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港の耐震化は足踏み状態、岸壁改善が目標の4割
大地震に備えて救援物資の運搬船や避難住民の輸送船を接岸させるために耐震強化をした港湾岸壁(バース)で、荷揚場や周辺道路の耐震対策をしていないなど、緊急時に利用が危ぶまれる施設が多いことが、会計検査院の調べで分かった。
1バース当たり数10億円という巨額の建設費がネックとなり、岸壁の耐震化自体も目標の4割程度にとどまっている。阪神大震災で海上輸送の重要性が認識されたが、その教訓が生かされていない形だ。
耐震バースは、1995年1月の阪神大震災で道路網が寸断され、破損しなかったわずかな岸壁を使って海上から救援物資を運び込んだ教訓から、翌96年に整備計画が立てられた。国土交通省は2010年までに全国の40都道府県184港で336バースを整備する目標を掲げ、これまでに約1500億円を支出している。
ところが、今年3月末時点で工事が完了したのは、73港の140バースしかなかった。耐震バースは阪神大震災クラスの直下型地震に耐えられる構造にするため、建設費が通常の岸壁より1・4倍ほどかかることが、整備の遅れを招いている。しかも、検査院が岸壁の補強が完了した港湾を調べたところ、救援物資の荷揚場や、岸壁と一般道路を結ぶ臨港道路の耐震対策をしていなかったり、対策が必要かどうかの調査すらしていなかったりして、物資を運搬船から被災者まで届けることが難しい施設が相次いで見つかった。
さらに、〈1〉岸壁に近接した民間の倉庫や、民間企業に貸している荷揚場を、災害時に開放させる協定を結んでおらず、救援物資の置き場がなくなる〈2〉自治体の港湾施設リストや地域防災計画の中に、耐震バースの場所が明記されておらず、どこに接岸すればいいか不明――など、行政の管理がずさんなケースもあった。
千葉県は東京湾に面した千葉港、富津港など計10か所の耐震バースを整備する計画で、現在、7か所目の工事を進めているが、荷揚場や港湾内の道路は古いままで、耐震補強が必要かどうかの調査は今後の課題だという。道路には河川をまたいでいる場所もあり、災害時に橋が落ちる危険性もある。県港湾整備課は「バースを耐震化しても、液状化現象が起きて荷揚場や道路が使えなくなると、救援物資を被災者に運べなくなる恐れがあるが、今はそこまで手が回らない」と話す。
一方、香川県は高松港に2か所の耐震バースを建設する計画を立てているが、着工すらしていない。県港湾課は「バース1つにつき数十億円の建設費がかかると見られる上、周辺施設の耐震化にも金がかかるため、とても我が県だけでは造れない。毎年、国に補助を要請しているが、予算が付かない」とこぼす。
これについて、国土交通省港湾局は「大地震などの災害はどこで起きるか分からず、限られた財源で効率的な整備を進めたい。港湾管理者と防災担当者の連絡も緊密にし、災害時に港湾施設が利用できなくなることがないようにしたい」と話している。
◆耐震バース(耐震強化岸壁)=岸壁本体となるケーソンと呼ばれる箱形のコンクリートや、地中の土台を巨大化するなどして、耐震性を向上させた岸壁。阪神大震災で、強化済みの岸壁は破損せず、救援物資運搬に利用されたことから、有効性が注目された。(読売新聞)
[11月12日14時42分更新]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031112-00000207-yom-soci