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2003/12/04 23:59:59 更新
Winnyに参加しただけで摘発も? 〜ACCS (1/2)【ZD_Net記事】
http://www.zdnet.co.jp/broadband/0312/04/lp13.html
「Winnyなら匿名性が高いため、違法ファイルを流しても摘発されないだろう――」。そうした著作権侵害者たちの考えは、先月末に覆された。捜査側はどうやってWinnyの暗号化を解読したのか、今後同様の摘発は続くのか? ACCSに聞いた。
「Winnyなら匿名性が高いため、違法ファイルを流しても摘発されないだろう――」。そうした著作権侵害者たちの考えは、11月27日に覆された。
コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)は同日、京都府警ハイテク犯罪対策室と五条署が、P2Pファイル共有ソフト「Winny」で公衆送信権利を侵害した2人を逮捕したと発表した(記事参照)。今年1月時点で、約22万人が利用したとされるP2Pクライアントソフトでの摘発に、多くの関係者の注目が集まっている。
逮捕にあたり、どうやってWinnyの暗号化を解読したのか、今後同様の摘発は続くのか。P2Pファイル交換ソフト全体に対する意見も含めて、ACCSの事業部主任兼、国際業務・広報担当の、坂田俊介氏に聞いた。
ACCSの国際業務・広報担当、坂田氏
「暗号化は解かれた」か?
WinnyはP2Pクライアントの中でも、匿名性を保持する機能が強化されたソフトとして知られている。ピア同士でファイル転送する際、データを暗号化した上で第3者を中継する方法をとっており、直接の通信相手が見えにくくなっている。これが、違法ファイル送信者の摘発を難しくしていた。
しかし京都府警察本部ハイテク犯罪対策室などは、捜査によってWinnyを利用する被疑者の身元、IPアドレスなどを特定したとしている。そして、これを実現した技術の詳細は、現状明らかにされていない。
ACCSの坂田氏は、捜査に関係する情報であるため、被疑者をどう特定したかは説明できないと話す。
「京都府警察本部ハイテク犯罪対策室では、独自にP2P技術の研究を行っている。(暗号化)技術は(解読の)技術で乗り越えられるということ」。これ以上は、核心に迫る部分だとして回答を避けた。
ISPの協力があったかについては「当然、ないとできないだろう」とコメント。捜査機関は一般に、IPデータ送信した人物を特定するにあたり「最終的なところでは、ISPに情報を開示してもらう必要がある」とした。
身元の割り出しにつながった直接の原因は、被疑者自身によるWinny BBSへの書き込みではないか、と推測する向きもある。自らスレッドを立て、「これからファイルを送信する」などと宣言したことで“足がついた”のであり、Winnyのファイル転送に伴う暗号化自体は解読されていない――すなわち、「暗号化解読」はWinnyユーザーに対する京都府警側の牽制ではないか――とする、うがった見方もある。
この点を坂田氏に聞くと、「BBSに書き込んだユーザーを特定しただけでは、そのユーザーが実際にファイル送信しているかどうか分からないのではないか」とコメント。京都府警側は、「暗号を解明した」との表現を使っていると指摘した。
Winnyに参加しただけで摘発も?
Winnyでは、前述のとおりファイル交換が成立するまでには複数のユーザーが介在する。Winnyユーザーにとって、第3者的な立場で違法ファイルを中継しただけでも罪に問われるかどうか、気になるところだ。
坂田氏は、「ファイル交換ネットワークに参加すること自体、摘発につながるということは言えるのではないか」と話す。
「ユーザーは(流通するファイルが)ほぼ100%、他人の著作物であることを把握、想像しているはず。それでもあえて使い続けるなら、(著作権侵害に)加担している、あるいはその主体であるという認識があるのだろう」。
もちろん厳密な意味で、インターネットに接続された端末に、他人の著作物の断片的なデータが存在することが“ファイルを送信可能な状態においた”といえるかどうかは、法解釈の問題になるだろう。坂田氏自身、法廷などで「徹底的に争うとなれば、(違法性を問えるか)分からない」と認めている。ACCSの賛助会員である法律事務所などの意見も、まだ正式には集約していないという。
しかし坂田氏は、「今回の摘発からも分かるとおり、Winnyを利用することは、リスクのある行為と知ってほしい」と強調する。中継しただけでも、摘発の可能性はあるだろうとした。
47氏の家宅捜索について
もう一つ注目すべきは、今回の件でWinnyソフト開発者である、いわゆる“47氏”が家宅捜索を受けていることだ。
次ページ:47氏に非はあるか?
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[杉浦正武,ZDNet/JAPAN]
Winnyに参加しただけで摘発も? 〜ACCS (2/2)
坂田氏は、47氏の家宅捜索は京都府警の独自捜査によるもので、ACCSとしては連絡を受けていないと話す。従って、あくまでも推測だと断った上で、「おそらく、ソフトウェアの内容を解明するためではないか。開発者本人を摘発するためではないだろう」という。
一般に、単純にP2Pソフトウェアを製造、販売しただけでは、罪に問われることはない。だが、自らの管理する中央サーバを用意し、またサービスを受ける人間を会員として組織化した上で、流通するファイルのほとんどが著作権侵害物で占められているようなら、民事ではP2Pサービス提供者の著作権侵害を認める判決も出ている(記事参照)。
Winnyの場合、47氏はあくまでソフトウェアを開発、頒布したにすぎない。ただし、そこで流通するファイルの多くは違法性の高いもので占められている事実を、坂田氏は問題視する。
「技術としてのP2Pを、否定するつもりはない。ただ、セキュアな仕組みを提供しないことは、サービス供給側として無責任。開発者が責任を問われる可能性は、ゼロではない」。
今後、逮捕者は増えるのか
坂田氏は、2001年にWinMXで逮捕者が出て以来(記事参照)、Winnyが開発され、そこに悪質なユーザーが流れ込んだという図式を指摘した上で、何とかして歯止めをかける必要があったと話す。それでは、今回の逮捕をきっかけに、今後大規模な摘発が続くのだろうか。
坂田氏は、「その可能性は否定しない」と前置きしてから、「ただ、やみくもに捕まえればいいわけでもない」と続ける。
今でこそ、著作権侵害者たちから目の敵にされるACCSだが、本来の活動目的は、ユーザーに著作権意識を高めてもらえるよう広報、啓蒙活動を行うこと(記事参照)。こうした活動により、違法ユーザーに自発的に著作権侵害行為をやめてもらうことが本筋だという。
「(前述のとおり)Winnyは、参加するだけでリスキーだと説明しているが、よく知らずに違法ファイルを中継してしまったユーザーまで、摘発の対象にしようとは思っていない」。
今後は、これまで以上に告知活動を行い、著作権について考えてもらう機会を作るとともに、10代のユーザーなど若年層に、総合的な情報の扱い方を教えていきたいとした。
「それも無視して、壁を乗り越えてくるユーザーには、対応せざるをえない」。
広報・啓蒙活動の“秘策”とは?
ACCSでは、違法の疑いがあるソフトを公開しているユーザーに、まず通告書を送付している。WinMXでは、ソフトに付属するIM機能を利用して、通告書の文面を送信する記事参照)。
しかし、Winnyではファイルの送信元に対し、連絡をとる手段がない。このため、今回の摘発でも事前の通告なしの逮捕に踏み切っている。だが坂田氏は、Winnyでもユーザーに、ダイレクトに語りかける手段がほしいと話す。
同氏は一つのアイデアとして、ACCSの専務理事である久保田裕氏あたりに、2〜3分程しゃべってもらって、この映像ファイルをWinnyで流通させてはどうかと話す。「本人は、意外と話に乗りそうな気もするが……(笑)。近日中に提案したい」
ACCSの久保田氏(7月のケーブルテレビ2003にて撮影)
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