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こんなにアメリカ国債を購入して大丈夫か? --- 日本国民の財産をアメリカのため使う財務省(『株式日記と経済展望』より)
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投稿者 まさちゃん 日時 2004 年 1 月 13 日 12:19:30:Sn9PPGX/.xYlo
 

こんなにアメリカ国債を購入して大丈夫か?
日本国民の財産をアメリカのため使う財務省

2004年1月12日 月曜日

◆津田栄  :エクゼトラスト投資顧問株式会社 顧問

 昨年の円売り介入総額は20兆円を越え、過去最高となっています。
それでも、今回、政府が日銀へアメリカ国債を買い戻し条件付きで売却して介入資金
調達を得ようとしたのは、今年度の為替介入資金枠が79兆円にも関わらず、すでに
数兆円を残すのみとなり、今後の急激な円高を阻止するには介入資金が不足する恐れ
があると判断した結果です。
しかも、来年度は61兆円拡大し、為替介入資金を140兆円まで引き上げる予算を
組んでいます。

 ところで、為替介入は、為替相場の急激な変動を抑制するために、財務省所管の外
国為替資金特別会計(外為特会)を通じて実施されます。外為特会は、国会が承認し
た介入資金枠内で、政府短期証券を発行して市中から資金を調達し、それを為替介入
に使って得た外貨を管理する国の特別会計です。
つまり、この外為特会では、片方で円の資金調達をしながら、一方で外貨(ほとんど
がドル建て資産であるアメリカ国債)を資産として保有していることになります。
その規模が、介入により膨らみ続け、今年度79兆円、来年度140兆円にまで拡大
する可能性があるということになります。

 つまり、これは、国会承認のもとで財務省の判断により為替介入する財布として使
われているといえます。そして、為替介入のほとんどを、円売り・ドル買いに使い、
手にしたドルをアメリカ国債に投資して、その結果が6500億ドル近くの外貨準備
高となっています(その意味で、膨大な外貨準備高も見かけでしかありませんが)。
今回は、その財布の中の円資金が寂しくなり、介入資金で買ったアメリカ国債を日銀
に担保として差し出して資金を借りるということです。

 一方、アメリカは、イラク関連費用の急増と、米国経済の回復のために、大型減税
などを実施した結果、4000億ドルを超える財政赤字を生み出し、その資金調達と
してアメリカ国債を大量発行しています。
また、アメリカ国内の資金不足からも経常収支は5000億ドルを越える赤字となっ
ています。
その穴埋めを日本の介入で得たドルを使って行われているのが実態です。
しかも、アメリカ国債の国別保有残高は3割を超えて、他を圧倒しています。

 結局、米国の財政を支援しているのが日本であり、その判断を財務省でなされてい
るということになります。
しかも、おかしなことは、日本が、膨大な国債を発行し、GDPの140%強の政府
債務を抱えて、他国の面倒を見る余裕がないはずなのに、アメリカ国債を買い続けて、
アメリカに資金を供給していることです。

 つまり、日本政府は、輸出等で稼いだ民間から国債発行により資金調達して、借金
をつくり、それで双子の赤字により下落するドル安・円高を食いとめ、そこで得たド
ルでアメリカ国債を買って、アメリカに資金供給し、アメリカの借金の貸主となって
いるということです。
それは、突き詰めれば、アメリカの借金の一部を日本の民間が担っているといえます。
もちろん、為替介入が輸出企業に対する所得移転であるという面は否めませんので、
その資金がアメリカに還流しているともいえます。

 一方、最近の他国の米国への資金供給は、変化を見せています。アメリカのITバ
ブル時に大量の資金を出してきた欧州は、景気低迷もあって急速に落ち込んできてい
ます。
その結果として、ドル安の流れは自然なのを、日本、中国、韓国などの対米輸出で稼
ぐアジア諸国がドル資産を買うことで食い止めています。
しかし、それも、為替リスクの増大から、中国のアメリカ国債売却の動きや、韓国の
外貨準備の多様化の動きなど変化し、唯一日本のみが買い続けています。

 こうしてみると、今すぐにドルが暴落するとか、アメリカ国債の価格が急落すると
かという状況でないため、あまり問題にされていませんが、このような日本の異常な
までのドル資産への傾斜は、大丈夫かといわれると不安を感じます。
そして、欧州や中国・韓国などアジア諸国も、為替リスクを警戒しながら、自国資産
を守ることに注力しています。

 そこには、各国とも、国民を意識した国の姿が窺えます。国民の厳しい評価が控え
ているからこそ、国の採るべき政策が決められているのだといえます。
しかし、日本では、国民ではなくあくまで国という基準でしか判断していません。
したがって、外為特会というブラックボックスを利用してなされる財務省の為替介入
の判断やそのコスト・効果などを議論するためのディスクローズが求められるべきで
す。

 さて、為替介入を見ると、日本とアメリカは、一種運命共同体と化しています。
ここまで来ると、日本は、アメリカ国債を通じて、経済・財政を支えており、アメリ
カが崩れれば、日本も崩れてしまう、しかもその資金は日本国民から出たものであり、
資産を失うことになります。
そして、日本は、為替介入によって得たドルでアメリカ国債に投資した結果として、
米国債券市場を支え、それが米国株式市場の堅調さを維持させ、そのことが回りまわ
って、日本株式市場、債券市場の堅調を現出させています。

 したがって、日本の為替介入は、日米の財政・経済・金融市場の相互依存関係を図
らずも浮かび上がらせているといえます。
しかし、アメリカは、お人好しではないはずです。自分たちにメリットがある限り日
本とともにいますが、もし日本が没落するのであれば、アメリカ政府は、アメリカ国
民の利益を最優先して日本を見捨てるのではないでしょうか。
もちろん、アメリカ戦略に組み込まれた日本はアメリカとどこまでもついていくと思
いますが、その依存関係を続けることが正しい選択なのか疑問を感じます。

 翻ってみれば、1980年代の前川レポートで規制緩和などにより内需中心の経済
構造への転換を提唱されながら、旧態依然の輸出中心の経済構造を維持し、内政的に
も、既得権益のある公共事業や農業などを中心とした産業構造を維持したことにより、
恒常的に円高圧力が続くことは必然であったといえます。それを阻止するために、毎
年のように為替介入が行われてきました。

 それを改めるために、構造改革が必要なのですが、現在のところ、政府は、円高に
対して介入により断固として阻止する姿勢しか見せません。
為替介入は、目先の一時的な問題先送りでしかなく、構造的な解決を見ない限り、為
替市場の大きな流れを変えることはできません。
今回の為替介入問題は、財政における借金の問題も絡んで、日本の構造問題が解決で
きていないことの裏返しであり、同時にアメリカ国債を通じて米国経済・財政と一体
化した自立しない、依存した日本の姿を見せているともいえましょう。


日本の主だった言論サイトのリンクページ

(私のコメント)
私は日頃から日本の財務省や日銀の金融政策を批判して来ましたが、為替の専門家達からも疑問が出されるようになって来ました。財務省・日銀が円高を防止すると称してドル買い介入していますが、今年度の為替介入資金枠が79兆円と日本の国家予算並になっていることを日本のテレビも新聞も報道しようとしない。YAHOOのニュースサイトで「為替介入資金」と入力して検索しても出てくるのは英国のフィナンシャルタイムズが報じたニュースだけだ。

日本の新聞・テレビは中央官庁からの見えない報道管制が引かれて、重要問題ほど日本国民に知らせないようにしている。あるいは新聞記者たちの資質が低くて官僚たちに手玉にとられているのかもしれない。しかし公表されたデーターを推理すれば見る人が見れば、これは大変なことだと分かる問題だ。79兆円もの資金枠を使いながら日本国民からは何の非難も出ない。知らないからだ。

もし79兆円もの資金を公共投資や、銀行が持つ不良債権を買い取るとか、銀行と企業が持つ持ち合い株式の買取などに使っていたら、金融危機など吹き飛んでいたはずだ。しかし財務省と日銀はアメリカ国債を79兆円も買い集め金庫の中に仕舞い込んでいる。実際にはアメリカ国債はアメリカの財務省に預けられて、売るに売れない仕組みになっている。そのような貴重な資金が財務省に塩付けになっているために日本のデフレは解決しないのだ。

これらの資金はもともとあったお金ではなく、日本で国債を生保などに買ってもらって、借金をしてドルを買っている。国債は期限が着たら償還しなければならないから、借り換えするか、国民から徴収した税金で償還することになる。もちろん足りるわけが無いから、増税して賄おうとする。日本国民の汗水流して働いた金が、アメリカ政府の減税による赤字穴埋めのために、日本の財務省・日銀は必死になってアメリカ国債を買っている。

もっと分かりやすく言えば、本来ならば日本の景気回復のために使われるべき日本の財政資金が、アメリカの景気を下支えするために使われてしまっているのだ。日本国内で国債を売った資金でアメリカ国債を買っているのだから間違いは無い。もし日本の財務省や日銀が円が暴落すると見ているのなら、その理屈は分かる。しかしイラクで泥沼の戦争に足を突っ込んだ今はドルが高くなるわけがない。

問題の核心は日本経済の戦略を、今まで参謀本部として立ててきた大蔵省がバブルの崩壊で自信を喪失してしまい、戦略を立てられなくなって、そこをアメリカに付け込まれてサマーズやルービンなどといった財務省金融マフィアにコントロールされてきたのだ。日本の経済とアメリカの経済は歴史が違うのだから同じわけがない。経済構造が異なるのにアメリカの学者や財務長官がアドバイスしたところで効果があるわけがない。スティグリッツ教授あたりの良識派なら多少は参考になるが。

「株式日記」でも前から書いてきましたが、アメリカが株式本位主義なら日本は土地本位主義である。日本の長引く不況は土地の下落が止まらないから続いているのだ。日本の老人達の持つ資産の大部分が土地や建物といった不動産だ。それに対して不動産の課税評価額を吊り上げて不動産を暴落させてしまった。バブル潰しのためですが日本の政治家達はなかなかこれを改めようとしない。

日本の経済戦略を考える上で基本におくべきは、日本は土地本位制であると言う認識を政治家や財務省が持つ事だ。だから日本の景気を立ち直らすためには土地の値段が上がるような政策にすれば良いのですが、日本のマスコミが土地や家の値段が高すぎると書きたてたために政策を誤ったのだ。バブル崩壊後日本の土地や建物は安くなりましたが日本経済も破綻状態になってしまった。たとえアパート暮らしでも職業はあったほうが良いし、老人達も年金より不動産収入があった方が良かったろう。私の「株式日記」で阿修羅に投稿されてきた主なものをいくつか紹介します。


2年経っても景気回復しない小泉改革 

日銀はインフレターゲットより株価ターゲット政策

竹中平蔵金融・経済財政政策担当大臣の真実

グリーンスパン議長はJPモルガンのデリパティブの危険性を示唆している

ドル暴落で日本経済はアルゼンチン化する

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