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大分県の鶏愛好家が飼育していたチャボが、強い病原性の鳥インフルエンザに感染していたことが17日、確認された。山口県で先月12日、79年ぶりに鶏が感染したのに続く確認。農水省や専門家は感染経路の調査に力を入れるが、養鶏場以外の鳥への感染拡大や、鶏肉の風評被害も心配されている。
◇水からアヒル、チャボへ感染か
鳥インフルエンザは、山口県で発症が確認されて以降、半径30キロ以内の移動制限区域内では新たな発生がなく、専門家の間では「山口県とは別個の発生だ」との見方が強い。
通常は渡り鳥などを介してウイルスが持ち込まれると言われる。現時点では詳しい感染経路は不明だが、農林水産省の専門家会合の委員長、喜田宏・北海道大教授(ウイルス学)は、鶏愛好家がアヒルを飼育していたことに着目する。アヒルからは感染の疑いを示す抗体が検出されており、チャボへの感染源となった可能性がある。
アヒルはカモと同様、ウイルスを無症状で保有し、糞(ふん)を通して排出する。川などにウイルスが含まれていた場合、「水→アヒル→チャボ」との経路も考えられる。国立感染症研究所の田代真人・ウイルス第3部長も「アヒルとチャボの間で感染を繰り返すうちに変異して、毒性が強まった可能性もある」と話す。
ウイルスを含む糞や土が、人の靴底や自動車などに付着したり、昆虫などを介して広がることもあり得るという。
一方、タイやベトナム、中国のような拡大の懸念に対し、専門家からは「国内では起こらない」と指摘する声が多い。
中国や東南アジアでは、鶏などの家禽(かきん)類が生きたまま市場で取引され、処理されることが多い。糞の処理など飼育環境も必ずしも衛生的ではない。日本ではこれらが他国と異なり、「もし今後また発生しても、その度に殺処分や移動制限などの適切な対応をとればまん延は防げる」(喜田教授)という。
タイやベトナムでは人への感染も確認されているが、国立感染症研究所の岡部信彦・感染症情報センター長は「人間に感染する前に周辺の鶏に広まる。まず火種を作らないよう封じ込めの徹底が重要だ」と話す。
農水省は全国の養鶏場を対象に鳥インフルエンザ感染の有無を確認する調査をしているが、チャボや「愛玩鳥」は対象外だった。今回は鶏愛好家が異変に気づいたが、ペットの鳥などの感染・発症を見逃す事態も想定されるため、あらゆる種類の鳥を調査対象にすべきだとの意見が出ている。【足立旬子、加藤潔、江口一】
◇型判明は19日以降
チャボの感染は独立行政法人・動物衛生研究所(茨城県つくば市)で確認されたが、感染経路の解明などにはより詳細な解析が必要となる。
インフルエンザウイルスのうちA型のウイルスの表面には、細胞に感染するための突起(H、ヘマグルチニン)が15種類、増殖するための突起(N、ノイラミニダーゼ)が9種類ある。その組み合わせで特徴が変わり、山口県で見つかったウイルスは鳥型の強毒タイプ、H5N1型だった。
今回、大分県家畜保健衛生所が1次検査でA型インフルエンザの感染を確認。さらに同研究所が17日、Hの判定試験でH5型であることを確認した。Nの判定にはあと2日ほどかかり、山口県と同じH5N1型かどうかの判明は19日以降になる。同型だったとしても、感染経路の解明には、遺伝子の塩基配列の解析と、山口や他国のウイルスとの比較が欠かせない。今回の遺伝子解析には1週間程度かかるという。【中山信】
[毎日新聞2月17日] ( 2004-02-17-23:34 )
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/20040218k0000m040099000c.html