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妊婦から採血先天異常検査 自粛勧告後も年1万5000件超
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20031019/mng_____sya_____006.shtml
胎児の「出生前診断」の一つで、妊婦の血液を調べてダウン症や神経管欠損症など先天異常がある確率を推定する母体血清マーカー検査が、国の自粛勧告後の2000−02年に毎年1万5000件以上実施されていたことが18日、左合治彦・国立成育医療センター胎児診療科医長らの調査で分かった。
血液を採取するだけの手軽さから急速に普及したが、障害のある胎児の選別につながりかねず、国が一九九九年「医師は妊婦に勧めるべきではない」と自粛を求めた。一時減少したものの昨年は再び増加に転じており、依然広く行われている実態が浮かんだ。自粛勧告後の実態調査は初めて。
調査は、医療機関で採取された検体を使って母体血清マーカー検査などを実施している可能性が高い大学や検査会社など計五十四施設を対象に実施。〇一年十二月と今年九月の二回、検査の実施状況を尋ねた。
母体血清マーカー検査は九八年に七施設で二万千七百八件実施されており、国の自粛勧告が出た九九年に一万八千三百十二件、二〇〇〇年に一万五千九百二十七件と目立って減少した。
その後、〇一年には実施施設が五施設に減ったが、件数は一万五千三百八件で横ばいとなり、〇二年は一万五千六百二十七件と増加した。
母体血清マーカー検査は確率を示すだけの検査で、確定診断にはさらに羊水検査などによる精査が必要。
十分なカウンセリング体制がないと妊婦の誤解や不安を招き、中絶につながりやすいと指摘されている。
左合医長は「現状はほぼ網羅的に把握できたと思う。医師が勧めなくても、妊婦自身が情報を持っていて検査を希望するケースが多いのではないか。(先天異常や遺伝性疾患の相談に乗る)専門医や遺伝カウンセラーの養成を急ぎ、産科診療での遺伝カウンセリング体制を整えることが急務だ」と話している。