現在地 HOME > 掲示板 > IT4 > 103.html ★阿修羅♪ |
|
知性をもたない「上席研究員」を抱える研究所の不幸【本当、この「インターネット投票が民主主義を変える」投稿にはあきれた。】
http://blog.sakichan.org/ja/index.php/2003/10/10/p52
2003.10.10 04:20:00, カテゴリ: 政治, 人々, セキュリティ
RIETIコラム「インターネット投票が民主主義を変える」にはあきれかえ
った。いくら「執筆者個人の責任で発表するもの」であると注記されてい
るとはいえ、このコラムは執筆者のアカウントで投稿したものがそのまま
載る場には思われない。ノーチェックでこれほどまでにまっとうな常識と
知性を欠いた文章がシンクタンクの公式サイトのコラムに載ってしまうと
は。RIETIという組織も不幸だなぁ、と思う。
[もっと見る:]
電子投票や、インターネット投票といったシステムには、コンピュータと
ネットワークを利用することについての固有の技術的な問題があり、現状
ではまだリスクが高い、といった議論はもちろん存在するわけだが、「イ
ンターネット投票」の問題はそんなところにない。技術的な問題が妥当な
レベルで解決されたとしても、なお「遠隔投票」の問題が残る。
電子化されていない現在の投票方式でも、遠隔投票は存在する。郵便投票
だ。一部の障害者、戦傷病者、介護保険法での要介護者(改正で追加され
たが施行が今度の選挙に間に合うかどうか不明)といった人達と、国外在
住者の一部が行うことができる。また、船舶からのファクシミリ投票の制
度もある。郵便投票やファクシミリ投票は、投票の公正さよりも、参政権
としての選挙権行使を限定的に優先させる形で導入されている。実際、そ
れらの投票は自身による秘密を保たれた投票であると担保することが困難
であり、戦後すぐに導入されたものの不正の横行により一旦廃止され、
1975年に限定的に復活したあと違憲訴訟への政治的対応として最近拡大さ
れてきた、と言う状況がある(ということはちょっと調べればわかる)。た
しかに、このような遠隔投票を一部のひとに認めることは選挙権を保障す
るという意味で必要なことではあるし、またそこでの郵便投票をインター
ネット投票に置き換えることには意味があるとはいえる(障害者のなかに
は意志表示が可能でも自署投票が不可能な方々は少なくない)。しかし、
それと、全ての人がインターネット投票をできるようにすることは全く次
元の異なる話だ。
私がまだ学生だったころの話なので、ちょっと古いが、しかし大昔とまで
はいえないそんなころ、都内のとある有名女子大学の学生が少なくない人
数、公職選挙法違反で検挙され多くの人々の失笑を買ったことがある。不
正投票に加わってしまったのだ。最初に誰かが記入していない投票用紙を
持ち出す。これに特定候補を記入してから次の人に渡し、投票所で記入済
の投票用紙で投票してから、また白紙の投票用紙を持ち出す。これを繰り
返して、最後の人は二票投票する。こんなごく典型的な手口だったと記憶
している。白紙の投票用紙を持ち出すとバイト代が出る、そんな調子だ。
インターネット投票になれば、そんな手間は要らない。一室にパソコンを
置いて、順に「お金をくれるひと」の目の前で投票してもらえばいいだけ
だ。アルバイトだけではない。組織的投票を試みるすべての人々にとって
魅力的だろう。宗教団体、ある種の業種の企業、企業内労働組合...。今
年、特養ホーム入所者分を勝手に投票という例もあった。インターネット
投票となれば、この種の不正の発覚は極めて難しくなるだろう。
そのような不正は、国を問わず可能だ。実際、米国でもインターネット投
票に反対する声は根強くある。それでも、インターネット投票が試みられ
ている以上は、そのようなリスクはすでに計算済でありたいしたことがな
いのだ、という議論はなるほどありえるかもしれない。しかし、その場合
は実際にリスクを見積もらなければならない。これはコンピュータとネッ
トワークについての技術的なリスクではない。社会的な問題だ。
私達の社会が政治的な規範について非常に高いレベルにあり、不正投票な
んて「ありえない」「思いつきさえしない」という状況にあるとすれば、
そのときはインターネット投票の社会的リスク、などというものは無視で
きるのかもしれない。しかし、実際、日本社会の民度というものはそこま
で高いものなのか、ということについて、高いと断言できるかといえば、
やはりそれは無理ではないか。そのことをよく示した「インターネット投
票」の例が実はすでにある。それは 2000年のICANN 一般理事選挙だろう。
日本政府の音頭取りで数多くの企業での会社をあげての集票作業。突出し
た有権者登録人数、そしてあまりにもブッチ切りの票数での加藤氏の当選。
社内登録者データベースを構築した企業が存在したともいう(私の勤務先
ではない)。それはただちにICANN一般理事選挙の失敗を証明した。「イン
ターネット投票」という技術だけに問題があったわけでないにしても、日
本という国の民度の一端を示したといえるだろう。
「投票率は大きく上が」れば「選挙結果は国民の総意に近づく」とは、も
はや痴的ですらある。村のボスが誰が誰に投票したかみんな知ってるよう
な、そういう地方の町、あるいは逃げ場のない企業内城下町、そういうと
ころでこそ投票率が高いのが日本の選挙の典型的な姿であったわけだ。こ
れでインターネット投票が可能になったら、丸の内や霞ヶ関で職場の自席
から上司に画面を見つめられつつ投票するサラリーマンの姿を多数目撃す
るようになるだけだろう。
上記で問題にしている元投稿はこれ、↓
********************************************************************************
0100:インターネット投票が民主主義を変える
http://www.rieti.go.jp/jp/columns/a01_0100.html
経済産業研究所 上席研究員
池田信夫
(2003/10/07)
意見投稿:
コラムに関する皆さまのご意見をお聞かせください。
お寄せいただいたご意見はコラムページに掲載させていただく場合があり
ますが、
すべてのご意見を掲載するものではありません。予めご了承ください。
10月10日解散、11月9日総選挙という日程も固まり選挙ムードが高まって
きたが、現行の国政選挙制度に深刻な欠陥があることは、あまり知られて
いない。それは小選挙区でも比例代表でもなく、「自書式」という投票方
式である。鉛筆で候補者の名前を投票用紙に書くため、疑問票や無効票が
大量に出て即日開票は徹夜作業となる。こんな旧式の投票方式をとってい
るのは、先進国では日本だけである。2000年の米国大統領選挙では、フロ
リダ州のパンチカード式投票機による無効票が問題になったが、「日本は
もっとひどい」と米国の友人に話したら、友人は大笑いして「じゃあフロ
リダの投票機を日本に輸出できるね」といった。
***
■電子投票からインターネット投票へ
実は、自書式投票は1994年の公職選挙法改正でいったん廃止され、候補者
のリストから選ぶ記号式が導入されたのだが、翌年これを廃止する公選法
の改正が議員立法で行われ、記号式の選挙は一度も実施されずに元に戻っ
てしまった。参議院の比例代表で候補者の数が増えるから、というのが表
向きの理由だったが、名前の浸透している現職議員にとって自書式のほう
が有利だからというのが本当の理由だろう。
他方、地方選挙ではこれまでに全国の6市町村で電子投票が実施されてい
る。これは投票所で紙に書く代わりにタッチパネルで候補者を選ぶもので、
開票は10分から20分で終わり、大きなトラブルは報告されていない。こう
いう電子投票は、すでに多くの国で実施され、日本でも次の参議院選挙で
導入する案が検討されているという。しかし、これは開票事務の合理化に
はなっても、投票率は上がらないし、選挙の結果に大きな影響は与えない。
いま各国で研究されているのは、一歩進んでインターネットで電子投票を
行うシステムである。米国では、インターネットによる不在者投票システ
ムが国防総省のプロジェクトで開発され、2004年の大統領選挙では10州で
採用される予定である。これによって海外に勤務する兵士が投票できるば
かりでなく、障害者などの意思を選挙に反映する役にも立つ。これはまだ
不在者投票に限定された補助的な制度だが、システムの信頼性が実証され
れば普通の有権者がインターネットで投票することもできる。
■地方選挙で実験を
しかしインターネット投票には反対論もある。データが改竄されるのでは
ないか、二重投票や他人による「なりすまし」をどう防ぐのか、匿名性が
保証されるのか、ハッキングが行われたらどうするのか、といった心配で
ある。こうした反対論は、電子商取引の初期にもあったが、今ではそうい
う理由で電子商取引に反対する人はいないだろう。こういう問題は、技術
的に解決可能であり、今年9月、ヴェリサイン社は国防総省のプロジェク
トで電子認証によってインターネット投票を行うシステムを発表した。
投票には電子商取引よりもはるかに高いセキュリティが必要なので、「絶
対安全」が保証されるまで導入してはならないという議論もあるが、これ
は問題のもう1つの面を見逃している。2001年の参議院選挙の投票率は56%
であり、現在の選挙結果は半分近い有権者の意思を反映していないのだ。
他方、2000年に米国アリゾナ州で行われた民主党の予備選挙では、インタ
ーネット投票によって投票率は93%になった。つまりインターネット投票
は開票事務を合理化するだけでなく、投票率を上げ、選挙結果を変えるの
である。
インターネットが使えるようになれば、これまで投票率の低かった若年層
や都市の有権者の投票率は大きく上がり、選挙結果は国民の総意に近づく
だろう。ネットワークのセキュリティに「絶対安全」はないし、それを追
求する必要もない。重要なのは、数千万人の国民に投票の機会を与えるメ
リットと、インターネット投票によって起こる(かもしれない)問題のリ
スクを比較衡量することである。もちろんインターネットでは心配だとい
う人は、投票所に行って電子投票すればよい。
選挙の投票率が下がり続けているのは先進国に共通の現象だが、これには
理由がある。1人の投票で選挙結果が変わることはありえないから、投票
による限界的な利益はゼロだが、休日を犠牲にして投票に行くコストは個
人が負うので、棄権は合理的な行動なのだ。しかし、そういう「ただ乗り」
が増えると選挙結果が歪んでしまう。このパラドックスを解決するには、
「選挙に行きましょう」などとPRするよりも、自宅からインターネットで
投票できるようにして有権者の負担するコストを下げることが根本的な対
策になる。
行政は特別なサービスではなく、そのオンライン化の考え方も電子商取引
と本質的には変わらない。それは低いコストで質の高いサービスを提供し、
どういうリスクがあるかという情報をあらかじめ公開して、顧客(国民)
に選択させることである。インターネット投票は選挙に民意を反映させる
だけでなく、行政を「普通のサービス」にする上でも重要である。日本で
も、地方選挙では投票制度を自由に選べるので、まず地方選挙の不在者投
票で、インターネット投票の実験を行ってはどうだろうか。
********************************************************************************
なお、この記事は
>セキュリティ関連ではこのURLも必須です。
>http://www.asyura.com/0310/it02/msg/213.html
>投稿者 クエスチョン 日時 2003 年 10 月 01 日 20:02:30:WmYnAkBebEg4M
>
>セキュリティ関連ではこのURLも必須です。
>
>
>セキュリティホールmemoです。
>日経NET WORKでも紹介されました。
>
>http://www.st.ryukoku.ac.jp/~kjm/security/memo/
でご紹介した、「セキュリティホール memo 」からたどり着きました。
このサイトは単なるセキュリティだけでなく、関連情報も面白いです。