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1970年代の二度にわたる石油危機時以降、欧米諸国への進出が一般的であったアラブ企業の間に、ここに来て、これら諸国から撤退し地元に戻る企業が増えはじめている。
賃借料からはじまって何かと事務所の維持費用の嵩むニューヨークやロンドン、フランクフルトを敬遠する動きは世界的な傾向でもあり、米英独仏日のG5諸国では2000年から今日までで350万もの雇用が失われているという。こうした新たな動きから恩恵を受けている地域の一つが中東であり、サービス部門では特にその傾向が強いようである。
ある湾岸のビジネスマンは「中東に拠点を置く企業は近年リストラクチャーリングを進めている」「例えば、これまでロンドンに財務部門や販売部門を置いていた企業が、地元の経常費用の低さに改めて着目して、そうした業務を中東に戻す動きが顕著となっている」「実際、欧米等の先進国の経常費用の上昇は頭痛の種となってきた」(www.khaleejtimes.com 2003.12.04)と述べ、コスト削減の観点から地元復帰する企業が増加中と解説している。
こうした動きは中東での自国人、外国人向けの新たな雇用機会を作り出しつつある。新規の雇用機会は先進国の巨大経済圏から新興国経済圏へと移りつつある。中東も全体として雇用機会の増加とそれに伴う還流投資資金の増加という恩恵を受けつつある。しかし、それによって中東諸国が成功するか否かは各国が中東以外の諸国との競争にどこまで打ち勝てるかに掛かってくることになる。
もっとも地場復帰を決めたアラブの企業も、中東地域で頻発するテロ事件によって治安が不安定化していることもあって一国に活動を集中させるのではなく、数ヶ国に分散させる戦略をとろうとしている。
[2003年12月8日更新]
http://www.idcj.or.jp/1DS/11ee_josei031208.htm