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江戸時代以前に建てられた五重塔について、藤田香織・東京都立大講師(建築学)らが過去の地震による被害を調べたところ、倒壊した例は見つからなかった。五重塔はなぜ地震に強いのか、藤田講師らは津観音五重塔(津市)に地震計を設置し、理由を探る研究を進めている。
専門家の間では以前から、五重塔は耐震性に優れている可能性があるとされている。その理由として(1)柱が各層ごとに分かれ、太くて短いため転倒しにくい(2)中心の「心柱」が揺れてエネルギーを吸収する(3)大地震に遭遇していないのでたまたま残っている――などの説があるが、確定していない。
被害を統計的に調べた研究が見当たらないため、藤田講師らは江戸時代以前に建てられた五重塔22カ所を対象に調査した。その結果、12の五重塔に詳細な修理報告書があり、震度6以上と推定される地震に延べ16回遭遇していたことが分かった。うち7回は被害状況も記録されており、傾いた塔や最上部の相輪(そうりん)と呼ばれる部分に被害が出た塔はあったが、倒壊した記録は見つからなかった。
例えば池上本門寺(東京都大田区)の五重塔は、1614年の地震と1923年の関東大震災で傾いた記録があるが、倒壊はしていない。江戸に大きな被害が出た安政江戸地震(1855年)でも境内のいくつかの建物が被害を受けたが、五重塔には被害の記録がなかった。
藤田講師らは現在、津観音五重塔の1、3、4階の天井と地面に地震計を設置し、観測を続けている。これまで地震で五重塔がどう揺れるかを測定したデータはなく、謎を解く鍵になる可能性がある。藤田講師は「これだけの数を集めても倒れていないということは、たまたま残っているわけではないと考えられる。五重塔は古い木造建築の集大成で、なぜ倒れないのかを検証していくことで伝統建築物の構造を精密に解明したい」と話している。【鯨岡秀紀】
[1月8日15時3分更新]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040108-00001060-mai-soci