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地球のオゾン層を保護するため、適正処理が義務づけられている使用済み業務用機器のフロンガスに関して、環境省と経済産業省が昨年度の全国での処理実績を集計したところ、業界団体が当初見込んでいた廃棄量の3割弱にとどまっていたことが5日、分かった。
業務用空調機器などから出るフロンガスはカーエアコンよりも圧倒的に量が多く、約3300トンが行方不明となっている計算だ。大気中に放出された恐れもあることから、両省は、業界団体などに適正処理の徹底を呼びかけることにしている。
昨年4月に施行された「フロン回収・破壊法」は、ユーザーであれ、業者であれ、フロンガスを大気中にみだりに放出することを禁じている。業務用空調・冷凍機器に関しては、ビルのオーナーやスーパーの経営者などが、都道府県登録の回収業者にフロンガスを引き取ってもらい、さらに国の許可を受けた処理業者に渡る制度になっている。ただし、回収・処理の途中でガスを抜き出し、別の機器に充填(じゅうてん)するなどの再利用は認められている。
メーカーの業界団体「日本冷凍空調工業会」は当初、寿命を迎えた機器から毎年、約5260トンのフロンガスが廃棄に回ると推計していた。
ところが、環境、経産両省の集計によると、昨年度の回収量は約1958トン。差し引き約3300トンが、どうなったのかは不明だ。また、回収されたフロンガスのうち、再利用に回ったのが約421トン、年度末時点で回収業者が保管していたのが約123トン。この結果、回収後に処理されたのは約1414トンで、業界の推計廃棄量の27%にとどまっている。
メーカー大手「ダイキン工業」(大阪市)は自社回収を行っているが、「うちの製品でも、ほかの回収業者のところに行って、うちに帰って来ないケースがほとんど」(地球環境室)と言う。子会社で回収している三菱電機(東京都千代田区)も「廃棄になった自社製品のフロンガスが全体でどれくらいかは把握できていない」(冷熱システム事業部)とし、メーカー側もフロン回収の全容はつかめていない。
経産省オゾン層保護等推進室は「設備投資の手控えなどから、実際の廃棄量は5260トンよりも少ないだろう」と説明。環境省フロン等対策推進室は「使っている間に漏れることもある。十分に回収されず、機器に残存する量もあるだろう」とした上で、「空中に放出されている可能性もある」と話している。
このため、両省はビルを解体する際、空調機器などからのフロンガス漏出防止について、解体業者などの団体に指導するよう、国土交通省に働きかけを強めている。さらに、スーパーなどの関連業界団体にフロンガスの適正処理の徹底を要請する考えだ。
一方、廃車のカーエアコンから出るフロンガスは年間、1200トンと推計されており、昨年10月、カーエアコンについても同法が施行され、自動車のユーザーがフロンガス回収破壊費用を負担する「フロン券」制度がスタートした。しかし、半年間で約70万枚のフロン券が販売されたのに、処理費用に使われたのは約半分の34万枚にとどまっている。
◆フロン回収・破壊法=オゾン層破壊や地球温暖化の原因となるフロンガスの回収、破壊をメーカーなどに義務付けた法律。対象となるのは、カーエアコン、業務用冷凍空調機器で冷媒として使われているフロン。フロンガスを大気中にみだりに放出した場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる。
(2003/11/5/16:13 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20031105i506.htm