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(回答先: Re: 富士通、東京三菱銀から「リナックス」基幹システムを受注【NIKKEI NET】 投稿者 おっさん 日時 2003 年 11 月 03 日 15:59:11)
おっさん、今日は。
少し長くなりますが、ご説明しましょう。ま、最後の方だけ見て頂いても結構です。
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(1) 銀行の ATM を使用した時に作動するシステムは、一般に基幹系と呼ばれます。
基幹系のマシンは、従来はIBMの汎用機や、それと同等の動きをする富士通・日立・NECなど機種が使われました。ネットワークは専用線です。
(2) 基幹系の OS も、従来はIBMの汎用機専用の OS や、それと同等の動きをする国産機(富士通・日立・NECなど)の OS が使われました。
これらのソフトウェアは、閉鎖的なピラミッド型の開発をしていました。まあ、重商主義指向でしょうか。
(3) 1980年代以降、複数の小型プロセッサで、安価に効率よく多重処理を行うための技術が、研究所などの科学技術向けマシンの世界で、ハード・ソフトともに進歩しました。
OS には、主として UNIX が使われました。SunmicroSystems が先頭に立っていた時代です。
これらのソフトウェアは基本的に、開放的なネットワーク型の開発をしていました。いわゆる民主主義指向でしょうか。
(4) 1990年代になると、それらの技術が、銀行などの企業向けマシンの世界でも応用されるようになりました。それとともに、汎用機の世界で使われていたミドルウェアが、UNIX 機にも移植されるようになりました。
これらのミドルウェアは、端末機ソフトと OS、ないし、OS とデータベース・ソフトの間に立って、ネットワークを利用した連携プレーによって特定地域ないし全世界からもたらされる取引情報を、時々刻々処理していきます。
(5) それと平行して、折からのIT 革命の流れに乗り、一般消費者向けの Intel 系 PC が、企業向けの端末機に使用されるようになりました。これが Windows 端末と言われるもので、Wintel 時代を築きました。
ここでは、利用者の端末機への作業指示が、文字ベース(CUI)から画像ベース(GUI)に変わり、PC の豊富な事務処理用ソフトが使えるようになり、事務効率は飛躍的に向上しました。Bill Gates のVB を初め、EXCEL や Word など、Microsoft が先頭に立っていた時代です。これらのソフトウェアは、閉鎖的なピラミッド型の開発をしています。
(6) こうしてWintel 時代が進むと、UNIX サーバーの Wintel サーバー機への置き換えが始まりましたが、伝統的な汎用機メーカーは、自社機に特化した OS を使い続けることで、ホスト・マシンの市場シェアを維持していました。
(7) 1990年代後半に登場したのが Linus Torvalds のLinux です。Linux は 数ある UNIX 系 OS の一分派ですが、画期的だったのは、この OS を無償提供し、その後の開発も、世界的なネットワークを通じたボランティアによってなされていることです。
勿論、機能変更や追加に当たっては、Linus 氏を含む主要メンバーによる監修が行われていますが、バグの発見と改修が早いのは、このオープンなコミュニティに負うところが大です。
(8) Linux は、Intel 系 PC の OS では業界標準となっていた Windows を脅かす迄に成長しましたが、事務処理用ソフト開発の参入者が少なく、一般消費者向けの PC のシェアは、特に日本ではそれ程伸びていません。
一方、ネットワーク・サーバーの世界では、UNIX らしいセキュリティ面の強さと、コスト面から、今や Linux が主流です。
(9) 最近は更に進んで、Intel 系のサーバー機に Linux を搭載して、開発・保守コストの低減を図る傾向にあります。
伝統的な汎用機メーカーも、開発・保守コスト圧力から、汎用機の OS として、Linux という選択肢を提供するようになりました。
従って現在の Linux 搭載機は、Intel 系のサーバー機と汎用機の両方があります。これに、UNIX サーバー機を合わせて、三者三様に適材適所型で共存しています。
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