現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産32 > 559.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
ペイオフ全面解禁の延期は邦銀にとって負担の大きい一時的救済
スタンダード&プアーズは本日、「ペイオフ全面解禁の延期は邦銀にとって負担の大きい一時的な救済措置」と題するリポートを発表し、その中で、2003年4月に予定されていたペイオフの全面解禁を見直すという政府の提案は、大手行や地銀の多くにマイナスの影響をもたらす可能性があるが、スタンダード&プアーズはそれを理由に銀行の格付けを変更する意向はないとの見解を示した。
大手行や地銀の多くにとって決済性預金を全額保護することのメリットは少なく、システムコストや預金保険料の値上がりがかえって負担になるとみられる。また、ペイオフ解禁の実質延期によって弱い銀行が市場に留まることになり、銀行業界の健全化を遅らせ、オーバーバンキングと低収益の問題が長引く可能性もある。
新制度の詳細については金融審議会で現在検討中であるが、政府は法人企業や地方公共団体が利用する無利息の決済性預金に対する全面保護を継続する方針と伝えられる。また、リテールの預金者や零細事業者を対象に新たな無利息の決済性預金の設置を検討している。これらの預金を全額保護するにあたって、銀行は定期預金などより高い預金保険料を支払う必要があり、そのコストの一部は預金者に手数料などの形で転嫁される可能性がある。
今回の措置により保護される預金者層は当初の計画に比べて拡大するが、大手行の発行体格付けそのものが改善するわけではない。スタンダード&プアーズの格付けには、システミックリスクの恐れがある場合、政府が危機管理勘定を用いて大手銀行や大手地銀の債権者を保護するだろうという見通しをすでに織り込んでいる。
新型預金の短期的な効果は、そのコストが銀行、政府、預金者の間でどのように配分されるかにかかっている。顧客が完全な保護を受けるかわりに高い口座維持手数料を支払わなければならないとすれば、新型口座に資金を移すより、より健全な銀行に預金を移すほうを選ぶだろう。また、仮に顧客が新型預金口座に預金を移したとしても、資金の移動性が高まることから、規模の小さい銀行にとって流動性リスクの上昇につながる恐れがある。
格付けの低い銀行にとっては、資金調達における厳しい状況が幾分緩和するというメリットがあるが、その効果は長期的に持続するものではないだろう。
日本におけるペイオフ全面解禁の延期は、多くの預金者、とりわけ大口預金者と地方公共団体が金融システムの健全性に対して強い懸念を抱いており、すべての金融機関は健全であるという金融庁の発表に疑いを抱いていることの表われともみられる。政府および監督当局は、存続の難しい銀行に退出を促し、存続できる銀行については、極めて脆弱な財務内容を改善させ、またより強固なコーポレート・ガバナンスの慣行を築くなど、包括的な対策を講じて、金融システムに対する信頼を早期に回復させる必要がある。
http://www.nikki.ne.jp/news/88023.html
(詳細は、スタンダード&プアーズ でご確認ください)