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世界経済:今後の見通しは? スティグリッツ教授に聞く
米景気回復への期待をテコに株価が急回復する一方、ドル安や通商摩擦の激化など先行き不安も漂う世界経済。ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授に見通しを聞いた。【ワシントン竹川正記】
――米景気をけん引役に世界経済は持続的な回復に到達できますか。
◇二つのリスク要因がある。一つは米財政と経常の「双子の赤字」問題。米長期金利の急騰などで国際金融市場の不安定化を招く恐れがある。もう一つは、貿易赤字拡大と雇用回復の遅れを背景とした米国内での保護主義圧力の高まり。世界経済に打撃を及ぼす懸念がある。
――日本経済にも明るさが出てきましたが。
◇日本の景気回復は、世界経済、とりわけアジアには良いニュースだ。製造業は競争力を回復している。一方で、(銀行をはじめ)非製造業など他の産業は未だに非効率のまま。景気回復は短命かもしれない。
――イラク戦争や通商政策をめぐる米国と世界の亀裂も深刻です
◇ブッシュ政権が自国や米企業の利益を優先し、国際社会の利益を考えていないため、世界経済の秩序が失われている。他国には市場開放を求めながら、自らは鉄鋼セーフガード(緊急輸入制限)発動し、国内農家への補助金もバラまいている。米国のリーダーシップが信頼されていないのが問題で、世界貿易機関(WTO)新ラウンド(新多角的貿易自由化交渉)も頓挫した。
――イラク戦争支持も含め、小泉政権は米国寄りを鮮明にしています。
◇小泉政権の姿勢は長期的な日米関係を損なうものだ。米国民の多く、特に若い世代は、米国の国際協調体制への復帰を求め始めており、日本にはブッシュ政権にすり寄るのではなく、国際協調を推進してほしい。
――米株価の急回復はどう見ていますか。
◇一時的に株高になっても、投資家に不誠実なウォール街の姿勢が改まらない限り、市場は安定しない。ワールドコムなど一連の企業不正会計事件後の米政府の対応は不十分。ニューヨーク証券取引所の巨額報酬事件や投資信託業界の不正が発生したのもそのためだ。
▽ジョセフ・スティグリッツ氏 43年生まれ。エール大教授などを経て、93年にクリントン前政権の大統領経済諮問委員会(CEA)入り。97年から00年には世銀チーフエコノミスト。01年市場万能主義の欠陥をついた「情報の非対称性」の研究でノーベル経済学賞。最新作は90年代のIT(情報技術)バブルを検証した「人間が幸福になる経済とは何か」(徳間書店)。
[毎日新聞12月19日] ( 2003-12-19-23:39 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/keizai/20031220k0000m020146000c.html