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ヒト胚:受精卵作成容認 恩恵への期待を優先 (毎日新聞)
http://www.asyura2.com/0311/health7/msg/476.html
投稿者 シジミ 日時 2003 年 12 月 13 日 05:28:28:eWn45SEFYZ1R.

http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20031213k0000m040160000c.html

ヒト胚(はい)(受精卵)研究は、再生医療を通じて難病患者に朗報をもたらす可能性を秘める。半面それは、赤ちゃんになれる「生命の萌芽(ほうが)」を、実験材料として使うことでもある。総合科学技術会議生命倫理専門調査会は、2年半の議論を経て、研究目的のヒト胚作りを容認する中間報告を打ち出した。親ではない別の人が、誕生以外の目的で受精卵を作るということに抵抗を示す意見も少なくないが、結果的には、先行する現実と医学の恩恵への期待感が「多数意見」として優先された。【元村有希子、江口一】

 ヒト胚が注目される最大の理由は「万能細胞」と呼ばれ多様な組織に分化するヒトES細胞(ヒト胚性幹細胞)の材料になるからだ。

 今年、京都大再生医科学研究所が、国の許可を得て不妊治療後に不要になった胚(余剰胚)から、国産のヒトES細胞を初めて作り出した。来年にも研究機関への分配作業が始まるが、ヒトES細胞の研究は始まったばかりだ。

 動物のES細胞からはすでに血管、脳神経、肝細胞、心筋などができた。一部は体内に移植して、正常に働き、病気が改善することも確認された。再生医療の研究者は、ヒトでも同様の成果を得たいと考える。

 「ヒト組織は輸入頼りだし、国内での研究は手続きが煩雑。これでは再生医療研究で日本が出遅れてしまう」と嘆く研究者もいる。余剰胚は集めにくく、望み通りの胚を自前で作りたい。ヒト胚作成を望む声には、こんな思惑もある。

 日本再生医療学会関連のNPO(非営利組織)「再生医療推進センター」理事長の井上一知・京都大再生研教授は「パーキンソン病など、病気の進行は待ってくれない。再生医療を待ち望む患者さんのためには、一定の規制を設けて研究を進めるべきで、がんじがらめに規制をかけて進めなくするのは問題だ」と言う。

 研究者の期待はヒトクローン胚解禁にも及ぶ。

 ヒト胚から作ったES細胞は、患者以外の人の遺伝情報を持つ。臓器移植と同様に拒絶反応が避けられない。ところが、患者自身の遺伝情報をもったヒトクローン胚からES細胞を作れば、その不安はない。

 97年に世界で初めてクローンマウスを作った理研の若山照彦チームリーダー(発生工学)によると、動物ではクローン胚からES細胞を作る技術がほぼ確立され、受精卵から作ったES細胞と同等の分化能力があることも分かってきた。

 「拒絶反応がなく、無限に増やせるES細胞ができれば、臓器移植医療での問題は根本から解決する」と言う。

 ただし、クローン胚は子宮に戻せばクローン人間が生まれる。倫理的なハードルはヒト胚よりかなり高い。

 「生命の萌芽」の扱いは、欧米各国でまちまちだ。英国は条件付きで、ヒト胚とクローン胚の作成を認めている。ドイツはヒト胚の輸入と使用を条件付きで認めるが、ヒトクローン胚の作成は法律で禁止した。米国は02年、ヒトクローン胚作成を4年間凍結する報告書を公表。ヒトES細胞研究にも公的資金は提供されない仕組みになっている。

 ◇委員の半数が補足意見

 12日に開かれた27回目の会合でも、委員の意見はいくつかの対立点を残した。

 「ヒト胚の作成は、人の命の道具化、手段化に通じ、倫理上の一線を越えることになるのに、十分な考察がなされなかった」(島薗進・東京大人文社会系研究科教授)

 「いい議論だった。調査会の目的は、科学の発展のためと位置づけられた」(藤本征一郎・天使病院院長)

 「ヒト胚作成は認めない、と決めた従来の国の姿勢を変更するには理由がいる。この報告書には、委員として責任がもてない」(位田隆一・京都大法学研究科教授)

 来年1月5日で任期満了となる井村会長は「あくまで中間報告だ。最終報告までにさらに話し合ってほしい」と繰り返した。

 ヒト胚作成やヒトクローン胚作成に寛容な自然科学系の研究者に対し法学、哲学の研究者は慎重だった。積極的に意見を述べない委員もいたため、井村会長の発案で11月に選択式中心の「アンケート」を実施。その数字は報告書に反映されて「多数意見」となったが、報告書案をとりまとめる段階になって、委員の半数に当たる10人が、個人的な見解を補足意見として寄せる異例の決着となった。

 勝木元也・岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所長は、再生医療を錬金術にたとえ「患者さんたちに夢ではなく、再生医療が本当に可能かを示すべきだ」と警鐘を鳴らした。実際、ES細胞を狙い通りに分化させる技術は未完成だ。異質な細胞になったり、体内でがんになる可能性もある。

 【ことば】総合科学技術会議生命倫理専門調査会 クローン技術規制法(01年6月施行)で、施行3年以内にヒト胚研究のあり方を規定し、結果に応じて法律も見直すことが盛り込まれた。調査会は01年8月に発足。計27回の会合で60人以上の外部専門家から意見を聴いた。医学者の井村会長ら6人の同会議議員と専門委員15人で構成される。専門委員は▽自然科学系研究者・医師6▽法律や倫理学など社会学系研究者6▽言論人や学識経験者3。

[毎日新聞12月13日] ( 2003-12-13-01:14 )

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