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「狂牛病連鎖倒産」の恐怖、外食・卸・小売から悲鳴
日米間のメンツ、日豪間の利害に翻弄され…
http://www.zakzak.co.jp/top/t-2004_01/1t2004011720.html
米国産牛肉のBSE(牛狂病)感染問題で、外食産業や卸業者は日米間のメンツのぶつかり合い、日豪間の利害対立のはざまで揺れる。出口の見えない禁輸解除に、体力の弱い外食や卸・小売業者の連鎖倒産が懸念される。デフレ不況のなか、回復傾向の景気が“牛歩”となる「両刃の剣」の危険性も秘める。
【埋め合わせできない】
農水省が発表した豪州の現地調査だと、豪州牛の輸入は1年間で現在より約10万トン増やすことが可能である。
だが、米国産の輸入は年間24万トンにも及び、「埋め合わせる状況にはない」(石原葵・農水事務次官)。最悪で禁輸は半年続きそうで、供給不足は避けられない。
豪州で消費される穀物肥育牛の一部も対日輸出が可能だ。ただ、豪州内の消費を減らして輸出することになるため、輸入増の可能量は「民間企業が提示する価格次第」(農水省生産局)。
ニュージーランド産も日本人の好みに合うものが少なく、現在の輸入量(年間1万トン)を大幅に増やすことは、「期待できない」(同)。
【甘い読み】
豪州など両国に対し、日本は昨年8月から冷蔵牛肉に対するセーフガード(緊急輸入制限措置)を発動して、輸入関税を50%に引き上げている。
強気の背景には、米国牛の輸入禁止が想定外だったためである。
このため、昨年9月末の国内在庫は8万6069トンと前年同月に比べると28.6%も低く、BSEの発生以降、一気に在庫不足を招いた。豪州など両国政府は関税引き下げを要望している。
【ぶつかるメンツ】
農水省は平成13年9月、国内で初のBSE感染牛が発見された際、危機管理の甘さで世論から集中放火を浴びた。
「絶対安全」を確保するため打ち出したのが、手間も金もかかる「全頭検査」だった。
米政府が「感染牛はカナダ産。米国牛は安全だ」と全頭検査に応じていないため、皮肉にも、これが禁輸を長期化させる遠因にもなっている。
米農務省のベネマン長官は(1)歩行困難な牛の食用禁止(2)生後37カ月以上の牛の脳など危険部位の完全除去−という新提案で譲歩を迫っている。
日本など約30カ国に広がる禁輸の影響は、ブッシュ政権に暗い影を落とし始めているからだ。
米国市場では20%近くも牛肉価格が下落。世界最大の穀物メジャー「米カーギル」は、子会社の牛肉処理場で従業員約750人の解雇した。
【最高で76%も高騰】
豪州食肉家畜生産者事業団が16日に発表した今年初の牛肉取引実績統計によると、日本向け牛肉輸出価格が昨年平均に比べ、最高で76%も高騰している。
値上がり率が高いのは冷蔵牛肉で、指標となる牧草肥育の枝肉は1ポンド(約0.45キログラム)当たり平均2.63米ドルと、昨年の平均取引価格1.5米ドルから急上昇した。
【禁輸解除を】
「輸入を再開し、消費者の選択に任せるべき」
外食産業約450社でつくる日本フードサービス協会の安部修仁副会長(吉野家ディー・アンド・シー社長)は15日、禁輸解除を訴えた。
BSE発生後、大手牛丼チェーンの売り上げへの影響は意外に低く、「2度目」に対する消費者の反応は冷静である。
吉野家の例では、発生直後には15%ほど落ち込んだが、12月の既存店売上高は前年同月比9.3%減。駆け込み需要のおかげで、1月2週目以降の客数は前年を上回る水準に回復している。
【牛丼離れ】
焼き肉チェーンは逆風。昨年12月の既存店売上高は「牛角」9.8%減、「安楽亭」12.2%減。 1月も約10%減が続く。
来週中にも「なか卯」の一部店舗で牛丼が休止となるように、吉野家など各社も、遅くとも2月下旬ご ろまでに在庫が払底する可能性が高い。
消費者の「牛丼」離れは確実だが、解除のめどは不透明のままだ。
【倒産危機】
超優良企業の吉野家では「無借金経営でキャッシュも200億円ある。2、3年何もしなくても、社員に給料を払える」(安部社長)という。
大手は別にしても、中小の外食産業には倒産の危機が迫る。卸・小売業者の中にも「長引けば経営がもたない」と連鎖倒産の声も出る。
【GDPにマイナス2400億円】
BSEとSARS(新型肺炎)、鳥インフルエンザは回復基調の日本経済の再生にどう影響するか。
第一生命経済研究所は「輸入停止が続き、供給不足が解消されなければ、個人消費と輸入の合計で、GDP(国内総生産)がマイナス2401億円(マイナス0.05%)程度押し下げられる」と予測する。
輸入停止が半年で解除された場合でも、同1200億円(同0.02%)程度の押し下げ要因になるという。
ニッセイ基礎研究所・櫨(はじ)浩一チーフエコノミストは「風評被害もあって、外食産業は打撃を受けている」と前置きして言う。
「ただ、生活する上で人は何かを食べなくてはならず、牛肉や鶏肉がダメなら魚という具合に、経済全体で見れば、行って来いになる」
「GDPに関しても、輸入が停止しているため、その分が国内需要に向く。前回のSARSのときに国内旅行が増え、GDPを押し上げたような現象が起きる」
UFJ総合研究所・内田俊宏エコノミストも「前回は消費者も未経験で買い控えに走り、焼肉産業で500億円以上、牛肉関連業界全体で1000億円の損失が出たと思われる」と解説する。
「今回は日本人特有の慣れも加わり、経済全体への影響は不透明感が強い。吉野家など材料の大半を米国産に頼る企業や、流通業界で収益が大幅圧迫されるのは間違いない」と分析する。
ZAKZAK 2004/01/17