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コーヒー愛飲者は糖尿病になりにくい
http://www.asyura2.com/0311/health7/msg/191.html
投稿者 【日経Med Wave記事】 日時 2003 年 10 月 24 日 18:45:35:bv4fC9W.T4C5M


日経Med Wave
http://medwave2.nikkeibp.co.jp/wcs/med/leaf?CID=onair/medwave/tpic/253822

◆ 2003.6.25 「コーヒーを飲むと糖尿病がよくなるのだそうですね」


 先日ある患者さんが「コーヒーを飲むと糖尿病がよくなるのだそうですね」と私に話した。私は、「コーヒーを飲むと糖尿病の予防効果があるという研究が最近発表されたように思いますが、コーヒーが糖尿病の治療に役立つかどうかはわかりませんね」と答えた。

 コーヒーによる糖尿病の治療効果について私は聞いたことがなかったので、改めて文献を調べてみることにした。しかし、コーヒーと糖尿病との関連を調べた研究では、以前目にしたことのあるコーヒーによる2型糖尿病予防効果に関するコホート研究しか見つからなかった。類似のコホート研究が今年の米国糖尿病学会で発表されたが、その結果もこれと類似している。

 この論文によれば、様々な交絡因子を排除した結果、コーヒーを飲んだ人で糖尿病発症の相対危険度は0.5ということであった(1)。他の条件が同じ場合コーヒーを一日7杯以上飲んでいる人では、コーヒーを全く飲んでいない人に比べて糖尿病になる確率は半分に減るというのだ。

 コーヒーに関する研究は調べてみると結構ある。私はさらにコーヒーと病気の関連についてのコホート研究を探してみた。すると、コーヒーを飲んだ場合、胆石の症状が出る確率が28%(2)、パーキンソン病になる確率が31%(3)、それぞれ低下するとの報告を見つけた。これらの研究からすると確かにコーヒーを飲むことは健康によいように思える。

 しかし、だからといってコーヒーを飲むことを推奨するのは早計だ。コーヒーを飲むと心筋梗塞が1.42倍(4)、脳梗塞が2.1倍(5)、関節リウマチが2.2〜2.58倍(6,7)に増えるというのだ。どうもコーヒーを飲むことは良いことばかりではなさそうだ。

 ここではコーヒーと関連する病気だけ取り上げたが、実は癌などコーヒーと関連無しと結論されたものを含めるとかなり多くの研究が存在する。コーヒー一つとっても、これほどまでいろいろな研究があることに改めて驚かされる。コーヒーは欧米では主要な嗜好品の一つであるため、これほどまでに研究が進められてきたのだろう。

 恐らく、コーヒーに限らず他にも病気の発症に影響する食品がたくさんあるに違いない。ただ、今まで調べられていないだけなのだ。食品のベネフィット(利益)とリスク(危険性)には見えているものと見えていないものとがある。

 たまたまある研究で特定の食品の疾病予防効果が明らかとなれば、その食品はもてはやされる。逆に特定の食品によりある病気の発症率が上昇すると分かれば、とたんにその食品は悪者になる。しかし、研究結果は物事のある一面を見ているにすぎない。したがって、限られた情報から食品のベネフィットとリスクを判定することに意味はない。しかも、食事全体のベネフィットとリスクは食品のそれの総和になるわけではない。食事のベネフィットとリスクはあくまでも食事全体として考えねばならない。

 昨今の健康情報番組のように特定の食品の表面的なベネフィットを取り上げそれをことさら持ち上げるようなやり方が人の健康に寄与するかどうかは疑問である。しかもこれでは木を見て森を見ていないことになる。われわれ医療者は情報の限界を知りつつ、木を見ながら常に森をも見る姿勢を崩してはならない。

■ 参考文献 ■
(1) Lacet 360:783-89, 2002
(2) Gastroenterology 123:1823-30, 2002
(3) Ann Neurol 52:276-84, 2002
(4) Am J Epidemiol 132:479-88, 1990
(5) J Clin Epidemiol 51:487-94, 1998
(6) Ann Rheum Dis 59:631-5, 2000
(7) Arthritis Rheum 46:83-91, 2002

■ 参考トピックス ■
◆ 2003.2.26 「コーヒー愛飲者は日本人でも糖尿病が少ない」、Lancet誌通信欄で紹介
◆ 2002.11.11 コーヒー愛飲者は糖尿病になりにくい

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「健康情報の読み方」ホームページ
http://www.page.sannet.ne.jp/onai/

「おない内科クリニク」ホームページ
http://member.nifty.ne.jp/onai/

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http://medwave2.nikkeibp.co.jp/wcs/med/leaf?CID=onair/medwave/tpic/233048

◆ 2003.2.26 「コーヒー愛飲者は日本人でも糖尿病が少ない」、Lancet誌通信欄で紹介

 1日7杯以上コーヒーを飲む人は、1日2杯以下の人よりも、7年間の2型糖尿病発症率が5割少ない−−。このオランダの研究はLancet誌11月9日号に掲載され、大きな話題となったが(関連トピックス参照)、同誌2月22日号の通信(correspondence)欄にはこの研究に対する様々な意見が全世界から寄せられた。

 なかでも目を引くのは、東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科の五十川陽洋氏、朝日生命糖尿病研究所の野田光彦氏、国立がんセンター研究所支所臨床疫学研究部の津金昌一郎氏らが投稿した日本人データだ。厚生労働省多目的コホート研究(JPHC;Japan Public Health Center-based prospective study on cancer and cardiovascular diseases)の参加者解析で、コーヒーを週1回以上飲む人には、空腹時血糖が高いケースが少ないことが判明したという。

 解析対象者は男性1916人、女性2704人で、全員が40歳代。コーヒーをほとんど飲まない(週1回未満の)人を基準とした場合、週1回以上飲む人での高血糖オッズ比は、性別や年齢、体格指数(BMI)、糖尿病の家族歴で補正した後も、0.614(95%信頼区間:0.472〜0.804)と低い水準に留まった。一方、紅茶や緑茶、ウーロン茶については、こうした関連は認められなかった。

 オランダ人だけでなく日本人でも、コーヒーが糖尿病を予防する方向に働くとの結果だが、通信欄にはほかに、フィンランドでは正反対の結果が得られていることも紹介されている。この研究では、20歳以上の男女約2万人(平均年齢:45歳)を20年近く追跡したが、コーヒーを飲む量と2型糖尿病の発症率とには何の関係もみられなかったという。

 また、オランダの研究に関しては、「コーヒーに入れる砂糖などの影響は考慮したか」との質問も出された。これに対し研究グループは、「コーヒーに普段は砂糖を入れない人を除外して解析したが、7杯以上飲む人が2型糖尿病になるリスクは0.50倍(95%信頼区間:0.27〜0.93)となり、結果は変わらない」と回答している。

 通信欄の質疑応答のタイトルは、「Coffee consumption and risk of type 2 diabetes mellitus」。現在、こちらで全文を閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。
http://www.thelancet.com/journal/vol361/iss9358/full/llan.361.9358.correspondence.24657.1

■ 関連トピックス ■
◆ 2002.11.11 コーヒー愛飲者は糖尿病になりにくい

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http://medwave2.nikkeibp.co.jp/wcs/med/leaf?CID=onair/medwave/tpic/216138

◆ 2002.11.11 コーヒー愛飲者は糖尿病になりにくい


 オランダで行われたコホート追跡研究で、1日に7杯以上コーヒーを飲む人では、7年間で2型糖尿病を発症する比率が1日2杯以下の人のほぼ半分であることがわかった。コーヒーに含まれるマグネシウムやクロロゲン酸など、カフェイン以外の成分に、糖尿病の発病を防ぐ働きがあると研究グループはみている。研究結果は、Lancet誌11月9日号に掲載された。

 研究グループは、オランダのDoetinchemとMaastrichtに住む30〜60歳の、糖尿病にかかっていない男女1万7111人を約7年間追跡。1日に飲むコーヒーの量と、糖尿病の発症リスクとの間にどのような関係があるかを調べた。調査対象者は平均して、1日5.2杯コーヒーを飲んでいた。7年間で2型糖尿病を発症したのは306人。

 コーヒーをたくさん飲む人には男性が多く、学歴が低く、太っており、たばこを吸い、お酒を飲み、運動不足の人が多かった。つまり、どちらかといえば不健康な生活を送っている人が多かったわけだが、2型糖尿病の発症率は低い傾向があった。

 そこで研究グループは、たばこや酒、肥満といった、2型糖尿病の発症に影響を与え得る因子でデータを補正した。すると、1日7杯以上コーヒーを飲む人では、1日2杯以下の人と比べ、2型糖尿病の発症リスクが0.50倍(95%信頼区間:0.35〜0.72、p=0.0002)となることが明らかになった。なお、紅茶にはこうした相関がみられなかった。

 ちなみに、コーヒーに含まれるカフェインにはインスリン感受性を下げる働きがあり、2型糖尿病の発症を促進し得ると考えられている。一方、カフェインと並ぶコーヒー2大成分のクロロゲン酸や、コーヒーに含まれるマグネシウムには、糖代謝を改善する作用があることが知られている。

 今回の試験では参加者にカフェイン抜きコーヒーを飲む人が少なく、直接的なデータは出せなかったが、他の介入試験結果なども併せ「コーヒーに含まれるカフェイン以外の成分が、2型糖尿病発症を抑制する方向で働いているのでは」と研究グループは考察している。

 この論文のタイトルは、「Coffee consumption and risk of type 2 diabetes mellitus」。現在、全文をこちらで閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。
http://www.thelancet.com/journal/vol360/iss9344/full/llan.360.9344.original_research.23039.1

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