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●「ラッファー曲線」をあなたは、どうおもいますか?
レーガノミクスを、酷評する投稿も見られますが、ほんとうはどうなのでしょう?
なるほどさん、すいません投稿拝借します。
帰ってきたブードゥー経済学 2003年12月27日 [田中 宇]
http://www.asyura2.com/0311/hasan32/msg/542.html
世界が同時株安に見舞われた八月末、米国の大富豪、ポール・アレン氏は「クリスタル・ハーモニー号」で航海に出た。単なる船客ではない。千人の乗客を収容する豪華客船をチャーターして友人や知人を招き、船上で大パーティーを開いたのである。
推定資産二百十億ドル。フォーブス誌の長者番付によると全米トップクラスの富豪は、四十五歳で独身だ。巨万の富は親から相続した財産ではない。二十年前に、創業に参画した会社の株で築いた。その会社の名はマイクロソフト……。
創業者の一人とはいえ、会社が飛躍的な発展を遂げた時期の経営には全く関与していない。八二年、病気を理由に退社したからだ。そのアレン氏は、一九九〇年代後半になってビジネスの世界で再び脚光を浴びる存在になった。
退社後も保有し続けたマイクロソフト株のおかげで富が膨張。豊富な資金をマルチメディア関連のハイテク企業への投資に回す。目先の利益は追わない。
シードマネーと呼ばれる起業の初期段階の資金を供給する。映画監督スピルバーグ氏が参加するドリームワークス、インターネット関連のCネットなど、投資先には有望企業が目白押しだ。
米国では、起業家に資金を供給する個人投資家をエンジェルと呼ぶ。功なり名をとげた老齢の篤志家の姿を思い浮かべがちだが、アレン氏のようにパソコン革命で当てた「若きベテラン」も多い。そんなエンジェルが全米にいま、およそ二十五万人いる。年間の投資額は二百億ドル。個人マネーがベンチャーキャピタルの投資規模(年間約百二十二億ドル)をしのいでいる。
個人の富の奔流とハイテクを舞台にした起業家精神の融合。言い古されたことだが、その源流は八〇年代のレーガノミクスにある。
アレン氏やビル・ゲイツ氏がマイコンに熱中していた七〇年代末、エコノミストのアーサー・ラッファー氏はレストランのナプキンに走り書きした曲線で、一躍有名人になった。限界税率を超えると減税で逆に税収は増えるという「ラッファー曲線」はアカデミズムの世界からは冷笑を浴びたが、レーガン政権の税制改革のよりどころになった。
かつて大胆な減税は財政の破たんを招くだけだと激しい攻撃を受けたラッファー氏は、いまサンディエゴでコンサルタント業を営む。米国の財政収支が二十九年ぶりの黒字に転換し、にわかに再評価の声があがっている。カリブ海にある国の自治体の首長からこんな電話がかかってきたという。「減税と財政再建を同時に実現すると選挙戦で公約して当選した。あなたなら不可能を両立できると思って相談したいのだが……」と。
「冗談ではない。減税は万能薬ではない」。ラッファー氏本人は迷惑げである。米政府が景気対策として日本政府に繰り返し求めた減税の効果についても懐疑的だ。
ケインジアンは富と所得を混同している。日本は貯蓄率が高いが、資産デフレで個人の富が収縮している。なぜそれに対処しない? 米国人は統計上、所得のほとんどを消費に回しているが、貯蓄不足ではない。
九〇年代、株式で蓄積した富を軽く見てはいけない。七〇年代までの米国は、勤勉な人間から国が富を集め、働かない人間に再配分する国家だった。金持ちは我々の敵ではない――。
そんなことをラッファー氏はまくしたてた。
米国では、産業育成から福祉まで国が独占していた富の再配分機能の一部を、いま個人が担う。
国家の役割の後退は悪いことではない。ビジネスを知らない官僚が富を再配分する国より、ゲイツ氏のような天才が富を再循環させる国が競争力があるに決まっている。供給重視派の論客だったジョージ・ギルダー氏も、米誌でこんな趣旨の発言をしていた。
クリスタル・ハーモニー号が太平洋上を航海している最中に、株価下落でアレン氏の富も一日で二十億ドル以上目減りしたという。
アレン氏はインターネットを通じて「偉大な革新は大変な我慢を必要とする」と、投資の心構えを説いている。船上にいたアレン氏は、富の蒸発に狼狽(ろうばい)したのか、日ごろの投資哲学を守る覚悟を決めたのか。膨張した米国の個人マネーの動きが、米経済だけでなく世界の景気のカギを握っている。
「民営化だけでは、間に合わないほど政府の病は重い。」P.F.Drucker
ネクスト・ソサエティより。