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日本と中国を結ぶ国際的なIPv6ネットワークが、早ければ12月中旬に開通することが日経BP社北京支局の取材で明らかになった。このネットワークは、日本の経済産業省と中国の国家発展改革委員会が共同で敷設するもの。日中両国の政府が協力し合うことで、IPv6ネットワークの早期普及を目指す。
日中間のIPv6ネットワークに必要な通信機器の調達は済んでおり、今後は12月中旬の開通に向けて通信機器の設置とネットワークの敷設作業を進める。日本からはNEC、日立製作所、富士通の3社が参加し、ネットワーク機器の設置など技術面で協力する。
IPv6ネットワークの整備に併せ、その利点を生かしたアプリケーションの研究も進める。まず北京市で高度道路交通システム(ITS)の実証実験を始める予定で、同市の交通委員会など関連省庁が共同で準備を進めている。この実験は、北京市内を走るタクシーにIPv6のアドレスを割り振り、タイヤやワイパーなどに取り付けたセンサーからの情報をセンターに集約する。これにより局地的な渋滞情報や気象情報の提供、タクシーの運行効率化などにつなげる。
同様の実験は日本の名古屋市で2002年1〜3月に実施された。この際は同市内を走る約7000台のタクシーのうち1570台が実験に参加した。これに対し、北京市では現在約6万3000台のタクシーが営業している。現時点で参加台数は明らかになっていないが、運行エリアも広いことから、今回の実験は規模が格段に大きくなる見通し。
中国政府は、IPv6の導入に強い関心を示している。IPv6の先進国で各種実証実験を済ませている日本との協業により、IPv6の普及に弾みをつけたい考え。日本側にとっても、中国のIPv6市場が立ち上がった場合の実績作りに役立つ。
日中両国の政府はこのところ、IT分野の先端技術開発で相次ぎ共同歩調を取っている。最近では日中両国に韓国を加えた3カ国のIT政策関連省庁が音頭を取り、オープンソースOSを共同開発するプロジェクトを推進している。今回のIPv6ネットワーク敷設は、こうした動きに続くものとなる。(金子 寛人=北京支局特派員=日経コンピュータ)