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政治経済
Dec 16, 2003 19:15 JST
福井日銀総裁:景気は全体として順調に回復傾向−テンポは緩やか(5)
(国債の買入償却に関する発言を一問一答を追加します)
12月16日(ブルームバーグ):日本銀行の福井俊彦総裁は16日午後、本店 で定例記者会見を行い、景気について「全体として順調に回復傾向をたどり始めて おり、年明け以降も回復傾向を続けるとみている」と指摘。そのうえで「過剰債務 など構造問題が根強く回復テンポがにわかに高まることはなく、緩やかな回復が続 くとみている。消費者物価前年比上昇率も小幅なマイナスが続くと予想している」 と述べた。
為替相場の円高については「企業収益への影響は現在までのところ、さほど大 きな影響がない状況で来ている」としながらも、「日銀企業短期経済観測調査(短 観)の業況判断も先行き少し慎重な部分があるが、いくばくかそういう懸念が反映 されている可能性もある」と指摘。
そのうえで「以前に比べて、企業は収益の上げ方を非常に多角化しながら経営 しているので、従来と同じ尺度で収益に打撃が与えるとは必ずしも考えなくて良い かもしれない」と述べた。
経済財政諮問会議でマネーサプライについて議論があったことについては「構 造調整のなかで歓迎すべきマネーサプライの縮小も起こる」と指摘。そのうえで 「(諮問会議では)意見の不一致はなかった」と述べた。
主な一問一答は以下の通り。
――景気判断は。
「10月の展望リポートで示した標準シナリオに概ね沿って経済・物価情勢が 動いていると判断している。全体として順調に回復傾向をたどり始めた。年明け後 もこの回復傾向が続くとみている。ただ、過剰債務など構造的な要因はなお根強く、 回復テンポがにわかに高まるということではなく、引き続き緩やかな回復を続ける という見方だ。消費者物価も基調的には小幅なマイナスが続くと予想している」
――経済財政諮問会議でマネーサプライについて議論があった。
「マネーサプライの動きを軸に金融政策を正確に評価できるのかどうか、とい う議論については、最終的なマネーサプライの伸び率だけでは、今のように構造改 革がむしろ好ましいペースで進み始めている状況のもとでは、正確に判断できな い」
「金融緩和政策が直接マネーサプライにプラスに働く要因と、企業や金融機関 のバランスシート調整が進む、つまり構造調整が進むなかで、非常に歓迎すべきマ ネーサプライの縮小が起こる。その両方の要因、中身をよく分解して理解しないと 正確な判断ができない。この点について、経済諮問会議のメンバーで議論した結果、 意見の不一致はなかったと思う」
――マネーサプライの伸び率が低いことも一概に悪いことではない、ということか。
「金融緩和が不十分だからマネーサプライが縮んでいる、あるいは経済の実体、 あるいは金融システム不安の実態と間尺に合わない金融政策をやっている結果、マ ネーサプライが縮小しているとすれば、それは好ましくない縮小だ。そこはよく点 検しなければならない」
「われわれが現在点検する限り、緩和効果の浸透によって金融市場は非常に落 ち着いている。金融機関の資金繰りに問題があるがゆえにマネーサプライが不当に ブレーキがかかっているというのではないのではないか。むしろ、そういう不安が 少しずつ解消し、資金繰りも円滑につく環境のもとで、不良債権処理が先行してい る金融機関は、貸し出し態度が次第に前向きになってきている」
「しかし一方、金融機関が不良債権処理を進めるということは、借金を返して くれない企業に対して償却し、預金と貸し出しを相殺するので、預金は減っていく。 企業の方も、過去の過剰借り入れを早く返すということは、構造改革そのものだ。 過去の過剰借り入れを返せば、マネーサプライは減る」
「これはまさに歓迎すべきマネーサプライの圧縮要因が作動している。歓迎す べき増加と歓迎すべき減少を差し引きし、正しい評価をしなければならない。歓迎 すべからざる現象があるとすれば、それは、われわれの政策対応としてきちんとや っていかなければならない」
――経済財政諮問会議は「改革と展望」を取りまとめているが、2006年度に名目 成長率2%を公約にする方向で議論している。日銀は量的緩和解除を「総合判断」 をする際、名目成長率2%を達成しているかどうかも重視されるのか。
「2006年度だからまだだいぶ先だが、2006年度に政府がそういう目標を掲げ、 国民が支持し続けていくのであれば、日銀の金融政策の成果もできる限り、それに 整合性の取れたものになるよう努力するのは当然のことだ」
「しかし、計画経済ではない。経済は生き物であり、実体経済の動きと物価の 動きが機械で計算したようにともに同じペースでその的に収斂(れん)していくか どうかは、今後さまざまな与えられる条件によって、ダイナミックな変化を遂げる だろう。そこは非常にチャレンジングな課題だ」
「とりあえず、われわれは消費者物価の前年比変化率が安定的にゼロ%以上に なるという目標をできるだけ早く達成するということが、2006年度に名目成長率 2%という目標が国民に支持され続けるのであれば、その目標に向かう道に、物価 安定の道筋も平仄(ひょうそく)が合って行き得るのではないか。つまり、われわ れ自身が掲げる目標をなるべく早く実現することが、その2つの路線が沿っていく という方向に至る可能性が強いと思っている」
――為替相場の円高について。
「企業収益への影響は、現在までのところ、さほど大きな影響がない状況で来 ていると思う。日銀企業短期経済観測調査(短観)の業況判断も、先行き少し慎重 な部分があるが、いくばくかそういう懸念が反映されている可能性もある」
「ただ、以前に比べて企業の収益の上げ方は、輸出取引ももちろんあるが、海 外投資の結果として収益を上げる部分もあり、収益の源泉を非常に多角化しながら 経営しているので、従来と同じ尺度で円が強くなれば、同じ程度に比例して収益に 打撃が与えると必ずしも考えなくて良いかもしれない。これからよく見極めていき たい」
――日銀は国債管理政策で、具体的にどのような協力を考えているのか。たとえば 日銀が大量の国債を保有するなかで、財務省との買い入れ償却に新たに応じること はあり得るのか。あるいは、満期が来た国債は現在、日銀乗り換えとして短期国債 (TB)に乗り換えているが、もっと長めの国債に乗り換えていくこともあり得る のか。
「国債管理政策と日銀の金融政策、ないし金融調節のための国債の売買は、目 的がかなり違う。具体的な着眼点はかなり違っている。今言われたような形で協力 し合うというよりは、やはり良い市場を作っていくという観点から、お互いに意思 疎通を図ることが一番のベースになる」
「(国債市場が)リスクフリーな金融市場であるということは、国債に信用リ スクが伴わないという意味であり、政府で既に確立している方針、つまり10年く らい先にプライマリーバランスをきちんと回復するという方針があるわけで、そう した大きな方針が必ず実現していけるような経済運営について、いつも協力してい かなければならないということはあると思う」
「より短期的に言うと、しばらく大量発行が続くので、大量発行を市場のなか で円滑に消化しながら、政府としては長期的にみて低いコストで調達できる、日銀 としては過大な市場リスクを負担しない形できちんと金融調節の目的がまっとうで きる、そういうふうに具体的な着眼点は違っている」
「しかし、その拠って立つところは、市場の基礎的な信認が損なわれない、 そして市場の機能が常に流動性が高く、透明性が高いという意味で機能度が高い、 これを保全していくために知識の交換、お互いがそれにもとるような行動をしてい ないかどうか、よく確認していくことが基本になる」
「買い入れ償却うんぬんと言われたが、そのこと自身がすぐ国債管理政策への 協力になるかどうかは、具体的な問題が問題として考えなければならないときに、 当然そういう観点から検討がなされると思うが、買い入れ償却に応じることがアプ リオリに国債管理政策への協力かどうか、これは一概に言えないと思う」
Last Updated: December 16, 2003 03:56 EST
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