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増田俊男の時事直言!
227号 (2003年12月29日号)
2003年を振り返って・・・
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2004年は世界二分化の年
2003年はアメリカの一国主義に世界の政治、経済が引っ張りまわされた。アメリカの経済ファンダメンタルズは年々悪化しているのに政治は2001年9月11日(ハイジャック機による多発テロ)を境に世界を制覇した感がある。中東、極東、欧州で、いくらフランス、ドイツ、ロシア、中国、さらには国連(アラン事務総長)が反対しても、すべてアメリカは“Going my way"(わが道を行く)であった。世界は軍事力と金融戦略がいかに重要かを思い知らされたのである。アメリカの政治、経済のPresence(具現)に押されて今後世界は「力の意志」を求める。世界はアメリカとアメリカ追従国と、欧州中心の対米対立国との二グループに別れ、政治、経済のあらゆる場面で争うことになる。
2004年5月にはヨーロッパ25カ国のEUが政治発足する。経済の米である石油をめぐり中東産油国を押さえるアメリカと、ロシア(世界最大産油国)と連携する欧州との争いが激化する。中国は漁夫の利を狙い、北朝鮮を舞台にアメリカに擦り寄るが、一方軍事面では従来通りロシアとの協力関係を強化する。こうした列強の権謀術数の渦巻く中で小泉丸(日本)は最もEasy way(易しい道)、100%アメリカ隷属の道を行く
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アメリカの政治戦略
政治は覇権を目標とするが、実は国益の手段でもある。政治覇権は経済支配を保証し、経済支配は国益を保証する。戦争に勝っても、富と経済繁栄をもたらさないのであれば敗戦である。第二次大戦の戦勝国代表のアメリカは戦後のパックスアメリカーナの基盤を築いた。戦後のアメリカの政治、経済力の拡大と繁栄は敗戦国日本の獲得に負うところ大である。この事実認識の上に立って、さらなるアメリカの世界覇権のためにはさらなるアメリカの対日支配強化が不可欠である。終戦から1971年までと以後で、アメリカの経済ファンダメンタルズは逆転した。貿易黒字、対外債権国アメリカが今や恒常的貿易赤字国、世界最大の対外債務国に陥ってしまった。反対に日本は貿易赤字国から恒常的黒字国、対外債務国から世界最大の債権国に変った。経済ファンダメンタルズの日米逆転である。今後のアメリカの国家戦略は「失ったものを取り戻す」ことに尽きる。
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アメリカはいかにして貿易黒字を取り戻すのか
戦後の日本は日米安保でアメリカの軍事占領下だから政治的には「アメリカの属国」。
資源の無い日本は「加工貿易」が宿命。したがって世界最大の消費国アメリカは日本の王様である(消費者は王様)。戦後日本はアメリカの属国に完全に組み込まれてしまったのである。恒常的貿易赤字国アメリカは、まず(1)日本を恒常的貿易黒字国にしている要因をアメリカのものにする。また恒常的対外債務大赤字国アメリカは、(2)日本を世界一の債権国にしている要因をアメリカのものにする。これがアメリカの対日戦略の基本。
(1)は日本の大手輸出企業、(2)は先進国国民預金の60%を占める日本の国民の金融資産である。(1)を得るため、今後アメリカは小泉内閣の規制緩和の支援を得て日本の基幹産業である大手輸出産業を買収する。(2)を得るため、今後アメリカは日本の国民金融資産を管理運用している邦銀を買収する。さらにアメリカにとって聖域だった郵貯の民営化は小泉内閣の目玉だから民営化され次第買収する。小泉構造改革のおかげですでにアメリカは目標の8割ほど達成済み(主な輸出企業の外人持株比率は50%に迫っているし、自動車メーカーも邦銀も次々とアメリカの傘下に下っている)。
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北朝鮮とは・・・
北朝鮮はアメリカの対日戦略上欠くことのできない重要な要因である。アメリカの対日政治支配は対日安全保障である。対日安全保障を保証しているのが「平和憲法」と対日脅威をPresenceする「北朝鮮」である。「北の脅威無くして日米安保なし」である。ブッシュはサダム・フセインのイラクと金正日の北朝鮮を「悪の枢軸」に指定したが、両国はアメリカにとって全く異質の存在である。アメリカが中東石油を支配するためにはイラクを占領する必要があったが、アメリカの対日軍事支配を保証する北朝鮮の存在をアメリカは否定できない。このようにこれからの世界はまたもやアメリカの戦略によって動かされる。日本はただ「金魚のフン」のごとくアメリカに隷属して生きる以外に道は無い。残念だ、これではいけない、と思う日本人は多いだろう。「力の意志」に従えば、日本が米軍に勝る軍事力を持って日米安保を一方的に破棄すれば、日本の政治的独立は可能になる。しかし日本では共産党以外の政党にとって「日米安保はわが国の安全の要(かなめ)」だし、国民もほぼ100%日米安保支持であるから、今のところ日本がアメリカの属国から開放されるのは夢物語である。
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増田は何をするのか
アメリカといえどもアキレス腱がある。私は世界史が好きだが、歴史上何度か「弱い国が強い国に勝った」ことがある。それは強国の弱点を突いたからである。アメリカの弱点は「アメリカの国民」と「マネー」である。つまりブッシュと言えども落選したらテキサスのカウボーイでしかない。日本がアメリカの世論に対して何が出来るか、世界のマネーの大半を握る日本がマネーを使ってアメリカに対して何が出来るか。私は対米世論戦略とマネー戦略でアメリカを動かすことが出来ると確信する。この二つの要因を、平和裏に、巧みに使って、事実上破綻しているアメリカの経済に対して日本が責任を持つことが対米戦略の基本でなくてはならない。アメリカの国民に日米関係の真実を明らかにし、日本が持つ対米政治、経済カードと比較優位性でアメリカを戦争する必要の無い国にすることが日本の使命であると信じる。これが2003年を生きて深く感じたところである。
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発信者 : 増田俊男
(時事評論家、国際金融スペシャリスト)
http://www.chokugen.com/opinion/backnumber/frame_h15.htm