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日本産婦人科医会(坂元正一会長、約1万2800人)は21日、理事会を開き、医療ミスを繰り返す「リピーター」医師を把握して再発防止を図るため、会員に事故報告と研修義務を課すことを決めた。4月から実施する。報告を怠ったり、医療行為に改善がみられない場合には会員の除名や専門医の資格停止の処分を検討する。医師の団体がリピーター対策に本格的に乗り出すのは初めてで、他の団体にも影響を与えそうだ。
産婦人科の開業医らでつくる同会などによると、産婦人科医は医師総数の約5%だが、診療科別の訴訟件数は全体の12%(02年)。被害補償のため医師が加入する日本医師会の医師賠償責任保険の支払額では産婦人科の事故が5割を占める。医師会会員のうち責任を認めて同保険で4回以上賠償した悪質なリピーターは約30人いるが、大半は産婦人科医だ。
このため産婦人科医会は「反省しない一部の医師が産婦人科の信頼を大きく失墜させており、自浄作用が強く求められている」と判断。同会本部と47都道府県の支部に「医療事故安全対策委員会」を設置し、新生児の死亡や重い脳障害、妊産婦死亡などの重大事故が発生したり、訴訟が予想される場合には過失の有無を問わず会員に支部の委員会への報告を義務付け、本部にも報告する。
委員会は、報告を受けた事故が明らかなミスであったり、ミスが繰り返されているケースについては、過去の医療行為や患者側への対応が十分だったかどうかを含めて詳細に調査し、改善点を指導・勧告する。重大なミスや、ミスを重ねている医師・医院には特別研修を課し、本部の担当役員も派遣する。
報告を怠ったり改善や反省が見られない医師については除名などのほか、日本医師会とも連携し、人工中絶ができる母体保護法指定医の資格停止処分も検討する。
リピーター問題をめぐっては、厚生労働省が医師の行政処分強化と再教育システムの検討を本格化させており、産婦人科医会はこうした動きを先取りした形だ。【江刺正嘉】
◆解説◆保険データの活用を
日本産婦人科医会が会員に対して医療事故報告と研修の義務化に踏み切った背景には、ミスを繰り返す「リピーター」が産婦人科に多く、国民の不信が高まっていることがある。医療全体の信頼回復のためには、日本医師会をはじめ、他の団体も同様の対策を講じることが求められる。
日医は、事故の被害補償のための医師賠償責任(医賠責)保険を持ち、保険の支払い実績をもとにリピーター会員を把握している。傘下の産婦人科医会はリピーター会員の実態をつかむため、日医に医賠責のデータ提供を求めた。しかし、「守秘義務」を理由に拒否され、代わりに事故報告制度を導入せざるを得なかった事情もある。
それでも同医会が独自に対策をスタートさせる意義は小さくない。川端正清常務理事は「事故を早く把握でき、医師への指導も迅速にできる。安易なミスが繰り返されるのを防げるはずだ」と説明する。
一方の日医は、一昨年から対策を検討してきたが、内部の調整が難航し、有効な手だてを打ち出せないでいる。医賠責のデータを抱え込まず、ミスの再発防止にどう生かすかがいっそう問われる。【江刺正嘉】
[毎日新聞2月22日] ( 2004-02-22-03:00 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20040222k0000m040095000c.html