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(回答先: 破産状態のアメリカについて質問です。 投稿者 hou 日時 2003 年 12 月 28 日 07:42:41)
先ほどの経常収支の話をもう少し深く掘り下げてみました。
言いたいことがうまく伝わるかどうか自信はありませんが。
読んでみてください。
経常収支や貿易収支などのことばの説明からいたします。
まず、経常収支ですがわかりやすくするために数式で表すと
以下のとおりとなります。
経常収支=貿易収支+サービス収支+所得収支+移転収支
貿易収支は輸出−輸入です。サービス収支は海外旅行などを
して海外で使ったお金の差引きです。所得収支は雇用者報酬と投資
収益からなります。投資収益というのは海外の子会社からの配
当金や証券などの配当金や利子などです。米国連邦債(米国国債)
などの配当金などもここに入ります。移転収支というのは海外
へ対する経常移転で、わかりやすくいうと国連の分担金や他国
への無償援助金などになります。
ここ最近まではサービス収支の赤字と所得収支の黒字がだいたい
同額だったため、経常収支=貿易収支という状況になっていま
した。ところが直近では国際情勢の悪化やSARSなどの影響も
あり、海外旅行が大きく落ち込んだことからサービス収支の
赤字が縮小しました。その一方で円高是正のための為替介入の
際に購入した米国連邦債の残高が急激に上がったことから
所得収支が大きくなっていると言われています。
ところでこの経常収支というものは経済のフローをみる上で
重要な指標といわれています。貿易・サービス収支が黒字と
いうことは、この国の国内総生産(GDP)が国内消費を上回っ
ている、ということを意味します。内需以上に生産され、それだけ
余裕があり余っているということになります。
これをわかりやすくするため、式でかくと以下のようになります。
GDP=内需+貿易・サービス収支
さらに経常収支も含めると、経常収支は貿易・サービス収支に
所得収支が加わったものですから
GNP(国民総生産)=内需+経常収支
となります。
経常収支を外需と考えれば、内需は国内消費+国内投資ですから
生産=内需(国内消費+国内投資)+外需
となります。
生産=国内消費+貯蓄
とも表せますので、
貯蓄=国内投資+外需
とも表現できるのです。
この式からわかることは、海外での黒字は生産が内需を超えて貯蓄
になっている上、さらに国内投資でも消化しきれずに海外へ流れ出
ているということです。つまり、内需が足りないために、国内でお金を
使い切れずに海外へ流れ出ているのです。これが現在の日本経済の
様子です。
ところで一方のアメリカ経済はどのようになっているのでしょうか。
経常収支の不足している国、つまり現在のアメリカのような国は
海外から資金を取り入れてその不均衡を是正することになります。
海外からの資金の取り入れは資本収支として計上されます。資本収支は
以下の式で表します。
資本収支=投資収支(直接投資+証券投資+その他の投資)+その他
投資収支は貿易収支とは逆で、資金が入ってくれば黒字となり、出て
行けば赤字となります。
こうして経常収支が赤字になると、海外から資金の取り入れを行って
バランスが取られます。つまり資本収支が黒字となるのです。逆に
経常収支が黒字であると、資本収支が赤になります。また、経常収支が
黒字だと、外貨が入ってきますが邦貨に交換されるので外貨準備高は
増加します。こうして経常収支と資本収支が逆の動きをしてバランスが
とれらるので、以下の恒等式がな成立ちます。
経常収支+外貨準備高+資本収支=0
このようにしてマクロ経済的にはアメリカ経済と日本経済がともに
バランスして均衡を保っていると考えられます。ではなぜ、アメリカ
経済破綻説や日本経済破綻説が出てくるのでしょうか。
実はこの国際収支バランスは長期的には成立しないものだからです。
なぜなら、経常収支の不足を資本収支でファイナンスしているので、
利子や配当金の支払いがあるからです。対外債務国は利子・配当の支払
いが増えることはあっても減ることはありません。経常収支の赤字を
資本収支で穴埋めするという自転車操業的悪循環に陥るからです。
結局、経常収支の赤字はまじめに働いて貿易・サービス収支の黒字で
返すしかないのです。利子負担が続けば一層バランスが崩れます。
赤字は稼いで返すしかないのです。
恐らく現状でも、アメリカが改心して国内製造業の育成をし、国内
産業だけで需要をまかなえるようにして、一方の日本も生産に見合った
内需(この場合は公共投資となるのでしょうが)を創出し、経常収支の
黒字を解消すれば、今でも正常の経済状態に戻れそうな気がします。
ところが現在のアメリカはそういうまじめな方法で対外債務を解消
する気配がありません。財政、貿易の双子の赤字は増える一方です。
そうなるとアルゼンチンやイラクのように債権放棄をしてもらうしか
手はないでしょうし、そのときは日本も無傷ではいられないでしょう。
日本の対外投資がドル建てで行われているので、その分為替リスクを
常に負っているからです。
こうなると何か別の妙案でもあるのか?と考えたくもなります。もうひと
つ考えられることは、この国際収支のアンバランスはアメリカと
日本といった経済システムが独立した国家単位になっており、為替変動や
輸出入といった国際収支があるためにおこるわけで、この垣根を取って
しまえばこのような問題から解消されます。あっしらさんがよく語って
おられる、世界政府の考え方などはこの国際収支バランスの問題を解消す
るために米国政府やそのエスタブリッシュメントが検討を進めているひと
つの考え方ではないのか、と自分では理解しています。