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沖縄本島北部、名護市東海岸の小さな町、辺野古。
ここは、米海兵隊普天間基地(ヘリ飛行場)の代替施設の建設場として名指されて以来足かけ9年、時には日米安保体制の根幹を揺るがす闘いの場として全国に知られ、取材陣や市民団体、中央の政治家たちが押しかけた。
04年年明けの今、町は静かである。「あのころの、カメラをいっぱいぶら下げた連中はどこに行ったかねぇ」と私の肩を叩きながら、商店のオバアが笑った。
しかし、静かに、確実に再度、辺野古は揺れ始めている。 基地建設工事のための海岸護岸構造を調査するボーリング(海底くい打ち)が始まろうとしている。
暮れには那覇防衛施設局による地元説明会が開かれ、緊張にこわばった施設局職員と険しい表情の地元代表らが向かい合った。報道陣は締め出しである。漏れ聞こえる声に耳を澄ますと、政府が約束した巨額の振興策は何ひとつ地元の経済活性化に役立っていない、と強い口調で批判する声が聞こえた。「タコや貝はどうなる?」。環境破壊に対する地元民の不安に、「環境に配慮します」と施設局は一つ覚えのように繰り返した。
建設を前提とする環境アセスメントを監視する市民団体「市民アセスなご」はさまざまな疑問、矛盾点を指摘して、「結果いかんによっては(建設計画)白紙撤回の選択肢を持て」と迫っている。 (写真:辺野古で開かれた説明会)
「今や地元は賛成、反対なんて簡単な2つだけじゃない。無関心と効果の見えない振興策への不信。環境破壊の不安に直面している」。
当初の予定では施設は1300メートルの海上飛行場だった。しかし、稲嶺恵一知事が軍事色を薄める目的で「軍民共用」を打ち出したために、その規模は2倍となった。狭い沖縄に二つ目の民間空港、誰の目にも需要がないのは明らかだ。地元はさらなる騒音、環境被害、事件事故への不安を感じている。 このような事態に、沖縄ですら以前ほどの高い関心はない。私たちメディアの伝え方も低調だし、まして全国レベルでの報道は少ない。どうせ基地はできてしまう、というあきらめムードさえ漂う。
1月12日、地元紙の1面は、「普天間ヘリ/イラクへ」。やはり沖縄はイラク戦争と直結しているのだ。沖縄戦以後も朝鮮、ベトナム、湾岸と戦争を担わされてきた。県民はもうこれ以上戦争に協力したくないと願う反面、新基地建設には手をこまねく。
私たちは、その矛盾そのものを報道し続けるしかないのだろうか。
(土江真樹子・琉球朝日放送報道部ディレクター)
http://www.jcj.gr.jp/watching.html#20040122