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アイン・ランド著『肩をすくめたアトラス』---アメリカの大停電は何を予言しているのか(『株式と経済展望』より)
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投稿者 まさちゃん 日時 2004 年 1 月 05 日 14:07:46:Sn9PPGX/.xYlo
 

アイン・ランド著 『肩をすくめたアトラス』---アメリカの大停電は何を予言しているのか

2004年1月3日 土曜日

◆アイン・ランド作品紹介 「肩をすくめたアトラス」 藤森かよこ

ダグニーは、無一文から祖父が設立し発展させたアメリカ屈指の大鉄道会社「タッガート大陸横断鉄道」(Taggart Transcontinental Railroad)(以後TTRと記す)の鉄道運行部門担当副社長である。34歳の若さながら、無能な社長の39歳の兄ジム(James Taggart)を歯牙にもかけず、大鉄道会社を運営する。少女時代から、彼女とこの鉄道会社は一体だった。代々発展してきたこの鉄道会社は、人間の可能性と有能さと責任の象徴だった。創業者の孫娘という立場を秘めて、毎夏をすごすハドソン河渓谷沿いの別荘近くにあるTTRの駅の夜勤電話番をアルバイトで勤めるほど、彼女は鉄道の全てを熟知し知悉したがった。大学でも工学を学んだ。

最近、彼女は、銀行家や音楽家や法律家から鉄道技師まで、どの分野においても、なぜか優秀な責任感豊かな人材に限って仕事を辞めて失踪してしまうことが多くなっていることに気がついている。そのために、以前では守られていた物資の納期とか工事の進展とか、鉄道の安全な管理などのシステムが正常に機能しなくなっている。

それに加えて、人間の創意工夫と努力を促す自由競争による社会の発展を信じるダグニーが危惧しているのが、政府の政策だった。政府は、自由競争を排した資本主義経済体制から、発明家や産業家や労働者が努力と頭脳で獲得した利益を国家が管理して「必要に応じて」国民に分配し、国民みなが繁栄できる「協同的共生社会」を実現する経済体制へ移行しようとしていた。

その大義の実現のために、政府が採る政策は、次のようなものである。適者生存の弱肉強食の企業間競争を排するために新奇な製品を発明して売り出したり、新事業を開拓したりことを制限する「反競争法」(Anti-dog-eat-dog Rule)の施行。優れた製品やサービスを提供できるがために市場を独占できる企業は独占的になり公共の福祉に反するので、すべての会社にとって規模に応じて必要な利益が得られるようにする「機会均等法」(Equalization of Opportunity Bill)実施。社会の安定した全体的協同的発展のために、労働者や従業員の固定化、離職や転職や解雇を禁じる「10ー289号指令」(Directive 10-289)の発令と徹底。ダグニーの兄は、自分の無能さを思い知らせる有能な産業家、企業家たちへのルサンチマンから、政府に加担して行く。彼は自分が楽に怠惰に生きて、社長の地位と金が保証されればいいと考えるだけの卑劣な人間だが、口では「最大多数の人々の幸福の実現が正義」だと唱える。

アメリカの産業はじょじょに衰退し、労働者は労働意欲をなくしていく。と同時に、前からの現象であった「人材の失踪」に拍車がかかり、TTRも含めたどの産業、商業分野も無責任と責任転嫁と無能と投げやりな人々のみが残される状態となっていく。社会の停滞と不安と増していく混乱の中で、人々の間には、答えようもない問題には"Who is John Galt?"と言う奇妙な習慣が、すでにいつからかできあがっていた。ダグニーは、そのジョン・ゴールトこそ、社会から有能な人材をどこかへ流出させる「破壊者」だと考えるようになる。ダグニーは、その破壊者から自分の鉄道会社を守らなければならない、最後までその破壊者と闘わなければならないと固く決心している。

休暇の旅行中にダグニーは、廃業された大自動車工場の廃屋に打ち捨てられたモーターの残骸を見て驚愕する。工学を専攻した優秀なエンジニアでもあるダグニーには、それが現行の輸送機関の問題をすべて解決できるような前代未聞の画期的モーターの完成品が人為的に破壊されたものとわかる。その未来を開くモーターの設計者をつきとめるために、ダグニーは様々な調査をするが、その設計者はわからない。

実は、そのモーターの設計者こそ、ジョン・ゴールトだった。彼は勤めていた大自動車会社が売却され、新しい経営者が「能力に応じて労働し、必要に応じて収入を得る」システムを導入し理想的な共同社会としての新しい企業を作りたいと発表した時に、会社を辞めた。自分が設計して完成させたモーターを破壊して失踪した。

能力のある者は労働過剰になるばかりで、収入は労働量や功績ではなく、家族数などの必要に応じて分配され、それも労働者の投票で決定されるという全体主義的システムのために、この自動車会社は、倒産する。なぜならば、有能な者の辞職と故意の怠慢が多くなり、無能な者は収入が保証されているので一層に怠惰になり、また労働者間の嫉妬反目(同僚の結婚や出産は、自分の収入の減少につながるから)は増大し、息の詰まるような相互監視の環境は、生産性を激減させ労働者の志気を壊滅させたからである。この現象を予測して早々と会社を捨てるだけの見識と勇気を持った男についての噂が、"Who is John Galt?"という流行りことばの起源になったのだった。

ジョン・ゴールトは、有能な人間の能力を搾取して、有能な人間の美徳を利用して自分は楽をして生きようとする寄生虫的人々に汚染されていく社会に見切りをつけて、新しい社会を創設しようと、賛同者を募ってコロラド山中に別社会を建設する。失踪した人材たちは、この別天地「ゴールト峡谷」(Galt's Gulch)を拠点として、この新世界にふさわしい人物を探し救出するために、「旧世界」では人目につかない労働で社会に埋もれながら活動していたのだ。

ゴールトは、10年以上もダグニーの鉄道会社の下級労働者をしながら、いずれダグニーをも「新世界」に誘うつもりで彼女の行動を監視していたのだ。真相を知って驚くダグニーだが、祖父から伝わる鉄道会社を見捨てるわけにはいかない。 社会はさらに停滞、混乱し、物資の輸送や交通がマヒし、農産物や工業製品も生産量が減少し、かつ生産地から消費地の都会まで物資は流通しなくなる。停電などエネルギー資源の管理、利用システムも破壊していく。

ゴールトは全米へのラジオ放送を通じて、新世界樹立の必要性、旧世界の搾取的構造破棄を唱えて、彼と彼の仲間の大義を国民に伝える。政府はあわてるが、混乱した社会に秩序をもたらす人材が政府機関にはいないので、ゴールトと妥協を図ろうとするが、ゴールトは拒否する。政府機関は彼を捕まえて拷問にかける。ダグニーや「新世界」の仲間たちは、ゴールトを救出する。

ダグニーも、ついに旧世界に絶望し彼らと行動をともにすることになる。システム機能不全のために混乱は一層拡大し、その収拾をつける責任ある機関も人材も旧世界にはいない。繁栄を極めたニューヨークにすら大停電が起き、アメリカ合衆国は破滅の道をたどる。しかし、ゴールトたちにとって、この終末こそが、アメリカの破滅こそが、「彼らのアメリカ」建国の真の始まりなのだ。


藤森かよこの日本アイン・ランド研究会のホームページ
http://www.aynrand2001japan.com/index1.html

(私のコメント)
「肩をすくめたアトラス」と言う本は日本ではまだ翻訳されて出版されておらず、太田龍氏などのホームページに紹介されている程度だ。しかしアメリカにおいては聖書に次ぐ影響力のある本として評価されている。このような話題の書がなぜ日本で出版されないのか不思議でなりません。内容については藤森かよこ氏のホームページに詳しく出ていたので紹介します。

著者のアイン・ランド女史はロシア生まれのユダヤ系アメリカ人ですが、「肩をすくめたアトラス」は1957年に出版された。そして一千万部の大ベストセラーにもなっている。それでも日本で出版の動きがみられないのは、何らかの圧力か契約のトラブルで宙に浮いているのか良くわからない。この本は太田龍氏によると次のように書いている。

「肩をすくめるアトラス」は、一千頁以上の超大作だが、その末尾、
 「すべての權威が失はれ、すべての法律が無效となり、道徳のひとかけらも存在せず、希望もなく、食糧もなく、食べものを得る方法もない。一切の秩序が崩壞瓦解し、道路がきれいに片付けられたそのとき、我々は、世界を再建するために、戻つてくるであらう」(「ユダヤ世界權力が崩壞する日」、百二十九頁)。
 右記の「肩をすくめるアトラス」は、フィリップ・ロスチャイルドが彼の情婦の一人、アイン・ランドに、イルミナティの近未來の行動計画を、小説のかたちで記述させた、暗號書のやうなものだと云ふ。
 しかもそれは、一九五七年に出版されてから、米國では、聖書に次ぐロングベストセラーと成り、一千萬部が販賣された、と傳えられる。
 その主人公ジョン・ガルトは、フィリップ・ロスチャイルドのコードネーム(暗號で表記された名前)。
そして前記の引用句は、このジョン・ガルト(フィリップ・ロスチャイルド)の言なのだ。

アメリカ人はこのような近未来を予言した書物が好きなようだ。そしてランド研究所が設立され、ランドの小説を元に哲学や政治思想の啓蒙運動を行っている。太田氏が指摘している通りロスチャイルドの情婦であったかどうかはわからない。そして藤森女史の翻訳によって、ランドの著作である「水源」が日本でも出版されるようだ。内容についてはホームページにありますが、これも日本での出版がなされなかったのは不思議だ。

アトラスで書かれた鉄道会社はアメリカの産業の基本をなすものであり、広瀬隆氏の著書によるとアメリカの財閥の本流は石炭産業と鉄道産業が基になっている。そこからオイルメジャーが発達し産業基盤となってゆく。だから舞台になっている鉄道会社はアメリカ産業の縮図として描かれているのだろう。

有能で責任感のある社員は会社を去って行き、無能で怠惰な人間が組織をだめにしてゆく。やがては自己保身のために会社から有能な人材を追い出し、硬直化して活気のない企業になってゆく。このような会社は日本の大企業でも見られることだ。画期的な新発明をしても社内から省みられず、ノーベル賞を受賞したとたん有名人になった田中さんのような人も出てくる。

このような現象は企業のみならず国家機関も覆ってゆく。やがてはカリフォル二アの大停電や去年8月の東部大停電となって顕在化してゆく。アメリカの産業は空洞化して設備は老朽化して、利益を優先した経営陣は新しい投資よりも財テクに夢中になる。やがてはライン・ランド女子が描いたような世界が到来するのだろう。

アトラスに出てくるゴールドと言う人物の発言はロスチャイルドの発言と言う説がある。ならばロスチャイルドはアメリカの滅亡を待望しているのだろうか。と言うことは9・11はそのきっかけとなる出来事であり、アメリカ東部の大停電はその兆候が表れなのだろう。さらにイラクでの敗戦はアメリカの滅亡を決定的なものにするだろう。ロスチャイルドはそこまで見ている。

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