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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040219-00000002-mai-l44
◇自然の大切さ再認識−−環境検討会が中間報告
“死の川”が短期間で急速に再生の道を歩んでいる――。02年春、全国初の流量3倍増を実現した大山川。国土交通省の研究委託を受けた河川環境特性検討会(座長・小松利光九大教授、13人)が大山川環境シンポジウム(1月25日)で披露した中間報告は、驚きと喜びに包まれ、自然が持つ自浄作用の偉大さ、環境保全の大切さを再認識させた。主な研究結果を紹介するとともに、地元・大山町の反応を探った。【楢原義則】
◆尺アユ復活◆
清野聡子・東大助手は「流量増加後、すぐ体長30センチを超えるシンボル的存在の響(ひびき)アユと景色、流水音が復活した」と報告し、「だがスイカのような特有の香りは戻っていない」と指摘。「皆さん、川の(動植物など)昔の姿を書きとめて下さい。そのデータを科学者が研究に組み合わせます」と呼びかけた。
◆進む水質浄化◆
堤裕昭・熊本県立大教授がDO(溶存酸素量)や栄養塩濃度など調査。「川幅が広くなり、水深も約30センチ深くなった。これに伴い、川水のよどみが少なくなり、植物プランクトン濃度が低下。水中の浮遊懸濁物や河床の堆積(たいせき)物が洗い流されている」と効果を上げた。
また、山崎正敏・福岡県保健環境研究所課長は底生動物72種類を採集。水質(清涼な上流部は7・5以上)の平均スコア値は松原ダム下で増水期7・4、減水期6・9、下流の清和橋で同7・2と7・3。「底生動物は増水期の方がより良い生態系を保つ。良好な河川環境が回復しつつある」と指摘した。
◆魚類は効果不明◆
魚類は増量前の01年、大分県で絶滅が危ぐされているヤマトシマドジョウ、オヤニラミを含む19種を確認。増量後、松井誠一・九大大学院教授の調査では、希少種のアリアケギバチなど新たに7種を加え、計26種になった。「調査期間が短く、現況では増水効果は認められない」という。
◆大喜びの地元◆
「自然の回復力がこんなに急激ですごいとは予想していなかった。長い期間がかかると思っていた」と驚くのは三笘善八郎・大山町長。
「発電用水として川の水を売り渡し、73年に水が消えた。町民は川に背を向け、代償のあまりの大きさを痛感した」と振り返り、流量3倍増を実現したときは感動したと言う。「瀬音に正面から向き合う『川の宿』など水辺プラザ事業を早く完成させ、都市圏住民らとの交流を促進したい」
住民運動の先頭に立った「町森と水のふるさとづくり推進会議」の森和恒会長は「河川環境重視の河川法改正(97年)の後押しもあり、3倍増を実現できた。02年秋に体長32センチ(約400グラム)の丸々とした響アユ2匹がとれた時は思わず身震いした」と率直に喜ぶ。
「響アユに香りを取り戻すためにも、さらに流量増加を働きかけて水質改善を図りたい。今後も川を心のよりどころとして守り育てたい」
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◇流量復活運動
松原・下筌ダム完成後の52年、大山町は下流の発電所用水として九電などに大山川の全水量使用を承諾。73年3月、川から水が消えた。75年、復活運動がスタート。83年9月、松原ダム毎秒0・5トン、大山川ダム同1・5トンの放流が決定。さらに官民一体の運動の末、00年にそれぞれ1・5トン、4・5トンの3倍増が決まり、02年3月末から実施した。ダム放流による流量増実現は全国でも初めて。(毎日新聞)
[2月19日21時5分更新]