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「10%キシロカイン」の静注事故対策のための、アンプルラベル変更
http://medwave2.nikkeibp.co.jp/wcs/leaf?CID=onair/medwave/a008/287049
アストラゼネカは1月22日、同社が販売している抗不整脈薬の「点滴用キシロカイン10%」製剤(一般名:塩酸リドカイン)について、アンプルラベルの形態などを変更したと発表した。「静注用キシロカイン2%」製剤との取り違え事故予防に向けた対処。今回は点滴用製剤のみのパッケージ変更で、変更後の製品は2月上旬から出荷する予定だ。
塩酸リドカインを不整脈治療に用いる場合、まず2%濃度の静注用製剤を単回静注、血中濃度を治療域にまで上げた後、治療濃度を維持するために10%濃度の点滴用製剤を希釈して持続点滴する。つまり、単回静注する静注用2%製剤と、希釈して点滴する点滴用10%製剤の2種類を使うわけだが、この二つの取り違え(点滴用製剤を誤って単回静注してしまう)が臨床現場では以前から頻発していた。
アストラゼネカではこの事態に対し、2001年2月に両製剤のアンプルラベルを変更。静注用製剤には「静注用」、点滴用製剤には大きく「点滴専用10%」と記載した。医療機関側も、静注用として「キシロカイン」の代わりに充填済み(プレフィルド)シリンジ製剤の「リドクイック」(製造・発売:テルモ)を採用、静注用と点滴用の使用薬剤の名前を変えるなどの工夫で、取り違え事故の予防対策を進めていた。
しかしその後も、点滴用と静注用のリドカイン製剤の取り違え事故が発生。事故事例の中には、医師が「リドクイック」を単回静注するよう指示するつもりで誤って「キシロカイン」と指示、唯一採用されていた点滴用10%製剤が単回静注されてしまうという、事故予防策がかえって重大な事故につながったケースもあった。
こうした事態を受け、昨年10月には社団法人日本病院薬剤師会が「医薬品関連医療事故防止への病院薬剤師の緊急事故点検について」との通知を会員に向け発出。病棟では通常、必要になるケースが少ない「点滴用キシロカイン10%」製剤を、病棟や外来から撤去するよう呼びかけていた。
今回のパッケージ変更は、「点滴用キシロカイン10%」製剤についてのみ行われたもの。アンプルラベルの形態を変更してアンプル上部にもラベルをかぶせ、上部ラベルを切り離さなければ使用できないようにした。さらに、本体ラベルには「点滴専用」、上部ラベルには「希釈確認」と大きく記載。さらに、上部ラベルには「急速静注」の文字に大きく×印を入れ、使用する際に改めて確認を行うよう促した。ラベルがアンプル上部までを覆っているアンプル製剤はおそらく初めてで、見た目の違いも注意喚起に役立ちそうだ。
ただし、ラベルに注意書きを書くだけでは誤使用事故を防げないことも、既に多くの事例から示されている。なかには「投与を行った看護師はラベルの『禁注射』の文字に気付いていたが、医師の指示があった(と誤解した)ので不審に感じながらも注射してしまった」(トロンビン製剤の誤注射事例)とのケースもある。誤使用事故を本気で防ぐためには、ラベルなど製剤面からの工夫と同時に、医療従事者側の意識改革も欠かせないだろう。
なお、点滴用製剤の誤使用予防策としては、「誤って単回静注する」ことが不可能なバッグ製剤化が有用なのは広く知られているところ。しかし、「心不全など輸液量の制限が必要な患者に用いる場合、輸液量があらかじめ規定されてしまうバッグ製剤は不都合なことがある」(アストラゼネカ広報部)との理由から、同社ではアンプル形態での提供にニーズがあると判断、バッグ製剤を開発する予定はないとしている。
この件に関するアストラゼネカのニュース・リリースは、こちらまで。http://www.astrazeneca.co.jp/activity/press/04_01_22.html日本病院薬剤師会の「医薬品関連医療事故防止への病院薬剤師の緊急事故点検について」は、こちら(PDF形式)http://www.jshp.or.jp/031027.pdfまで。
厚生労働省の医療事故予防策については、同省ホームページの「医療安全対策について」http://www.mhlw.go.jp/topics/2001/0110/tp1030-1.htmlから関連情報を入手できる。(内山郁子)