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1月14日(ブルームバーグ):アジア最大規模の案件で業務を獲得しようと、名だたる投資銀行がこぞってインドネシアに秋波を送っている。新規株式公開(IPO)ではない。同国にとって7年ぶりとなるグローバル債の発行だ。
東南アジア最大の経済を誇るインドネシアは、成長加速と財政赤字縮小、インフレ率低下を背景に、10億ドル(約1060億円)相当の債券発行に投資家を引き寄せることができると考えている。米シティグループやドイツ銀行、スイスのUBSの銀行家の反応を見る限り、堅調な需要がありそうだ。
同案件には、インドネシア1国を超えた意味がある。アジアの債券市場が自立しつつあることを最も明白に示す出来事だからだ。景気見通しの改善と低金利、よみがえったアジアへの関心を追い風に、日本を除くアジアでの2003年の債券発行は急増し、調達額は6年ぶりの高水準となった。
ことしの発行市場も、少なくとも昨年並みの活況が見込まれる。中国やパキスタン、フィリピン、韓国など各国政府に加え、マレーシア国営石油公社(ペトロナス)や韓国産業銀行などの起債が投資家の間で取り沙汰されている。
2003年のアジアの株式市場は輝いて、投資家を魅了した。2004年は債券市場の番かもしれない。アジア株が下落に向かっているというわけではないが、アジア株バブル説を取る面々にとっては、債券市場の成熟は朗報だ。投資家は少なくとも、整備が進んだ資本市場で安全資産を購入することができる。アジア危機の前には、マレーシアや韓国に投資しようとすれば株を買うしかなかったが、今では債券を買うという選択肢が広がりつつある。
アジアの国・地域の債券発行にはまだ多数の課題が残されている。デフォルト(債務不履行)の際の法的手続きが不透明な国があることも、投資家を尻込みさせる理由となる。そうは言っても、アジアの債券市場は成長した。次の6つの理由から、2004年の同市場は輝くと予想される。
6つの理由
1.信用力の改善。大手格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は2003年第4四半期(10−12月)に、インドネシアとマレーシア、タイの格付けを引き上げた。ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、中国と香港、インド、パキスタンを格上げしたほか、ベトナムの見通しを強含みに引き上げた。
2.豊富な選択肢。世界の債券市場の指標である米国の金利が低く、今後も低くとどまると予想されることから、より高金利の債務を返済するために債券を発行するアジア企業の数は増えると見込まれる。将来の成長に向けた資金を調達する好機と考える企業もあるだろう。日本を除くアジアの債券発行を手掛けて昨年1年で約1億4700万ドルを稼いだ投資銀行も、営業努力を強めている。
3.通貨の上昇。各国政府はドルに対する自国通貨上昇が景気回復の流れを妨げることを懸念しているが、為替相場の上昇傾向は現地通貨建ての債券の魅力を高める要素となる。
4.株式投資のヘッジ。2003年の急激な株価上昇に不安を感じている投資家は多い。例えば、タイ株の昨年の上昇率は117%、インドネシアは63%。万一、株価がことし急落した場合、代わって債券価格が上昇する可能性がある。
選挙の年
5.選挙の年。アジア株の上昇が続くとの説には一応の説得力がある一方で、 2004年は、香港とインド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、韓国、台湾で選挙が予定され、地政学的リスクの年と言える。予想外の展開が株式ファンをおびえさせないとは限らない。
6.海外依存体質の改善。途上国はしばしば海外資本への依存度が非常に高くなる。そのような状況では、経済・政治上のささいな出来事でも債券市場からの資本逃避を引き起こす場合がある。しかし今はまだ、そこまでには至っていない。(ウィリアム・ペセック・ジュニア)
(ペセック氏はブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。同氏の見解は彼自身のものです)
Last Updated: January 14, 2004 02:22 EST
http://quote.bloomberg.com/apps/news?pid=80000003&sid=aVZKwOSY.Kzs&refer=top_kaigai