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三井住友、“金の卵”めぐり東京三菱らに先勝 --- メーンバンク争い
三井住友が東大、京大のメーンバンクに−。三井住友銀行が、4月に独立行政法人化される国立大学のメーンバンクの座の獲得に乗り出し、東京大学、京都大学など17国立大学のメーンバンクに内定した。国立大は研究開発などの資金需要を増やすことが予想され、ベンチャー育成にも存在感を発揮できるだけに、囲い込みの狙いがあるようだ。長年、融資拡大に踏み出せなかった大手銀にあって、東大、京大という“超優良大学”を抑えた三井住友が、みずほ銀や東京三菱銀など他メガバンクに先勝か。
昨年7月に成立した国立大学法人法により、全国89の国立大学は今年4月から独立行政法人となる。これにより、各国立大は、研究開発にかける資金調達や経営効率化などをより自由に取り組むことができ、日本銀行が担ってきた資金管理や決済業務も民間金融機関に解放される。
三井住友銀は、東大、京大のメーンバンクに内定。
大手銀にとって、こうした改革が意味するのは、「新たな巨大市場の誕生」に他ならない。
少子高齢化という共通の課題を抱える各大学は、最大の収入源である学生の数がどんどん減ってしまう苦境にある。このため、大学関係者の間では「研究開発の実績や教育体制を充実させることで、学生を確保しなければならない。そのためには相当の資金が必要」との思いが強い。
金融関係者は「平成16年度予算で、国立大に交付された運営費は1兆2400億円。大手企業に匹敵する経営規模がある」と指摘。その上で、「今後、国立大が研究開発や教育体制の充実を加速させれば、巨大な資金需要が発生する可能性がある」と、国立大向け融資の将来性を評価する。
国立大の囲い込みを目指す
また、銀行にとって大学は、新たな産業を生む「金の卵」になりうる存在でもある。国などが進める産学連携によるベンチャー育成などの取り組みが進めば、「バイオテクノロジーやロボット産業といった、日本の経済成長の原動力と期待される分野でビジネスが生まれる可能性がある」(大手銀行)からだ。
三井住友銀は今月に入り、国立大へのサービス提供に向け、法人営業部に約10人の専任チームを設置し、すでに東大、京大など17の国立大学のメーンバンクの座を獲得。「みずほや東京三菱、UFJなど他のメガバンクに比べて一歩リードした」(金融アナリスト)といい、大学病院の業務効率化や科学研究費の低利調達などを目指す。
大手銀行はこれまで「資金需要がない」と口を揃え、融資残高の減少を放置してきた。こうした銀行の融資姿勢が日本経済の活力を奪ってきたとの指摘は多い。だが、株価回復や不良債権処理が減速したとの判断から有望な融資先探しも本格化しつつあり、メガバンクによる国立大争奪戦が一気に過熱しそうだ。
ZAKZAK 2004/01/19