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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040116-00000153-mai-soci
総務省は15日、ADSL(非対称デジタル加入者線)や第3世代携帯電話などによるブロードバンド(高速大容量)通信の爆発的普及に伴いインターネット上の通信量が毎年倍増していることから、早ければ5年以内にも基幹通信網である長距離中継回線(バックボーン)の容量が不足し、通信障害が生じかねないとの判断を固めた。このため、同省は通信危機を回避するため、今月中にも、大手通信事業者、電機メーカー、有識者で構成する研究会を発足させ、通信インフラ増強に向けた緊急対策に乗り出す。夏までに中間報告をまとめる方針。
電話局から各家庭までをつなぐ「アクセス網」では01年以降、通信量が急増しており、対前年比2倍以上の伸びを示している。このまま倍倍ペースで推移すれば、5年後には32倍、10年後には1000倍超になる計算だ。これがバックボーンの通信量急増につながる。03年末現在のバックボーンの最大通信量は毎秒40ギガビット(ギガは10億)で、バックボーンの現在の最大容量は80ギガビット。現在の設備を前提にすれば、容量を増幅する技術を用いても1テラビット(テラは1兆)までが限界で、5年後には実際の通信量が最大容量を上回ってしまう。
今後、家庭向け光ファイバーサービス(FTTH)の利用者が増え、電子政府や遠隔医療などネットの高度利用が進めば、「ペタ(1千兆)クラスの通信インフラが必要になる」(同省総合通信基盤局)という。
このため、同省は現在の通信インフラ構造の抜本的見直しを目的に、「次世代IP(インターネット・プロトコル)インフラ研究会」(仮称)を近く発足させることにした。NTTグループをはじめネット接続大手のIIJ、NECなどが参加する予定で、麻生太郎総務相は同日、鈴木幸一IIJ社長と会談し、「日本は世界一速くて安いブロードバンド環境を実現した。引き続きトップであり続けるために、通信インフラ増強に取り組みたい」と緊急対策の必要性を強調した。
研究会では、具体的には▽将来のバックボーン不足に備えた光ファイバー敷設▽大容量通信を可能とする機器・技術の開発▽インフラ投資の回収ができる料金体系の在り方――などについて詳細な検討を行う。このうち、バックボーン増強については「数十兆円単位の投資が必要」(同省幹部)とみられ、国、通信事業者、利用者間の費用負担のあり方も焦点となる模様だ。【伊藤一博】
バックボーン 電話局から各家庭まで引かれた電話回線や光ファイバー回線をアクセス網(加入者回線)、電話局から先の長距離中継回線網をバックボーンと呼ぶ。バックボーンは、市町村や都道府県間をつなぐ基幹回線の役割を果たし、いわば通信の「大動脈」。その大部分が光ファイバー回線。(毎日新聞)
[1月16日3時2分更新]