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徳山ダム事業からの撤退を求めて申入書を提出する原告ら=県庁で
徳山ダム「利益が優越」
藤橋村に建設中の徳山ダムについて、岐阜地裁は26日、事業の必要性を認める判決を言い渡した。国や県などの主張が全面的に認められ、原告の市民グループは「現状追認の判決だ」と批判した。判決は公益性の高さを認める一方で、水余りや事業費増の問題点も指摘している。事業者側は、水需要予測の下方修正などを迫られることになった。
●「余裕必要」
判決は、徳山ダムによる利水や治水などの利益と、環境破壊などの不利益の大小を比較した。
原告側は、国の水需要予測は実績と比べて過大で徳山ダムの必要はないなどと主張し、利水を最大の争点と位置づけていた。
だが判決は、県や市町村などがダムの水の確保を必要としていることや、計画では余裕を見込む必要があることなどをあげ、国側の主張を全面的に採用した。
さらに長良川河口堰(かこうぜき)訴訟の判決を踏襲し、「第二東名・名神や中部国際空港の建設があり、今後、工業出荷額の伸びが見込まれないとは断言できない」と述べた。
●治水有益
治水についても判決は、「徳山ダムが完成すれば、揖斐川の水位上昇を抑えられ、治水上有益であることが認められる」と国側の主張を支持した。原告側が訴えていた堤防かさ上げや、しゅんせつなどの代替案については「用地買収など社会経済的に影響が大きく、現実性がない」と退けた。
一方、徳山ダムによる不利益として、同地裁は環境破壊も検討した。だが、「ダムの水没区域にイヌワシやクマタカの営巣地などはなく、事業による直接的な影響はほとんどない」とする国側の調査を引用。「環境への影響は総合的に見て小さい」と判断した。
これらの検討結果を基に、判決は「徳山ダムの利益は不利益を優越している」と断じた。
●かい離認め
事業の妥当性が認められ、事業の凍結という最悪の事態を免れた国や県などは「妥当な判決」と胸をなで下ろした。
だが判決は、被告に軍配をあげたものの、「国の98年の判断が裁量権を逸脱したものではないとするに過ぎない」とあえて付け加えた。
利水に関し、国が99年に東海地方の水需要予測を大幅に下方修正した「ウォータープラン21」をとりあげ、「現時点ではウォータープラン21の方がより合理的」と指摘。
事業主体の水資源機構に対して、徳山ダムをめぐる水需要予測の下方修正を求めるとともに、事業費増額問題の解決を要望した。
こうした「水余り」への言及は、原告が主張していた「水需要予測と実績のかい離」を認めた形だ。
国などは、既に水需要予測を年度内に改定するよう作業をしている。事業費増額についても、自治体から追加負担の同意取り付けを急いでいる。判決は、これらの作業の早急な実現を迫っている。
「不当判決」と控訴へ
判決に原告側は、県や水資源機構などと争う姿勢をいっそう強めた。岐阜市の県弁護士会館で開かれた記者会見では、「国などの水需要予測は誤り」とする主張が退けられたことに不満をあらわにし、「不当な判決だ」と控訴する方針を明らかにした。
原告の「徳山ダム建設中止を求める会」は、記者会見の冒頭で「行政追従の判決を許さず、ダム事業の中止を求めて戦い続ける」とする声明文を発表した。
上田武夫代表は「我々が(水需要予測に関する)きめ細かい資料を出して議論してきたのに、判断の中にまったく採り入れられなかった」と語気を強めた。
在間正史弁護団長は、判決が水資源機構に水需要予測の見直しを求めたことに言及。「(裁判所も)社会の動きを無視できなかったのだろう」とした上で、「水余りを認めた判断が、判決にはまったく反映されなかった」と批判した。
同会のメンバー約20人はこの日午後、県庁を訪れ、徳山ダム事業からの撤退を求める申入書を梶原拓知事あてに提出した。応対した青山和雄ダム対策室長に対し、「水需要が見込めない中で、事業を進めていくことに納得できない」と不満をぶつけた。
(12/27)
http://mytown.asahi.com/gifu/news01.asp?kiji=2977