現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産32 > 638.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
テレビ東京 「日高義樹のワシントンレポート」 --- キッシンジャー博士・2004年の予測(2)
2004年1月6日 火曜日
◆三番目の主題は中国です。ワシントンの噂ではブッシュ政権は中国政府と秘密の取り決めを行ったと言われています。台湾海峡では軍事行動を起こさないと言う、台湾海峡の軍事的危機はなくなったと思いますか。
○まず、「取り決め」があるとは思わない。ブッシュ政権はアメリカ軍を動かすような状況の変化は望まないことをはっきりさせただけだ。交渉を通じての変化しか望まないと。同時に、中国も国内政治に集中するために平穏な時を望んでいると思う。新政権が発足して国内の半分の地方政府指導者と全国委員会の7人、16人の共産党政治局員の顔ぶれが変わったばかりだ。調整が大変だ。2004年中国が台湾海峡で対決を望むとは思わない。
◆台湾海峡における軍事的紛争はないだろうと言い続けてこられましたね。台湾海峡周辺のムードはかなり変わりました。ここ20〜30年我々はアメリカと中国が台湾海峡で対立すると考えてきました。その危険は基本的になくなったと思われますか。
○2004年も将来も軍事的対決があるとは思わない。
◆中国の経済状況が良くなり、戦争を望まない中流の人々が増えたからですか。彼らは経済を心配していると以前おっしゃいましたね。
○中国は戦争に訴えても台湾の独立を認めようとしないだろう。だが」「一つの中国」の原則が守られている限り、中国には軍事的行動を起こすよりも他にやる事がたくさんある。
◆台湾をどうするのでしょう。香港のような形を取る。平和的な統一?
○中国が台湾に提案しているのは香港より更に進んだ形の自治領になる事だ。だが、今のところ交渉が行われているわけではない。一方、台湾と中国本土間の経済活動は驚くほど拡大している。上海には30万人の台湾人が住んでいる。台湾は2番か3番目に大きい中国の貿易パートナーだ。両国の経済関係が強くなっていけば政治的にも近くなっていく事は考えられる。
◆資本主義の論理が、台湾の政治と軍事に勝るというわけですね。
○2004年に台湾をめぐる軍事的対決があるとは思わない。アメリカと中国の関係は今も良好だが2004年には更に良くなる。
◆台湾の人も、そう思っていますか。
○台湾には、オリンピックを利用すれば報復を恐れず中国に対抗できると考える人々がいる。正式に独立したいと望んでいる人々もいる。アメリカの問題は、中国の首相が訪米した時にブッシュ大統領が示唆したように議論の的になっている法的地位を変えることなく、事態を平穏に収めるために全力を尽くす必要がある事だ。
◆以前あなたは、政府に対する貧しい人々の反乱を懸念されていましたが今のところ、社会不安を抑える事に成功しているようです。どうやっているのですか、中国政府を良く知っておられますが。
○中国政府の新しい世代は以前の世代とは違っている。旧世代は共産党内部あるいは共産革命で経験を積んだ。だが、今の指導者達は共産主義者ではあるものの、技術畑の出身だ。技術や科学の専門学校を出ているので力を入れるところが違う。次に、彼らは複雑な経済を管理するための更に込み入った問題を抱えている。物事を進めるのが難しくなっている。私の見るところ中国の指導者達は国内を開発し、緊張にさらされる前に世界各国との関係を調整するためにも長い平和な期間が欲しいと考えている。
◆中国についての結論です。政権交代は順調に行われ、混乱は起きず将来に問題はないわけですね。
○近い将来に問題が起きるとは思わない。だが、中国は15億に近い人口を持つ巨大な国家で、地方意識が強い。ある地域で、あるいは何か問題が起きて異常な事態にならないとは言えない。だが、一般的に見れば中国の政権交代は極めてうまくいった。
◆アメリカの国内問題について伺います。ジャーナリストや、ハーバード大学の知識人などの間で「ブッシュ憎し」の動きがあるようです。これは30年前に経験された「ニクソン憎し」と同じものでしょうか。
○はっきりさせておくが私はブッシュ大統領が好きだ。彼を個人的に知っているし人間として好きだ。ブッシュ大統領とメディア、特にリベラルなメディアやインテリ達の関係は複雑だ。というのは、ブッシュ大統領がこれまでとは違うタイプだからだ。テキサス出身でインテリと言うわけではない。小さな都市やアメリカ中西部の支持を受けている。従って、インテリ達は彼と同じレベルで意思疎通が出来ないと感じている。だがこれは、40年前にジョンソン大統領にインテリが見せた反応とよく似ている。彼らは、どちらかと言えば否定的に対応した。だが、日本の人々はアメリカの国際的な新聞の記事にだまされてはならない。アメリカの中央部や小さな都市に行けばブッシュ大統領は非常に人気があり支持率は任期の3年目でも60%ある。これは極めて高い支持率だ。
◆大統領の国際関係と外交の能力はいかがでしょう。経験がないという人が大勢います。私は戦争も外交もうまくやっていると見ています。あなたは国際関係の専門家ですが大統領の実績をどう評価しますか。
○彼は大統領になる前も外交政策に詳しいふりはしなかった。経験のある助言者が必要だ。だが、私は彼の行動を高く評価している。テロに対する戦争は我々にとって全く新しい状況だ。他国政府の支援を受けた私的な組織が別の国の安全を脅かすという、これまでの歴史にも先例がない。ブッシュ大統領は、この戦いを断固として遂行している。アフガニスタン侵攻はたやすい決断ではなかった。イラク戦争の決断は更に困難だった。そう考えると大統領はかなり良くやっている。インテリとの意思の疎通と言う点から見るともう少し努力の必要がある。
◆戦争と外交における大統領の成功に驚かれているようですね。去年の今頃、大統領は孤立していました。現在は世界を圧倒しています。
○驚くべき進歩だ。イラクで成功すれば、他の国々が更に協力してくれるだろう。2004年は、ヨーロッパ諸国との関係が大きく改善される。日本との関係はすでに強くこの状態が続くだろう。
◆中国との関係も良好です。
○中国との関係は非常に良い。これまでと比べて最高に良いという人々がいる。確かに非常に良い。中国首相が去年12月にアメリカを訪問した事も効果があった。
◆フランスとドイツを嫌っています。これについて心配されていますか。
○それは2つの違った問題だ。フランスとドイツの立場は少し異なっている。私はヨーロッパ諸国とアメリカが極めて密接な関係を持つ外交政策の中で仕事をした。したがって、意見を述べるのは難しい。だが、ブッシュ政権の2期目にはヨーロッパとアメリカの関係が外交政策の焦点になると見ている。
◆なるほど。ロシアのプーチン大統領との関係ですが良好のようですね。どう評価されますか。
○プーチン大統領とブッシュ大統領の個人関係は非常に良い。だが、ロシアは大変な変動期にある。ロシアはかつて帝国だった。だが、今は1つの国にすぎない。ロシアは共産主義国家だったがもはや主義によって成り立つ国ではない。従って、ロシアの指導者にとって新世界に適応するのは並大抵の事ではない。このため、アメリカとロシアの間に問題が起きてくるのは避けられない。だが、そうした関係だとしてもより良い方向に向かっていると思う。私はブッシュ大統領が2期目を終えた時にはアメリカの外交政策に与えた影響の大きさでトルーマン大統領と比べられるようになると思っている。
◆なるほど。トルーマンは共産主義と厳しく対立し功績を挙げましたが、外交政策では評価されてなかったブッシュも同じですね。ブッシュ大統領は何のために戦っているのですか。何を考えているのでしょう。天然資源、石油ですか。
○ブッシュ大統領はまず世界のテロリストと戦っている。次に、テロリズム、大量破壊兵器伝統的な型にはまらない人間の渇望という新しい現実に適応する国際的なシステムを作るために戦っている。これは構造的なもので、その内容は状況次第だ。
◆日本の防衛政策について伺います。予定通りにいけば、日本政府は戦後始めて自衛隊を戦闘地域に出動させます。日本の自衛隊が戦闘地域で期待通り活躍した場合、次に何が起きるでしょうか。
○アメリカ人は日本を歴史的に見ずに戦後からだけ見ている。日本は武装せず、軍事力をもととする外交政策を行わず、数十年にわたって国内の政治と開発だけに集中してきたと。だが、これは歴史にある日本ではない。歴史的に見れば日本は武術を編み出し目覚しい外交政策を実施してきた国だ。従って、2004年以降当然の事に日本の歴史は新たな主張を始める事になる。外国への自衛隊の出動は、今回の場合象徴的行動に過ぎない。なぜなら、1000人の軍隊は大した数ではない。だが、両国の協力関係を象徴するものとして大いに感謝されるだろう。また、日本は政治のない経済大国だという国の内外のイメージを変える事になるだろう。自衛隊出動は重要な象徴的意味を持つ事になる。
◆2004年に自衛隊が出動することに関連しますが、アメリカ軍は拡散しつつあります。つまり、戦闘地域が増えています。もし、朝鮮半島に戦争が起きず、台湾海峡も静かだという事になれば極東から兵力を撤退させなければなりません。その場合、何が起きますか。
○アメリカがアジアから兵力を大幅に撤退させるとは思わない。近い将来には2004年に目立った動きがあるとは思わない。北朝鮮の問題がある。適正な兵力を維持しておかなければならない。それに東アジアに十分な兵力を置いておく必要がある。日米が協力して互いを守るという条約に従うと共に、アメリカの安全保障に対する脅威が出てきた場合に備えるためだ。従って、アメリカ軍の撤退の動きはアジアよりもヨーロッパで目立つだろう。
◆日米安保条約についてですが、もし、日本が戦闘地域で戦闘能力がある事を証明した場合条約を見直すべきだという人が出てくるでしょう。双方が責任を持つ形にするべきだと。今の条約ではアメリカが日本を守っています。そういった意見が強くなると思いますか。
○そういう意見はアメリカでより日本側で強くなるだろう。だが、そうした条件の下に協定が出来たのだから、条約の基本となる国際的条件が変われば、双方が現状に合わせた形にするべく、条約を再定義することになる。だが、関係をなくすべきだといった議論を始めないよう注意しなければならない。有害な中立主義をあちこちにはびこらせる事になるからだ。
◆ペンタゴンの戦略家、ピーター・ロドマン次官補が言ったのですが、
○彼は私のもとで働いていた。
◆そう聞きました。彼は自衛隊の戦闘地域への出動は日本の防衛政策の進化だと言いました進化であれば次の段階があります。日米安保条約を改定し、核武装するという人もいます。進化が始まれば誰にも止められない?
○日本は経済活動と歴史の仲に受け継いできた、より大きな役割を国際的に果たす事になる。日本は将来、更に大きな役割を担う事になる。軍事力で、どれだけの役割を果たすかは状況次第だ。いずれにしろ、1億の人口を持つ国が経済力だけというのは、いかにも不自然だ。従って、私は日本国内で自らの軍事能力が焦点になってくるだろうと思っている。
◆日本は将来、核兵器を持つようになると言いましたが、その時が近づいたのでしょうか。
○日本にはその能力がある。望むなら、すぐにも核兵器を持つだろう。北朝鮮との交渉結果が明らかになった後、基本的な決断がなされると思っている。もし、北朝鮮が核兵器を維持するならば日本は脅される前に、核の可能性を検討せざるを得なくなる。
(私のコメント)
台湾と中国をめぐる問題については、キッシンジャー博士は経済的結びつきから香港よりも独立性の高い自治領として問題が解決する可能性を示唆していますが、台湾では2008年オリンピック前に独立すれば中国は動けないとする見方がありますが、これも危険だろう。逆にモスクワオリンピック前にアフガニスタンを侵略したソ連のように、強引に台湾を併合して中国がオリンピックを開く可能性もあります。
むしろ中国の今後の動向ですが、2008年のオリンピックまでは経済は拡大し続けるとの見方が有力ですが、貧富の格差の増大が暴動騒ぎをもたらし、地域ごとの抗争も強くなり、共産主義と経済発展の共存は難しくなってゆく。
ブッシュ大統領は再選されるとキッシンジャー博士は強気な見方ですが、これもイラク次第で、イラクのゲリラもアメリカの大統領選挙を見ながら抵抗を続けるだろう。いずれにしろアメリカ軍は引くに引けないから、毎日のようにアメリカ兵の死者の報道は続くだろう。キッシンジャーは直接には言ってませんが、キリスト教右派の勢力に支持されて選挙に勝つことをいっている。またデタラメな選挙をやっても再選するかもしれない。
日高義樹氏は最近出した本でもアメリカ軍が日本から撤退すると書いていますが、これはキッシンジャーも他の政府要人も否定している。アメリカの世界戦略が日本の協力なしには成り立たないからだ。しかしながら最近の日本には私のような民族保守派の中から日本はアメリカの植民地であり日本は独立すべきだと言う意見が増えてきたことをキッシンジャーたちは警戒しているようだ。
左翼の反米ならキッシンジャーは中国とも深い仲だから相手にしていないが、日本の民族保守派の反米は伝統的なものだけに、政治家や学者、マスコミを総動員して押さえ込もうとしている。このような反米的保守派が増えてきたのは、アメリカの金融資本による日本の産業支配の動きに反発が起きているからだ。このまま日本経済が座して死を待つ状態ならば、日米安保を破棄せよといった強硬論も出てくることをキッシンジャーは考えるべきだろう。