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[2003/11/04]
やがて来るEA,それを迎えるJ2EE【ITPro記事】
http://itpro.nikkeibp.co.jp/members/ITPro/J2EE/20031104/1/
ある晩のこと。筆者は、取材先のA氏とこんな話をしていた。多少のア
ルコールが入っていたが、それもあくまで取材のためである。
A氏は、ユーザー企業のシステム部員である。「全社最適」を求めて、
複数の情報システムが、共通の「オブジェクト」を利用できるような仕組
みをつくるべく、心血を注いでいる。
「やっぱり、全社最適、ということを突き詰めると、行き着くところは
EA(エンタープライズ・アーキテクチャ)だと思うんですよね」。
A氏は自分に言い聞かせるように言う。私は思わず聞いてしまった。
「それで、EAって結局のところ何なんですか?」
「うーん、人によって違いますねえ」と、A氏は応じた。
「IBM用語だと思っている人もいれば、日経BP用語だと思っている人も
いるんじゃないですか?」
この発言は、半分は冗談だが、EAへの認識が世間ではいまだまちまちで
ある、という重要な指摘を含んだ発言といえる。
EAって、結局のところ何なのだろう?
* * *
EAとは、1986年にIBMのZachman氏が提唱したモデルで、ごく短く要約す
ると、「全体最適」を実現するための仕組み、ということのようだ。米国
では、政府調達の条件に「EAを策定すること」が盛り込まれたことで広が
った。日本でも、e-Japan計画や、相次ぐ大規模システム・トラブルがき
っかけとなって、「ITガバナンス」やEAへの認識が高まっている。
なお、最近の日経BP社の雑誌でEAへの言及が増えていることは事実であ
る。「日経コンピュータ」誌2003年9月8日号特集などだ。
そして、EAとは、IT(情報技術)そのものではないが、ITガナバンスを
確立するための方法であるらしい(この説明だと、かえって難しく聞こえ
るかもしれない)。
* * *
別の日、私はこんなことを取材でB氏に聞いてみた。
B氏は、大手ベンダーで高い地位にあるエンジニアである。「コンサル
タントとアーキテクト」の両方が連携しあう必要がある、という考えをも
って活動をしている。
そして、私はB氏に教えてもらおうと思って、こんなことを聞いた。
「開発プロセスという言葉がありますよね。あの上流の方をずーっと伸
ばしていくと、経営プロセスにまでたどり着いて、EAになるんじゃないで
すか?」
あまりの突飛な質問に戸惑ったのか、B氏はこう回答してくれた。
「うーん、それは一面、そう・・・ですね」。
ここで、「ずっと伸ばしていく」という表現は不適当だった。EAとITは
「直交している(=独立している)」訳だから、「ずっと行って、直角に
曲がったところ」という表現の方が正しいはずだ。
EAはITそのものではないとは言っても、ITに携わる人間に等しく降りか
かってくる。
全体最適−−会社の偉い人に響きがいい言葉でいえば、コスト最適化、
あるいは情報化投資の最適化のための手法がEAである。経営に携わる人に
とっては、経営上の問題意識と情報システムを結びつけるための有効な手
段となることが期待されているものだ。そしてITに関わる人間にも、EAは
「様々な決まり事」という形で直接影響してくる。プロジェクト管理の体
系、開発プロセス標準などと同様に・・・。
* * *
今までの話の中には冗談が含まれているが、もちろん冗談を紹介するこ
とがこのコラムの目的ではない。
情報システムに携わる人間が真剣に仕事をしていくとき、その先にはEA
が待ちかまえているようなのだ。それが、A氏やB氏との会話の中で、感じ
られたのである。
* * *
EAを策定する過程で、EAで定める「スタンダード」の一部という形で、
実装技術も選択することになる。
そしてJ2EEは、当然ながら実装技術の最有力候補として登場する。今の
段階で、大規模システムにまで適用可能な開発環境を探すと、結局の所
J2EEに登場してもらうほかないからだ。
EAは、情報システムに携わる人にとって、遅かれ早かれ関わりを持つよ
うになるものらしい。そして、EAに適切に対応できる情報技術として、最
も有力なのがJ2EEである−−このことは共通の認識となりつつある。
さて、A氏、B氏は実在の人物である。筆者のいささかトンチンカンな質
問にもきちんと答えていただけたことからその片鱗が分かるように、深い
見識の持ち主なのである。
筆者は2週間後の11月14日開催のイベント「エンタープライズ・ソフト
ウエア・コンファレンス」で、A氏、B氏のお二人と一緒にパネル・ディス
カッションに出席することになった。EAとJ2EEというと、なにやら難しげ
に聞こえるかもしれないが、このパネルでは現場の目線から話を聞いてい
きたい、と思っている。
やがて来るEAとJ2EEの関わりについて、そして来るべきJ2EEの最新技術
をお知りになりたい方は、ぜひともこのイベントに足を運んでいただきた
い。
(星 暁雄=日経BP Javaプロジェクト)
●11/14開催の「エンタープライズ・ソフトウエア・コンファレンス」
アプリケーション開発工程のさまざまなシーンを支援するプロセス主導型の変更・構成管理ツール
企業システムを革新するJ2EE大規模開発の実際と,最新テクノロジーを紹介 11月14日開催
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