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◆ りそなへの公的資金投入の背後に隠されているもの
http://www.miyadai.com/index.php?itemid=49
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■今回の付録CD-ROMに収録した「まる激」は、5月28日に配信した「りそな問題に
出口はあるのか」だ。慶応大学経済学部・池尾和人教授をゲストに招き、公的資金注入に
どんな問題点があり、市民が何をウォッチするべきなのかを議論した。
【公的資金=税金注入の意味】
■生保の予定利率引下げをめぐる紛糾が伝えられた金融審議会の委員を務める池尾教授は、
第一に、今回の資金注入は政府による戦略に基づくというより、銀行・監査法人・金融庁
がバラバラに振る舞った結果であることを心配する。
■この点については、その後の情報から判断するに、繰延税金資産という架空資産を差し
引けば債務超過に陥ることを知った金融庁が、破綻の認定を先送りするべく銀行や監査法
人と図った「出来レース」だった疑いが濃厚になっている。
■第二に、公的資金注入に伴う責任問題だが、池尾教授は、公的資金注入が「贈与」であ
るか「貸与」であるかで変わるという。贈与であれば、モラルハザード抑止の観点から私
財没収や刑事罰が不可欠だが、今回の注入は「株式買い上げ」なので、それが「見合う」
もことを示すために「再建計画の提示」こそが不可欠なのだという。
■これについても注釈が必要だ。たとえ株式買い上げが見合っても、経済学でいう機会費
用がある。百円でガムを買ってエンジョイできても、ガムを買わないで他のものを買えば
エンジョイはずの何かが犠牲になっているとの観点だ。
■従って同額の贈与に比較すれば、あえて銀行の株式買い上げを行うことの機会費用は相
対的に小さい。だが小さいなりに機会費用分の償いを経営者にさせる必要はある。経営陣
の入れ替えだけで済むかどうかは、むろん別問題だ。
■加えて、日本の銀行経営者が、企業のアイディア等を主体的に判断して与信せず、不動
産担保主義と個人保証主義の下、前任者たちを踏襲する形で融資を続けてきただけなので、
たまたま問題を生じた時期の経営者に責任を負わせるのが酷だとの面もある。
■第三に、再建計画が不在のまま資金注入する当座の意味は、中小企業の支援に尽きると
池尾教授はいう。銀行を破綻処理すれば、融資を受けた企業は金を返さねばならない。大
企業は別銀行からの借換えができても、中小企業の多くは無理だ。
■補足すれば、中小企業ならすべて支援すべき謂われはない。市場から退出すべき中小企
業もある。必要なのは銀行の債権査定を徹底し、アイディアや将来性に与信をするという
スキームの中で、退出すべき中小企業を選別することだ。
■だがそれを阻む問題がある。まず、りそなの債権査定を徹底すれば、先に述べたが実質
破綻が瞭然となろう。それ自体は構わなくても、どの銀行にも与信能力を支える人材が十
分育っておらず、アイディアをもつ中小企業が借換えできないままになる。
■さらに、アイディアをもつ中小企業が羽ばたけない背景には、銀行の与信能力不足とは
別に、新規参入者がアイディア勝負できないような新規参入障壁が多様に存在することも
見逃せない。これについては後述する第四の論点が密接に絡む。
【竹中プランのインチキ】
■第四に、昨年十月に公表された竹中プラン「総合デフレ対策」(実質は不良債権処理加
速案)は、(1)不良債権処理とデフレ対策の両立不能性を言わず、(2)どれだけの国民負担が
必要かを言わず、(3)不良債権処理後のプランを言わず、との問題があるという。
■これも補足が必要だ。再査定した上、破綻してなければ「株式買い上げ」で税金をつぎ
込み、破綻していれば銀行を潰すといった竹中プランだと、不良債権処理で破綻する銀行
が続出し、中小企業が潰れ、デフレが猛烈に進行するのは確実だ。
■柳沢金融担当大臣(当時)は竹中プランたと破綻銀行が続出する現実を知っていたから
こそ、反対した可能性があると池尾教授はいう。但し池尾教授の言わなかった、竹中プラ
ンとも柳沢プラン(何もしないこと)とは別の、金子勝慶大教授の主張する方法もある。
■すなわち「破綻してなければ株式を買い上げ、破綻していれば整理」という方法でなく、
銀行を一切整理せずに税金を大量に「贈与」して貸倒れ引当金を積ませ、その代わりに銀
行経営者を出来るだけ過去に遡って牢屋にぶち込み、私財を没収するやり方だ。
■私自身はこれしかないと思うが、これは保守本流の金融族人脈や閨閥に抵触するのみな
らず、破綻を隠す不正経理を見逃した監査法人や金融当局、そして金融当局を監督する
(元)総理大臣の責任追及が不可避だからこそ、絶対に採用されないのだ。
■むろん、膨大な税金贈与に伴う機会費用も大きく、公共事業どころではなくなるがゆえ
に、土建屋人脈、土建屋利権の政治家たちにとっても到底飲めないことは言うまでもない。
馬鹿を見るのは、国民、それも、長生きする若い世代である。