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IT業界は2004年、新たな成長期を迎えそうだ。新しいカレンダーをめくる前に、この1年のトピックをまとめておこう。
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ドットコム崩壊後の混乱とハイテク不況が2年続いた後の2003年は、米IT業界にとって、技術革新を続けながら、市場回復への期待を膨らませた年だったといえる。
企業のCIO(最高情報責任者)は、ハードとソフトのアップグレードに再び予算を充てた。各分野の大手は、新たな市場を開拓しようと新興企業の買収に走った。そして幾つかの技術は「早期採用」の段階から「マスマーケット浸透」へと歩を進めた。
年後半には、IT市場回復の見通しをめぐる業界幹部の口調も次第に楽観的なものになっていった。
そして、ここ最近の経済指標や決算報告から判断すると、IT業界は2004年、新たな成長期を迎えそうだ。新しいカレンダーをめくる前に、internetnews.comがまとめた2003年の業界10大ニュース/トレンドを以下に紹介する。
▼ 10位:EMCの買収攻勢でストレージ業界の競争過熱
米EMCは言わずと知れたストレージシステム大手だが、同社は2003年、ストレージ管理ソフトメーカーのLegato Systems、エンタープライズコンテンツ管理(ECM)製品メーカーのDocumentum、さらには仮想化ソフトメーカーのVMwareを買収するという、いつになく積極的な分野拡大の意欲を示した。
この動きが、ストレージ市場の同業他社を同じような資産取得へと向かわせた。Hewlett-Packard(HP)はストレージ管理ソフトメーカーのPersist Technologiesを買収、日立はECM専門企業のIXOS Softwareと提携、IXOS自身はコンテンツ管理ソフトメーカーのOpen Textに買収された。
こうしたストレージ、管理ソフト、コンテンツ管理の統合傾向は、エンタープライズ分野で情報ライフサイクル管理(ILM)と呼ばれる新分野の台頭を促している。
文書を10年以上保存するよう義務付けた新たな連邦規制に押され、米国企業は徐々に、1社のベンダーから全システムを調達する道へと傾きつつある。
▼ 9位:オンライン音楽をめぐる訴訟と有料サービスの台頭
全米レコード協会(RIAA)が個人ファイル交換者の追及を開始した9月以降、数百件の訴訟が音楽業界によって起こされた。一部のユーザー、インターネットサービスプロバイダー(ISP)、大学はひるまなかったが、音楽業界の強硬策は幾度もニュースの見出しを飾った。
こうした訴訟への恐怖のためか、それとも有料化に対し前向きな姿勢が生まれたせいなのか、2003年は、デジタル音楽業界にとっては良い1年だったといえる。
米Appleが10月に立ち上げたWindows版のiTunesサービスは、大方の予想を裏切る好成績を収めている。また、これとほぼ同時に、一連の騒動の発端としてあがめられも非難されもするNapsterが、新たなオーナーRoxioの下で復活を遂げた。
さらに、DellやWal-Martなどもデジタル音楽サービス提供に乗り出しており、この市場は2004年、さらに大きく拡大する見通しだ。このことは、企業IT管理者にとっても朗報となった。一部のP2P音楽ネットワークの崩壊により、IT管理者のセキュリティ上の悩みの種が幾分減ったからだ。
▼ 8位:RFIDの浮上
2003年、世界で無線LANホットスポットの数が増え続ける中、ポストITバブル時代の最も注目すべきトレンドの一つとして、無線ICタグ(RFID)技術が浮上してきた。米小売大手や米政府機関が同技術への関心を高め、動きを起こしたことが追い風となった。
米小売大手のWal-Martは、大手サプライヤー100社に対し、2005年までにWal-Martに供給する全商品のケース/パレットにRFIDを装備するよう求めた。米国防総省もRFID対応の期限を設定した。
サプライヤー各社は大口顧客を失うまいと、必死で期限遵守を目指している。これに伴い、Sun Microsystems、IBM、IntelなどのIT各社は新興企業数十社とともに、RFID採用の遅れにつながりかねない干渉問題などを解決するための大掛かりな取り組みを展開しつつある。
しかし、需要は幾つものセクターで生まれつつある段階で、2003年は、RFIDが「発射台の上に据えられた年」として記憶されることになるだろう。
▼ 7位:GoogleにIPOの期待
検索市場の寵児、Googleは2003年、未公開企業としての残り少ない人生を楽しんだ。守らなければならない業績目標は(少なくとも公には)ないし、四半期ごとに決算報告をする義務も、米証券取引委員会(SEC)規制に悩まされることもない、未公開企業ならではの気楽な日々だ。
しかし、NASDAQや、そのほかの主要証券市場では年間通して復調の兆しがみられ、また検索分野で引き続き競争が激化していることから、Google創業者らの株式公開(IPO)をためらう気持ちは和らいだようで、同社はIPO幹事会社の選定を開始した。
GoogleがIPOを検討しているというだけで、なぜこれを10大ニュースに選んだのか? それは、Googleサイトの普遍的な人気に加え、広告分野で有料検索の有効性が証明され、Microsoftが競合する独自検索サービスの開発(もしくは買収を検討)しているともいわれているからだ。
そして、Googleの公募価格の初期の見通しに基づくと、このIPOは最高で250億ドル規模のものになる可能性がある。これはドットコム最盛期をほうふつとさせる規模であるだけでなく、ほかの多くの未公開企業にもIPOを検討させ、企業にとってR&DやM&Aのための重要な資金源が復活するきっかけとなる可能性を秘めている。
ただ、気になるのは、Googleが株主への業績報告義務を背負った後も、インターネットトラフィックに対する底知れない力を保持できるかどうかだ。ライバルの多くは、そこで流れが変わる可能性もあるとみている。
▼ 6位:IT業務の国外流出が進む
ITメーカーは何年も前からアジアやその他の地域の生産力に頼ってきたが、2003年には、プログラミング業務も、米国外への移管が始まった。このことが高給取りのIT就労者間に将来への不安を呼んでおり、テクノロジーリーダーとしての米国のポジションが脅かされる恐れもある。
最近では米IBMも、中国やインドなど、技術のスキルが高く米国より賃金の安い国へと約5000職の移管を検討しているといわれる。
労働力を移して米国外で雇用創出しようとしているのはIBMだけではない。ITコンサルティング会社のAccentureはインドの陣容を倍増しつつある。HPも最近、インドのDigital GlobalSoftの残りの株式を買い取り、インド市場への投資を拡大した。
どちらの見方を信じるかは読者次第だが、この傾向は以下の二つのいずれかに相当する。(a) IT企業の競争力を保つために必要な措置、(b) 米国経済に破壊的打撃を与えかねない損得勘定優先の方向転換。
▼ 5位:IP電話の台頭
新技術に対する規制が永遠に続くことはあり得ない。経済情勢や法的問題、政策の影響度合いについて収集されたデータなどによって、ルールはしばしば書き換えられる。
だが今までのところ、VoIPに対しては、米連邦通信委員会(FCC)は不干渉のアプローチを取っている。この姿勢と、VoIP技術そのものの改良や低価格化などにより、消費者と企業のIP電話への関心は、年後半に向かうにつれて大きく高まった。
AT&TやTime Warner Cable、Qwestなど、米大手サービスプロバイダーの大半が、従来ネットワークより安価でサービスの追加も可能だとうたい、IP電話サービスのテストや発表に踏み切った。
また、2年以上にわたって苦境にあえいできた通信機器メーカー各社は、企業のIT管理者が、IP電話への切り替えと同時に、ほかのネットワークのアップグレードも検討するものと期待をかけている。
▼ 4位:スパム問題が深刻化
一攫千金をうたうものから、いかがわしい交際の提案まで、未承諾の望まれない電子メールの波が2003年、さらに大きく押し寄せ、事態は「迷惑」のレベルから「大打撃」のレベルへと悪化した。メールの受信箱も企業ネットワークも、かつてないほどに、スパムで溢れかえった。
米国議会はその対策として反スパム法を承認。同法案は先週、ブッシュ米大統領による署名も済ませた。これは、宣伝メールに対する初の全米基準となるもので、米連邦取引委員会(FTC)が施行に当たる。
支持者は反スパム法の制定を歓迎しているが、批判者は、同法には抜け穴があると反発している。
スパムに関する苦情はまた、ISPとWebメールサービス会社にスパムフィルター強化を促した。そして企業サイドでも、ソフト開発者がネットワークのストレス軽減と労働生産性向上のためにスパム対策の強化を図っている。
反スパム法に定められた刑罰が正式に発効するのは2004年夏であり、新法の効力が実際のところいかほどかは、来夏以降の判断となる。
▼ 3位:バグの当たり年
コンピュータとネットワークのセキュリティにとっては受難の1年だった。専門家は、2003年はこの意味で、過去最悪の年だったと振り返る。8月だけでも、Blasterワーム(Lovesan、MSBlastなどとも呼ばれている)がMicrosoftのOSを搭載したPCに大混乱をもたらした。
このワームとその亜種は、リモートから感染システム上でコードを実行するための入り口を開けるだけでなく、感染をさらに拡大するための探査活動を展開、脆弱性修正のためのパッチを提供しているサイトwindowsupdate.comに対する総攻撃の可能性まで探っていた。
ほかにも一連のセキュリティ上の問題が企業ネットワークを悩ませ、永遠に続きそうな警告とパッチの繰り返しに、IT管理者は時間とエネルギーを奪われ、生産性が損なわれた。
Microsoftがここへきて公開性を重んじるようになった要因の一つには、(欧州委員会やオープンソースコミュニティーからの圧力だけでなく)Microsoftのコードの欠陥に対するユーザーの怒りがあったろう。
▼ 2位:OracleのPeopleSoft買収提案
ソフトウェア大手同士の戦いほど興味深いものはない。赤コーナーには「ソフト業界統合の勝者」を目指すデータベースソフトの巨人Oracle、青コーナーにはアプリケーションベンダーのPeopleSoftだ。Oracleは、J.D. Edwardsの買収を決めたPeopleSoftに敵対的買収を仕掛けた。
しかし、この70億ドル強の買収計画には幾つもの障害が持ち上がった。PeopleSoftが買収を断固拒否する姿勢を決め込んだこともその一つ。
PeopleSoftは数度の提示を退け、計画どおり10億ドルかけたJ.D. Edwards買収を実行。Oracleは、PeopleSoft株の買い取り提示額を引き上げざるを得なかった。そして両社の非難合戦は、プロモーターのドン・キングが仕掛けるバトルにも負けないほどに激烈化した。
一方、米司法省はこの乱闘に目を光らせ、OracleとPeopleSoftの合併が市場競争を阻害しないか判断するため、同業のほかのメーカーからも事情聴取している。PeopleSoft買収に成功した場合、OracleはエンタープライズソフトメーカーとしてドイツのSAPに次ぐ世界第2位となる。
▼ 1位:SCOのIBM提訴=オープンソースをめぐる一大論争
2003年3月、米SCO Groupは、UNIXライセンス不正利用の疑いでIBMを提訴した。IBMの行為によって数十億ドルの売上機会喪失という打撃を受けたとしている。
知的財産論争として始まったこの訴訟は、今や、フリーのオープンソースソフト支持者と知的財産の危機を唱える人々との間の一大論争に発展している。
IBMは8月、SCOが起こした訴訟こそIBMとの契約違反に当たり、SCOはIBM特許を侵害し、不正競争行為に及んだなどとしてSCOを反訴した。
この訴訟とLinuxディストリビューター各社からの相次ぐ反論は、「オープンソースは誰かの所有物なのか?」という難解な疑問を提示。企業におけるオープンソースソフトとLinuxの存在感が確実に増す中、この問題は、2004年もハイテク界注視の論争テーマであり続けるはずだ。
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[2003/12/26 17:12:00 更新]
http://www.zdnet.co.jp/enterprise/0312/26/epic03.html