
E 目撃証言との食い違いがある。事件前後に松本さん宅に女性が出入りした▽ベンツと並走する外車から王容疑者とみられる男が顔を出していた――などは3人の供述と食い違う。
A 何より、誰が誰を襲撃・殺害したかという基本的な事実についての供述が一致していない。これは大きな課題だろう。
B それに松本さんの車を放置した場所が、なぜ久留米だったのかも分からない。
D 彼らは窃盗や強盗を繰り返していたようだが、いつごろから金を奪う以外に殺害を目的にするようになったのか。今後の捜査や公判に期待したい。
◇この事件から…
――学ぶ意欲を持って来日したはずの留学生による凶悪事件という意味でも、衝撃は大きかった。我々が学び取る点があるとするなら、何だろう。
D 定員割れを留学生で補う大学や専門学校がある。犯罪を犯す外国人を非難するだけでなく、受け入れ側の安易な姿勢もたださないといけない。入国審査の厳格化も一つの方法だ。既にそうなりつつある。
C その流れには反対だ。鎖国のようなことはすべきじゃない。福岡でもサービス業や製造業の労働力として、外国人はなくてはならない存在になっている。むしろ、彼らが孤独に陥るのを防ぐ支援態勢を充実させる方が先決じゃないか。
A 捜査側にも大きな課題が突き付けられたと思う。つまり殺人事件といえども、動機中心の捜査では限界がある時代になったということ。常識では推し量れない理由で事件が起こっている。外国人が絡む事件もそうだし、少年事件もその範ちゅうに入るだろう。捜査する側も頭を切り替えていかないと、現実に即応できない時代だ。
E また、この事件は、日本と中国の捜査協力の先駆的なケースになっている。外国人犯罪の半数は中国人が関係すると言われる中で、国境を超えた捜査の進展にも注目したい。
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◆一家4人殺害事件の主な経過◆
6月20日 魏被告ら中国人3人が、福岡市東区馬出4の松本さん宅に侵入。供述によると、妻千加さん(当時40歳)を襲い、長男海君(同11歳)を殺害。長女ひなちゃん(同8歳)を人質に帰宅した松本さんに現金を要求したが抵抗され、松本さんの首を絞めた後、ひなちゃんを殺害。同日、4人の遺体が博多湾で発見され事件発覚
24日 松本さんのベンツが久留米市内の駐車場で発見される
7月22日 県警が王容疑者の似顔絵を公開
8月 6日 魏被告を傷害容疑で逮捕
9月 2日 魏被告を携帯電話購入の詐欺容疑で再逮捕
13日 魏被告を中国人留学生に対する強盗傷害容疑で再逮捕
28日 県警捜査員が訪中
11月24日 中国公安省捜査員が来日
26日 県警が中国人3人による強盗殺人目的の事件と断定
12月 7日 県警捜査員と福岡地検の検事が訪中。王、楊容疑者の聴取に立ち会う
18日 中国の公安省捜査員再来日。24日帰国
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■メモ
◇外国人犯罪
外国人犯罪は増え続けており、政府は少年犯罪とともに重要視。対策に乗り出している。
警察庁のまとめでは、今年1〜11月の外国人の総検挙件数は3万7016件で昨年同期比13%増えている。また検挙者数は1万8444人(同22%増)で、ともに過去最悪のペースで増加し続けている。刑法犯の検挙件数のうち83%は窃盗犯。一方国籍別でみると、検挙者の52%が中国人だった。
政府の犯罪対策閣僚会議は「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」を定め、約25万人に上る不法滞在の外国人を今後5年間で半減させるのを目標に、罰則強化のため出入国管理及び難民認定法の改正を求めている。
具体的な対策として、外国人の就労時に外国人登録証による身元確認を求める▽宿泊時に旅券番号の記入を徹底させるなど。一方、こうした対策が外国人差別や人権侵害にあたるとの指摘があるなど課題も残されている。(毎日新聞)
[12月25日20時55分更新]