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1月16日(ブルームバーグ):中国の規制当局はことしに入り、不安定な銀行システムの改革に向け、並々ならぬ闘志を燃やしている。
中国政府はまず、同国銀行2位の中国銀行と3位の中国建設銀行を救済するため、両行に外貨準備の約10%(450億ドル=約4兆8000億円)を注入する計画を発表。来年までに新規株式公開(IPO)を計画している両行の資本充実を図る。
中国財政部はさらに、両行に対する債権(計410億ドル相当)の放棄を準備している。米紙ニューヨーク・タイムズが報じたもので、不良債権を一気に処理するのが狙いだ。中国は日本よりも深刻な不良債権問題を抱えている。
中国政府の過去2週間の銀行再生努力は、過去2年間のそれを上回った。経済の発展段階には必ず今後の見通しのヒントを与えてくれる転機が訪れる。中国が銀行再生努力を強化している今はまさにその転機であり、投資家はこれを見逃すべきではない。
一方、中国政府は、資本強化や改革の面でさらに積極的になる必要がある。問題の所在が4大銀行の資本ではなく、経営の本質にあるからだ。
「アキレスけん」
米調査会社ストラスザイム・グローバル・アドバイザーズのドナルド・ストラスザイム社長は「中国の『商業銀行システム』は、中国経済のアキレスけんだ」と指摘。「国営の4大銀行が独占的な地位を占めている点で、中国の銀行はいわゆる普通の銀行とは違う」と語る。
中国当局の課題は多い。中国の透明性の悪評は高く、これまでの企業救済の成績も決して芳しいものではない。一方で、中国政府の努力を評価できる3つの理由もある。
1つ目の理由は、中国が自らの潜在性を発揮して経済大国になるため、最も大きな障害の1つである銀行問題の解決に真剣になっていることだ。労働力や土地がいくら安くても、健全な金融システムなくして中国の繁栄はない。
米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)によると、中国4大銀行の総融資額に占める不良債権の割合は推定45%。一部にはもっと高いとの推定もある。
2つ目は、中国政府が問題解決のため実際に資金を投じ始めたことだ。その手法にはかなりの工夫もみられる。中国は人民元買い圧力に対抗してきた結果、外貨準備が大幅に膨らんだ。この外貨準備の一部を使った銀行救済なら国民の理解を得やすいわけだ。
日本の不良債権処理
3つ目の理由は日本だ。恐らく、これが最も重要な理由だ。自己満足や思い上がり、そして大盤振る舞いが経済大国を失墜させた例として、日本の存在は貴重だ。不良債権処理に向けた政治的意思の乏しさに株式相場の下落が重なり、1990年代は日本にとって失われた10年になった。日本は中国の反面教師だ。
確かに、日本の銀行には回復への明るい兆しがある。銀行に不良債権処理や資本増強を強いる日本政府の政策は実を結んでいる。銀行の収益は改善し、日本株の上昇も続いている。昨年の日経平均株価は24%高。それでもデフレ進行に伴う借り入れ負担の増大化や、新たな不良債権の発生など、課題は依然として残っている。
戦略の変化
中国は、日本型の銀行問題を回避できるだろうか?その答えが出るまでにはしばらく時間がかかるだろう。中国政府はこれまで、日本政府と同様に景気拡大によって銀行の健全化を図ろうとしてきた。多分、今ではその方法の愚かさに気付いていることだろう。8%の経済成長率は素晴らしいが、銀行問題を解決するには十分ではない。
中国政府が打ち出した過去2週間の対策は、歓迎すべき戦略の変化を示しているようだ。その対策が成果を表すためには、国内銀行が普通の銀行に生まれ変わる必要がある。日本の経験は、時間をかければかけるほど銀行問題の解決が難しくなることを教えてくれた。
中国がそのことを理解していると期待しよう。その理解がなければ、13億人の中国国民だけでなく、世界中の投資家が敗者になってしまうのだから。
(ペセック氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
Last Updated: January 16, 2004 01:47 EST
http://quote.bloomberg.com/apps/news?pid=80000003&sid=aSWwUdpMTLDU&refer=top_kaigai