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http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20040114301.html
Amit Asaravala
2004年1月9日 2:00am PT カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究グループがまとめた成果によると、近い将来、地震学者が数ヵ月先の地震を予知できるようになるかもしれないという。
このグループが6日(米国時間)に明らかにしたところによると、新たに開発された手法を用いて、昨年カリフォルニア州と日本で発生した複数の大きな地震を高い精度で予知したという。予知された地震の中には、昨年12月にカリフォルニア州中部のパソロブレスを襲ったマグニチュード6.5の地震や、昨年9月に北海道付近を襲ったマグニチュード8以上の地震[平成15年十勝沖地震]も含まれている。
研究グループでは、予知技術の概要を記した論文を、地球物理学に関する国際的学術誌『フィジックス・オブ・ジ・アース・アンド・プラネタリー・インテリアーズ』(地球惑星内部物理学)に提出している。
今回の研究を率いた地震学者のウラジミール・ケイリス=ボロック教授は、この研究における進展を「画期的なものだ」と述べている。
「短期予知は不可能だと考える人が多かった。だがわれわれは世界中の科学者の研究成果に基づき、それが可能だということを示した」とケイリス=ボロック教授。
今回発表された新たな手法は、大きな地震の前に起きることが多い、震動の小規模な「連鎖」を考慮に入れる点で、従来の手法とは異なる。
ある地域で小さな地震が多発していることが明らかになった場合、研究グループはその地域の過去を分析し、さまざまな地震のパターンを探す。同様のパターンが他の時代にも見つかった場合、今後9ヵ月の地震について予知を発表するという仕組みだ。
この新たな手法を使っても、今後起きる地震の正確な日時を特定することはまだできないが、UCLAの研究者たちは、予知の範囲を数ヵ月間にまで絞ることは可能になったとしている。
たとえば昨年6月、UCLAの研究グループは以後9ヵ月以内にマグニチュード6.4規模の地震がカリフォルニア州中部を襲うとの予知を発表した。パソロブレスでマグニチュード6.5の地震が起きたのは、予知から半年後の12月22日だった。
同チームはまた2003年7月、日本北部についても同様に、9ヵ月以内にマグニチュード7以上の地震が起きると予知した。その後、9月25日(日本時間26日)にマグニチュード8を超える地震が北海道で発生している。
どちらの地域でも、このような大規模の地震は長期間観測されていなかった。
「予知が偶然に当たった可能性は非常に低い。われわれは短期間のうちに起きる地震の前兆を特定する手法として、震動の連鎖を用いている。だが、中期的な周期を特定する従来の手法も併用して、偶発的な連鎖から生じたものは前触れとはみなさないようにしている」とケイリス=ボロック教授。
研究グループは現在、カリフォルニア州、日本、中東の地震パターンを調査している。だが、ケイリス=ボロック教授によると、昨年12月にマグニチュード6.6の地震が発生し数万人にのぼる犠牲者が出たイランのバム付近の情報については、まだ何の情報も分析していなかったとのことだ。
短期間の正確な地震予知は、かねてから地震学の究極の目標とされてきた。しかし、過去20年にわたる研究成果ははかばかしくなく、多くの研究者は研究対象を他の分野へと移していった。
そのため、今回の新しい成果についても、模様眺めの態度を取っている地震学者もいる。
米国地質調査部に所属する地震学者、ジム・デューイー氏は「今のところ、地震学の世界での評価は割れている」と語る。「地震予知など不可能だとして譲らない学者たちが半数いる。あとは、今回の結果を楽観的に捉える意見から、画期的な成果によって地震学という研究領域そのものが将来的に一変する姿を思い描く声まで、さまざまだ」
「それでも、真の課題は『もしこの手法が正確だとしたら、実際にどういう対策を取るのか?』ということだ」とデューイー氏は指摘している。「科学的に正しいものなら、これは科学における大躍進だ。だが、予知の時間的な幅でいうと、建築基準を変えるには時間が足りないし、住民を避難させるには期間が長すぎる」
ハーバード大学のジョン・ショー教授(構造地質学・経済地質学)も、もし今回の手法が正確だと証明された場合、この予知を使おうとする人たちは使用目的を慎重に見定める必要があると指摘している。
「従来の地震学の進展によって得られた成果は、時間の尺度でいうと、10年単位か、あるいは数十秒単位だ。10年単位の予知があれば、建物の建築方法を変えられる。また、われわれが現在研究中の早期警戒システムが実現すれば、ガスなどの供給を大地震が来る直前に遮断できる」とショー教授。
同教授はさらに「予知を使う目的は、建物への対策に絞るべきだ。言うまでもなく、地震の際に人が死ぬ原因となるのは建物で、地震そのものではないからだ」と述べた。
ケイリス=ボロック教授は、自分たちの研究が、今後のさらなる進歩によって、地震予知は可能だということを証明する一助になることを望んでいるという。また、地震が予知できれば、地域社会でも事前に緊急対応チームを準備できるようになることも期待している。
「われわれが予知をする際には、いつも適切な関係当局と協力しあっている。こうすれば、予知情報をどのように使うのが最良なのかを、当局側が決められる」と同教授。
ケイリス=ボロック教授率いるUCLAの研究グループは、予知手法の正確さを検証するため、今後起きる可能性のある地震についても試験的に予知を続ける計画だ。
パニックや経済的な損失を招く恐れから、研究グループは予知を事前に公表することを控えている。だが、UCLAが6日付けで発表したプレスリリースによると、人があまり住んでいないカリフォルニア州南部のモハーベ砂漠南部で、今年の9月5日までにマグニチュード6.4規模の地震が起きる可能性があり、注目しているという。
[日本語版:長谷 睦/高森郁哉]
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WIRED NEWS 原文 (English)http://www.wired.com/news/technology/0,1282,61828,00.html