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H16/01/15
昨年の大みそかの新聞に、政府・日銀が二〇〇三年(十二月二十六日まで)に外国為替市場で実施した円売り・ドル買い介入の総額が二十兆円を超えたという記事が掲載された。政府の介入は「外国為替資金特別会計」の資金を使って行われるが、ドル買いの場合は政府が三カ月未満の短期国債を発行、つまり借金をしてドルを買う。昨年までの三年間は毎年三兆円から四兆円規模であったために、二〇〇三年はその約七倍、正確には二十兆九千七百九億二千五百万円ものドルを財務省は買ったのである。この介入に使う借入枠は七十九兆円で、借入残高は上限に迫っているという。
差額分は米政府に
円とドルの動きを大まかに説明すると、海外との貿易は通常ドル建てで行われるため、輸出企業はドルでGDPの約10%にあたる金額(輸出総額)を受け取る。ドルを国内で使うために政府に売って円に換え、政府は買ったドルを輸入企業に売る。輸入総額はGDPの約9%で、過去数年間をみるとGDPが約五百兆円、輸出が五十兆円、輸入が四十五兆円であり、単純計算で日本政府は約五兆円に相当するドル、すなわち貿易黒字分を毎年累積しているはずである。そしてこのドルを日本政府はアメリカ政府に貸し出す、つまり米国債を購入している。
日本政府がなぜ米国債を購入するという形でアメリカ政府にお金を貸しているのか、私にはまったく理解できない。いくら償還利子を得たとしてもドルの下落によってそれ以上の損失が毎年出るからだ。そして日本がいくら米国債を買い足してもドルの下落でアメリカ政府は日本政府が貸し出したドル分よりも円換算にすると少ない金額を返済し、差額分は日本政府がアメリカ政府に差し上げる貢物となる。
日本政府が長年行ってきたこの行為が国家反逆罪でなければ、無能と言うしかない。なぜ日本政府はその貿易黒字分で金(ゴールド)を買わないのか。または資源でも食料でもいい。とにかく日本国民にとって有益になるものを買うべきだ。貿易黒字は国民のお金でもあるのに、なぜそれで米国債を購入するのであろうか。
全税収の半分にも
昨年日本政府が行った約二十一兆円というドル買いがどれくらい巨額かというと、日本の個人所得税税収十三兆八千億円をはるかに上回り、法人税収(九兆一千億円)、消費税収(九兆五千億円)のそれぞれ二倍以上で、日本の全税収約四十二兆円の半分にも相当する。一方でその税金をどれくらい国民のために使っているかといえば、社会保険や福祉、失業対策などの社会保障に十八兆九千億円、公共事業に八兆円、防衛に四兆九千億円と二十一兆円にはどれもはるかに及ばない。
なぜなのだろう。政府は介入を円高抑制のためというが、円安を喜ぶのは海外市場で売りやすくなる輸出業者であり特定企業の利益になることをすることは政府の役割ではない。過去四十年間、輸出総額は日本のGDPの約10%であるが、輸入総額もGDPの約9%を占める。円安がマイナスとなる輸入業者を罰するような介入を政府は借金をしてまで行うべきではない。日本がほぼすべて海外に依存している天然資源や食料をより高くし、その一方で輸出企業が海外で製品を販売しやすくすることを助ける日本政府に、なぜ国民は黙っているのか。円安は輸出企業にとっては良いが、日本国民の所得や貯蓄の世界における相対的購買力が下がることでもあるのだ。
1兆円以上の損失
二十一兆円の介入が不公平であるという事実に加えて、国際金融市場において一国の政府の介入で円安を維持することが不可能だということはすでに明白である。外国為替市場で日本政府は弱小プレーヤーに過ぎず、為替に及ぼす影響は瞬間でしかない。世界で一日に三十兆円に近い金額が投機家によって売買されている外国為替市場で一年間二十一兆円の介入など、山火災をバケツで消そうとするに等しい。事実二〇〇三年に二十一兆円もの介入を行ったにもかかわらず、ドルは一月の百十九円から年末には百七円と、11%下落した。これだけでも政府は一兆円以上も損をした計算になる。
先週、IMFはドル急落の危険性を警告し、アメリカのスノー財務長官は「強いドルがアメリカの国益にかない、ドル安は歓迎しないが通貨価値は市場が決めるべきだ」とドル安阻止の市場介入を否定する中で、まだ日本政府はドル買いを続けている。ドル高になればなるほど日本政府の保有するドルの価値は減少する。日本政府がこんなにも愚かな、または不道徳なことを国民のお金を使って行っているということを、私は信じられらない。しかしこれは事実なのである。
さらに財務省はこのドル買い介入資金の借入枠を七十九兆円から百四十兆円に増やすという。百四十兆円まで世界最大の貿易赤字と財政赤字を抱える債務国の通貨を買うのだという。まだ日本が独立国だと信じている人がいたら、日本は売国奴によって統治されていないかどうかを問いかけてみるべきだ。日本がアメリカの属国だと信じている人は、現地人を搾取することにおいて完ぺきにその役割を果たしている小泉総督を称賛するべきであろう。(アシスト代表取締役)
http://www.nnn.co.jp/essay/tisin/tisin0401.html#15