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北京市衛生局は2003年10月15日、今冬に再流行が予想されるSARS(重症急性呼吸器症候群)に対する予防体制を発表した。SARS患者を専門に扱う病院の指定、患者発生の報告体制の確立、各種伝染病の予防接種の実施などを規定し、SARS患者が発生した際に早期に発見、治療することを目指す。
66カ所の「指定病院」を設置
まず、初期段階の患者は北京市内の全医療機関で受け入れ可能な態勢を取る。高熱や呼吸器官の異状など、SARSが疑われる症状がある患者は、「発熱門診定点医院」と呼ばれる指定病院に移送する。これは北京市内の病院のうち、設備や専門医などの受け入れ態勢が整っている66カ所を指定したもの。疑い例患者をこれらの指定病院で隔離し、SARSかどうかの判断と治療を集中的に実施する。
疑い例患者が出た場合、各病院は事前に決められた関係機関へ報告する。中国政府の衛生部(日本の厚生労働省に相当)を頂点に、北京市と北京市内の各区、各県にある「疾病予防コントロールセンター」、医療機関、空港の検疫部門などの間でSARS患者の発生状況を逐次報告するよう法制化した。24時間態勢で担当者を置き、患者が発生していなくても1日1回、疑い例患者が出た場合は直ちに詳細な報告をするよう義務づけている。
北京市と市内各区には「衛生防疫応急小分隊」を置く。これは疑い例の報告があった場所に急行し、消毒や隔離を実施するもの。これ以外にも学校や工事現場、駅、ショッピング・センター、文化施設などを「重点地区」とし、定期的な消毒や換気、従業員の衛生管理を徹底する。空港では、国際線の検疫と消毒作業を厳格にすると定めている。
市民に対し「政府を信用してほしい」
こうした取り組みに加え、市民に対する予防接種の奨励を進める。すでに9月からはしか、風疹、おたふくかぜの予防接種の奨励を実施しているほか、10月中に小中学生、高齢者、医療関係者、公共サービス従事者を対象にインフルエンザの予防接種を勧める。インフルエンザのワクチンは150万人分用意しており、これまでに70万人が接種したという。60歳以上の低所得者に対しては接種にかかる費用を減免し、接種を促す。
北京市衛生局は9月12日に、SARS対策の基本方針を定めた「北京防治非典型肺炎応急預案」を発表。この基本方針に従い、医療機関や関連省庁などと具体策を協議し、今回の発表に至った。
一連の予防体制について北京市衛生局の梁万年副局長は「6月24日にSARSが収束して以来、一貫してSARS予防の体制作りに努めてきた。SARSが北京で絶対発生しないとは言えない。しかし万一発生したら速やかに対応に動き、コントロールする」と、SARSの再流行防止に向け全力で取り組む姿勢を表明した。
一方で予防体制を十全に機能させるには、市民の協力が鍵を握ることも指摘。「38度以上の高熱や咳などSARSに似た症状が出たら、無理に自分で治そうとするのは危険だ。なるべく早く病院、できれば指定病院へ行ってほしい。われわれ政府や疾病予防コントロールセンターを信用してほしい」(梁副局長)とコメントしている。
日本語のできる病院でも受け入れ可能
今回発表された予防体制では、外国人に対する特別な措置は特に含まれていない。「外国人に対しては、協和病院の西病棟に専用病室を設けている。しかしそれ以外には、特別な措置を用意していない」(北京市衛生局のトウ小虹副局長)というのが現状だ。
しかしトウ氏は続けて「中国語のできない日本人が一般の病院に行っても困惑することは理解できる」と語り、外国人に対するSARS予防体制の拡充が必要との認識を示した。
では、現時点で北京在住の外国人、観光や出張で北京を訪問している外国人がSARSに見舞われたらどうすればいいのか。「最初の診察は指定病院だけでなく一般の病院でも受け入れる。いくつかの病院には外国語を話せる医師やスタッフがいる。例えば日本人の場合なら、中日友好病院がある。ここの医師の多くは日本語が通じるので安心だろう」(トウ副局長)
「このほか、5つ星ホテルなどに設けられている診療所(国際診所)も言葉が通じるので有用だ。日本語だけでなく、英語や韓国語、ドイツ語などの通じるところも同様にあるので、外国人がSARSに似た症状を示したら、まずはこうした医療機関を訪ねてほしい」(トウ副局長)とアドバイスした。(金子 寛人=北京支局特派員)
注:「トウ」は「登」におおざと