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小泉政治徹底批判――小泉内閣の道路政策1 森田実
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投稿者 どさんこ 日時 2003 年 12 月 26 日 22:17:37:yhLXMcSQdrkJ2
 

森田実の政治評論日誌
小泉政治徹底批判――小泉内閣の道路政策の検証[一]

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 「無駄な公共事業」「人間の住んでいないところに道路をつくるのは国民の税金の無駄づかい」――これらの言葉は東京では流行語になっている。小泉首相のエピゴーネン(追随者)たちが念仏のように繰り返し唱えている。政治家、官僚、小泉首相御用の学者、ジャーナリスト、新聞記者、テレビ局の報道記者や解説者が叫び続けている。マスコミは誤った観念を大々的に報道し続けてきた。
 この結果、「公共事業はすべて無駄」というまったく間違った観念が国民の間に広がっている。マスコミは、公共事業を行っている全国の土木建設業者をあたかも不正利権にかかわっているように印象づける報道を続けている。この中心にいるのが小泉首相、一部の勝ち組の財界人と御用学者、そして財務省のエリート官僚である。

 彼らは現代社会の唯一最大の諸悪の根源は財政赤字だとする。財政赤字さえ克服すれば、日本は立ち直ることができると考えている。この手段は、国債発行額の減額、財政支出の削減である。これは一見よさそうに見えるが、実際には破綻してしまっている。
 日本経済のバランスを無視して行ったきた直線的・短絡的な財政支出削減の結果、デフレ不況はさらに深刻化し、税収は大幅に減った。このため財政状況はさらに悪化している。
 小泉政権発足時と小泉政権発足後の2年数カ月を比べると税収は大幅に減っている。約51兆円から42兆円に減ったと報道されている。小泉人気の一つの要因となった「国債発行30兆円枠」の公約は一度も守られなかった。小泉内閣の財政再建策は完全に失敗したことになる。亀井静香元政調会長らが主張してきた「まず景気回復。景気をよくして税収を上げ、それによって財政再建をはかる」という政策を拒否し、直線的財政再建策をとったことが大きな過ちであることは明らかである。これについて小泉首相と小泉流構造改革論者の責任は免れることはできないと思う。とりわけ小泉首相を英雄のように持ち上げてきたマスコミの責任は重大である。
 それ以上に問題なのは、過去の財政政策についての財務省指導者の責任である。小渕内閣時代に巨額の財政支出を行った人物が、次には一転して、過去の財政政策と正反対の緊縮財政を平然として実行するということが許されていいのだろうか。官僚といえども熱い血が体内にあるはずである。厚顔無恥といわれるような態度は官僚の信頼を損なうものだ。小泉首相の直線的財政再建策が失敗したことを素直に認めて責任をとるべきである。

 もう一つ、政治家の傲慢と鈍感についても指摘しておきたい。
 小泉構造改革支持派の政治家が言う「無駄な公共事業」との発言には大いに問題がある。これまで公共事業を決定し推進してきた政治家が、自己の責任を棚上げして、「無駄な公共事業」発言を続けるのは無責任である。それ以上に厚顔無恥である。
 国民感情に鈍感な政治家が増えていることは、日本における民主主義の衰退の結果である。責任感に欠ける政治家が跋扈しているのは、政権交代がないことにも原因がある。疑獄事件が起こっても政権交代が起きない日本の悲劇といえるかもしれない。
 公共事業に携わっている土木建設業者のすべてが利権構造のなかにいるかのごとく伝えているマスコミ報道には人権侵害の疑いがある。マスコミは事実をよく検証してから報道すべきだ。一部に不心得者がいることは事実だが、しかし大多数の土木建設業者は法と道議を守って真面目に働いている。この事実は認めるべきである。偏見は百害あって一利なしだ。政治家、エリート官僚、マスコミという大権力が、偏見にもとづいた発言をするのは許されない。マスコミによる人権侵害は重大問題である。
 小泉政権の道路軽視の根底にあるのは地方軽視だ。小泉首相とそのエピゴーネンたちが推進しているのは地方切り捨てである。地方の道路建設を否定するのは、地方をないがしろにしているからである。財政難下、公共事業を見直すということは正しい。だが、公共事業をスケープゴートのように扱い、全面的に否定するのは間違っている。

 公共事業に対する過度の偏見を、政界、官界、言論界から一掃しなければならない。道路は日本列島の動脈であり静脈である。この考え方を大切にしなければならない。道路に対する極端な偏見をなくさなければ冷静な政策議論は不可能だ。
 12月上旬に会った内閣府のキャリア官僚は「道路の公共事業はすべて直ちに中断する。トンネルも架橋工事もすべて中断し、そのままにする。無駄な金は一銭も使うべきではない」と語った。かなり高い地位の官僚である。「工事途中で打ち切り、そのままにしておくというのは危険ではないか。景観上も問題ではないか」と問い質したところ、「無駄な金は一銭も使うべきではない」の一点張りで、とりつく島なしという感じだった。
 財務省の高官とも議論した。彼はこう主張した――「政府の財政支出によって経済状況を改善するという考え方が過ちの根源であり、福祉、年金に政府が取り組んだことも過ちだ。ニューディール政策は世界史上最も誤った経済政策であり、ケインズ理論は史上最悪の経済理論だ。公共事業などに財政支出をするのは直ちにやめるべきだ」と語った。おそらくこれが財務省指導層の本音だろうと思う。財務省は、ブッシュ政権、公明党・創価学会とともに小泉首相の最大与党である。
 財務省幹部の発言からにじみ出る発想は、財務省だけの生き残りのように感じられた。地方財政の三位一体改革についても、「税源移譲などとんでもない」という意見だ。「地方公務員には税を公正に徴収し、税を法に従って再配分する能力はない」と考えているだ。

 小泉内閣が行おうとしている公共事業見直しの底にあるのは、中央官僚だけの生き残りである。総務省が強引に推し進めている市町村合併はその第一段階だ。これによって市町村は力を失う。ついで県の「改革」だ。県もなくす方針だ。金が必要なら「地方自治体自身で借金しろ」というのだ。公共事業に関係する中央官庁も、財務省にとっては敵である。
 財務省一省支配に向けて、財務官僚が暴走し始めたのではないかという感じすら受ける。心配である。
 地方の活性化なくして日本再生なし――これが正しい考え方だ。公共事業に対する偏見は百害あって一利なしである。

 2003年12月24日、小泉構造改革の一つの目玉だった道路公団の民営化問題が決着した。小泉首相とそのエピゴーネンの御用学者・評論家そしてマスコミがによる無責任な大騒ぎの結末は、まさに「大山鳴動して鼠一匹」というべき惨めなものに終わった。小泉首相の偽善的政治手法は許しがたいと思う。しかし政府が出した結論自体は、初めの民営化促進委員会の結論よりもマシである。
 第一に、上下一体の民営化という大愚行が回避されたことは評価されてよい。公道の土地は国民の共有財産である。これを民営化して巨大資本の私有物にするなどということが許されていいはずがない。いったん民間資本の私有物になれば、外国資本に売られることも起こり得りかねない。これは国益に反する。こうしたことが回避できたこと自体は評価されてよい。
 逆に言えば、国民の共有財産である公道を外国資本の所有物にしてしまうおそれのある、上下一体の民営化などという愚かなことを考えた民営化推進委員会の多数派はどうかしていたのである。
 第二に、新たに道路を造ることをやめてしまうという民営化推進委員会の提言を否定し、道路を造り続けることにしたのは正しい決定である。地方の希望を奪い取ってはならない。
 第三に、最終的に政府が責任をもつことにしたことは正しい決定である。この点でも民営化推進委員会の愚行が否定されたことはよかったと思う。
 マスコミは自らの過ちを素直に認めようとせず、今回の決定にケチをつけているが、これほど愚かなことはない。マスコミは自らの不見識を詫びるべきである。

 今回の道路公団をめぐる騒動と結果を見るにあたって、二つの問題に注目しなければならない。これを混同してはならない。
 一つは、小泉首相の政治手法の問題である。大騒ぎを起こし、マスコミの人気者を味方にしてマスコミを動員し、批判者には「抵抗勢力」のレッテルを貼って魔女狩りの対象にしてしまう。こういう乱暴な政治手法は厳しく批判されなけなければならない。独裁政治に等しい。「小泉首相よ、いい加減にしなさい」と私は強くいいたい。
 もう一つは、道路政策の問題である。これは、愚かな過ちだけは回避したという意味で評価されてよい。とくにわが国の国土である公道が、外国資本の手に渡る道を阻止したことを私は評価する。
 http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C0657.HTML 

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