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足銀問題を問う
渡辺喜美
昨日、栃木県選出の自民党国会議員が全員集まりまして、本日どのような質問をしたらいいか討議をいたしました。きょうの私の質問はその国会議員の総意を受けて行うものでございますから、そのつもりでお答えをください。演説の部分は私の独自の見解も入っております。栃木県では、ああ、鬼平犯科帳だなと言われているんですよ。平蔵さんのおかげで町が静まり返っている、そういう状況になりかねないのでございます。
今年度の足利銀行の期間収益は予定を上回るペースで、収益は拡大基調に実はあったのであります。こういう銀行を破綻させればどうなるか。生きているものを突然殺しちゃうわけですね。そういたしますと、腐っていくんですよ。債務者企業も腐ってまいりますし、銀行本体も劣化をしていくんです。
102条の1号、2号、3号、一体どれをやるんだろう、そういう議論がありました、2週間ぐらい前ですよ。最終的に3号措置をお選びになった。御案内のように、3号措置というのは、一番政府の責任の重い措置であります。そして一番お金のかかる措置であります。
そもそも、102条の体系が実はピンぼけであるということを我々は指摘してまいりました。健全化法という法律をつくるときに、ちょっと原則を間違えてしまったんですね。
つまり、銀行の破綻処理というのは、例えば、ペイオフコストを超える資金贈与とか、あるいは特別公的管理、ブリッジバンクとか、あるいは清算というやり方があります。しかし、そういうやり方をやっては金融に特有の連鎖反応、システミックリスクが起きかねない、そういうおそれがある場合には例外的に資本注入ができる。したがって、この場合には、債務超過であろうがなかろうが関係ないんですよ。
ところが、健全化法をつくるときに、債務超過の銀行には資本注入はできない、そして、自己資本比率に応じて優先株を入れたり普通株を入れたり、健全な銀行にお金を入れるんだから必ず戻ってくるんだというフィクションをつくっちゃったんですね。その結果、逆算方式で、返してもらう分だけ入れたものですから、何年間かはもちましたけれども、結局、間題の根本解決に至らなかったということなんですね。そして、何か資本注入が原則論みたいになつてしまっているわけであります。やはり、こういうそもそも論をもう1回考え直すべきなんじゃないかと私は声を大にして申し上げたいのであります。
そこで、今回の破綻処理の背景、いろいろな説がありますよ。お怒りにならないで聞いてください。
第1の説は、今度、来年の通常国会に出されるであろう、予防注入、再編合併促進の法律、今検討をしている段階でございます。これを通すためのいけにえではないか。スケープゴート説というものですね。つまり、足利銀行をりそな型の1号措置でやってしまいますと、新法なんか必要ないじゃないか、幾らでも1号でできるじゃないか、こういう議論になりかねない。そういう説があります。
第2の説。「りそな」で懲り懲り説というものですね。「りそな」の1号措置でもって、これはモラルハザードだと大変批判をされた。株価対策じゃないか、こういう話も言われましたね。そこで、もう金輪際こんなことはやりたくないというので、今回3号措置に来たという説であります。
第3の説は、対日投資促進説。小泉・ブッシュ会談において、対日投資が促進される合意がなされました。あおぞら銀行も新生銀行も外資系投資ファンドがお買いになっておりますね。そういたしますと、地銀に新たな玉が出てくれば対日投資が促進されるじゃないか、こういう解説をする人もいます。
それから、きょう発売の週刊誌などでは、北朝鮮制裁説みたいなものが言われております。北朝鮮の送金は足利銀行はもうやっておりませんので、破綻をさせて徹底的に暴いてやろう、こういうことなのでありましょう。
こういった言説が流布されているわけでございますが、真相は一体どういうことなんでしょうか。
竹中平蔵 経済財政・金融担当大臣
まず、渡辺委員が冒頭でおっしゃいました、これはまさに県民の思い、そしてそれを受けた県選出の先生方の思いというものがいろいろな御質問の背景にあると思いますので、一生懸命お答えをさせていただきます。
預保法そのものに対するお考えは、委員なりの一つの御見識だというふうに思います。この点につきましては、幅広くいろいろなところで御議論を賜るべき間題であろうかと思っております。
しかしながら、真相やいかんということになりますと、今の4つの説は、怒らないで聞けというふうに言われましても、これはやはりちょっと違うのではないか、ひどいのではないかというふうに我々としては申し上げざるを得ないと思います。
私たちとしましては、今与えられた法律の枠組みの中で、とにかく銀行自身が債務超過であり破綻だという申請をしてきたという状況の中で、どのような対応をとるべきかということをやはり粛々と考えて着実に実行している立場にあります。こうした中で、預金保険法の、もう委員よく御承知のように、1号というのは資産超過の場合、債務超過の場合は2号または3号、そうした中で、これは後からいろいろ、るる御質問が出るかもしれませんが、地域に対する影響を最小化したいという観点からこの3号の措置をとらせていただきました。
4つの説、いろいろなことを言われているのでありましょうけれども、我々としては、今申し上げましたように、銀行自身が債務超過であり破綻を申請するという、その申請が行われた中で、地域の金融を安定化させるための最善の政策を現行の法律にのっとってしっかりと行うという決意で、今回の措置をとらせていただいたということでございます。
渡辺喜美
「りそな」のときは、もう明らかにこれは株価対策でしたね。株主責任は問わない。あの当時は株価が相当下落しておりました。したがって、株主責任を問うようなことをやってしまいますと、株の持ち合いを通して、生命保険会杜に波及をしていったり、そこから別の銀行に波及をしていったり、そういうことがあったものですから、株主責任を問わない1号措置をやった。株数減資とか資本金の減資をすらあのときはやらなかったわけですね。
今回、3号措置をとった。恐らく株価動向をにらみながら、まあこれだったら大丈夫だろう、そういう御判断があったのではなかろうか、そういうことを言う人もいます。先ほど、厳格な検査をやってきたのはリレバン政策、リレーションシップバンキングの方針を変えたわけではない、こういう御説明がございました。
日本公認会計士協会の奥山章雄会長さんがこんなことをおっしゃっています。大手銀行と地銀は着ている服のサイズが違う、中小地域金融機関での貸出債権の引き当てでは見方に幅があることは金融庁も理解をしていたはずだ、今回、金融庁が大手銀行並みに相当深く掘り下げたのは、「りそな」問題をきっかけに方針が変わったのではないか、こういうことをおっしゃっているんですね。
御案内のように、奥山会長さんは中央青山監査法人の代表杜員というお立場もあるわけでございます。もちろん、足利銀行の監査に関与されていたわけではなかろうと思いますが、同じ監査法人の代表杜員でございます。
奥山会長はこんなこともおっしゃっています。今回金融庁は、大手銀行に使った収益還元法を適用して厳しい査定をした、こうおっしゃっています。例えば、担保評価について、従来でありますと積算法というものをやるんですね。今回は明らかに収益還元法を使って、かなり厳し目の担保評価をされました。
それは、先ほどの大臣の御答弁ですと、検査を甘くすることがリレーションシップバンキングの精神ではありませんよ、こういうお話でしたね。しかし、DCFは地域銀行には適用しない、こういうことだったと理解をしております。今回も、DCFは適用していないと検査局長さんもおっしゃっておられます。
しかし、資産査定を厳しくし、担保評価で収益還元法を導入する、そういたしますと、当然、DCF的発想で、資産をもう一回査定してみなさいよ、そういうことになるんじゃありませんか。現に、そういう指摘を受けたという現場の証言があるんですよ。いかがですか、そのあたり。
佐藤隆文 金融庁検査局長
お答え申し上げます。
今回の検査におきまして、私ども、標準的な検証の方法をとったというふうに認識をいたしております。
担保評価の件でございますけれども、担保の評価は、特に破綻懸念先以下、回収の可能性の危険度の高い債権については、その担保評価額を正確に出す、処分可能見込み額がどれくらいになるかということを正確に把握することが非常に重要でございます。
それで、その担保評価のあり方でございますけれども、検査マニュアルにもございますように、不動産鑑定士の鑑定評価を使う場合、あるいは近隣の売買実例を参考にする場合、あるいは公示地価等を参考にする場合、それから再調達原価ということで積算価格を用いるような場合、それから収益還元法を使うような場合、いろいろな場合があるわけですけれども、それぞれの物件の性格に応じて、どれが一番適切かということがあるわけでございます。
それで、今回の検査におきまして、基本的には個別の詳細について申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般論として、今申し上げたような趣旨で、できるだけ正確な担保評価額を出すということを目的として、今申し上げましたような幾つかの手法あるいは参考データを検査官と銀行側の担当者が議論をする、そういうプロセスでございます。このことは一般的に行われているところでございまして、そういうプロセスを経て、それぞれの物件について一番妥当な手法が選ばれているということかと思います。
特に、大口につきましては、かつ回収の危険度の高い債権についている担保については、特に正確な評価が必要ということで議論をしているわけでございますけれども、銀行が使っております積算価格というものをベースに、それを尊重しているという部分が多いということも事実でございます。
渡辺喜美
それではお聞きをいたしますけれども、足利銀行だけ特別に厳しい検査をやったのではない、こう理解してよろしいですね。
佐藤隆文 金融庁検査局長
そのとおりでございます。
渡辺喜美
ということは、今回足利銀行に対してなされた検査と同じ手法がこれから地銀の検査において行われていく、こう理解してよろしいですね。
佐藤隆文 金融庁検査局長
今回の足利について行った手法がこれからほかの銀行についても行われていくということよりは、私ども、もともと、会計の基準、会計ルール、検査マニュアル等に沿って、いわば共通の基準に沿って検査をやってきておりまして、足利銀行もその一例であったということでございますので、今後ともこれまでの方針に沿ってやっていくということかと思います。
渡辺喜美
これまでの方針どおりにやった、こういうことでございますから、これから地銀の検査はこのような形で行われる、こういうふうに私は理解をいたします。奥山公認会計士協会会長もこんなことをおっしゃっていますよ、地銀も気を引き締める必要がある。恐らく同じ趣旨の御発言をしておられるんだと思います。奥山会長は竹中タスクフォースチームの主要メンバーでもございますね。大臣は、この問題について圧カをかけたなどということは一切ない、こうおっしゃっておられるわけでございます。
いずれにしても、この問題はかなり、今後の金融行政について、よく言えば、画期的な、エポックメーキングな出来事になるのは間違いないと私は思います。願わくは、足利銀行がスケープゴートにされたという歴史的な証明がなされないようにしていただきたいのでございます。
そこで、先ほどもお話がありましたが、優先株主さんが相当いらっしゃいます。これは大変かわいそうなケースもございまして、大体、優先株主さんというのは種類株主と言うんですね。種類株主総会は今回全然開いていないんですよ。
一方において、強制資本注入はできない、憲法29条があるからだ、そういう議論がありますね。しかし、今回行われたことは強制消滅じゃないんですか。どういう整合性があるんですか。消滅させる方は強制的にできるんですね。強制注入は、我々が何度言っても、いや、これは憲法があるからできないんだ、こういうとてもちぐはぐな体系になっているんですよ、この国は。
先ほども、優先株主の救済の余地がないかという議論がございました。私は、デット・エクイティー・スワップというのがあるんですから、エクイティー・エクイティー・スワップというのをつくったらいいじゃないかと言っているんですね。つまり、残余財産の分配に優先的にあずかれる。今回、債務超過だから残余財産はないんだ、だからゼロなんだ、こう副大臣はさっきおっしゃいましたけれども。しかし、新銀行といいますか特別公的管理行の株は全部国が保有されるわけでしょう。この銀行の持ち分に転換をするような、そういう余地があったっていいじゃありませんか、優先株主さんには。いかがですか。
伊藤達也 内閣府副大臣
これは、先ほど大臣もお話しになられましたが、株主の皆様方の御心情を考えると大変遺憾なことでございますが、足利銀行はあしぎんフイナンシャルグループが100%の株式を保有する子会杜でありまして、御指摘の優先株はあしぎんフイナンシャルグループの優先株式であります。他方、先生御指摘の新銀行は足利銀行を引き継ぐ受け皿たる銀行でありまして、あしぎんフィナンシャルグループとは別の法人でございますので、先生の御提案は大変難しいものと考えざるを得ません。
渡辺喜美
優先株の償還が来年の2月なんですね。そういたしますと、借金をして増資に協力をしたという方々がいらっしゃる。その方々は、来年2月に入ってくるはずのお金、何千万もの方もいらっしゃるし何億円の方もいらっしゃるんです。これはゼロになります。そうすると借金だけ残る。まだ株が実現損をしたわけではないんでしょうけれども、しかし、評価損でも、これはもう強制評価減に匹敵する下落になるんですね。
そういたしますと、これがフローの業績に反映をしてくる、PLに出てきちゃうんですね。赤字に転落をしていく。そうすると、債務者区分が下がっちゃうという企業が出てくるおそれがあるんですよ。こういうところに対しては当然引き当てを積み増しするんでしょうね。要注意から要管理になっちゃったとか、あるいは要管理から破綻懸念先になっちゃった、こういうところにきちんと新銀行はニューマネーを出せるんですか。
五味廣文 金融庁監督局長
まず、あしぎんのホールディング株式が実質的に無価値になったことによりまして、その株を保有しておられる地元の企業の方などが資金繰り等で困難に直面することがありませんように、関係省庁の連絡会議でもいろいろ話し合いをいたしまして、そうした株主の方を含めました借り手の方々への資金供給の円滑化ということに万全を期していきたいということで考えております。
また、保有株式が減価することで財務状況が悪化した場合と申しますのは、その財務実態というのは確かに悪くなるわけでございます。したがって、新銀行におきましては、借り手への円滑な資金供給ということに配慮しながら、かつ必要なリスク管理は行っていくということで、必要なリスク管理とバランスをとりながら、そうした債務者の方々への資金の供給についても十分な配慮をしていく必要があるというふうに考えております。
渡辺喜美
とにかく、この問題は非常に難しいですね。私も、どういう解決方法があるか、非常に思い悩んでいるところであります。しかし、先ほども申し上げたように、3号措置という、国が一番重い責任を負う、そういう措置をとっちゃったんですね。したがって、これは国の責任においてきちんと、地域の経済が劣化しない、そういう努力をやっていただきたいと思います。
一方、自治体が出資をしている分がございます。平成11年と14年に行われております。その際、自治体の側から見ますと、現金預金という資産が株式という資産に変わっただけなんですね。しかし、今回、この資産が極めて無価値に近い状態に今なってしまっているわけでございます。これは、今回の破綻処理によって自治体の方に新たな費用が発生するということになるんじゃありませんか。ということは、特別交付税でこの手当てをするということをやってもいいんじゃありませんか。どうですか、山口副大臣。
山口俊一 総務副大臣
ただいま、先ほど来の渡辺委員のお話を聞いておりまして、大変な状況下にあるということは私どもお十分認識いたしております。
この足利銀行の処置に伴いまして、地域経済に大変重大な影響を及ぼすということが懸念をされておるわけでありますが、そうしたことを受けて、栃木県におかれましても、知事を本部長として栃木県金融危機対策本部を設置なさいまして、県とか商工団体等において、特別金融相談窓口の設置や緊急セーフティーネットの資金の創設というふうなものを決定なさったとお聞きしております。
今後、こうした栃木県の対応も踏まえまして、国としても、地域金融システムの維持、安定や、地域経済と雇用の安定を図るために、関係機関で的確な対応策を講じる必要があると考えております。先ほど、渡辺委員の方からの御指摘があったとおりでございまして、総務省としても、実情をよくお伺いしながら適切に対処をしてまいりたい。
ただ、先ほど特別交付税というふうなお話がありましたが、実は、すべての出資が官民を問わずに無価値になってしまうというふうな状況である以上、自治体の出資分のみが救済をされるという措置を講じることは大変難しい。しかし、県としていろいろなスキームを考える中で、何か総務省としてお助けができないだろうかということはしっかり検討させていただきたいと思っております。
渡辺喜美
ぜひ、山口副大臣には政治家としての御判断をいただきたいと思うんですね。実は、この話は、後ほど申し上げる私の提案と関連する話ですから、ちょっとあと十分だけ聞いていていただけませんか。
先ほども若干お答えがございましたけれども、改めて御質問をいたします。
年末越えの資金、これは当面の焦眉の急ですよ。この12月、どうやって越すか。確かに相談窓口はできました。政府系の金融機関にお今殺到していますよ。しかし、やはり足利銀行というのは、御案内のように、栃木県の中小企業の60%のシェアを持っているんです。足利銀行だけとしかつき合っていない企業もたくさんあるんですよ。こういう企業に対して、おまえら、政府系行ってみろ、ほかの金融機関行ってみろと言ったって、なかなかできるものじゃないんです。
年末越えの資金、どうなさいますか、要注意先に、あるいは要管理先、破綻懸念先。でも、例えば、実際は、残高がふえなければその範囲でニューマネーを出しているんですよ。それがリレーションシップバンキングなんです。その点いかがですか。
伊藤達也 内閣府副大臣
先生御指摘のとおり、この足利銀行に対しては年末の資金繰りが大変心配されるところでございまして、この点に十分配慮をして、引き続き地域に円滑な資金供給が行われるよう、私どもとしましては、業務適正化命令、これを11月29日付で発出しているところでございます。この中で、「預金者及び取引先等との取引において支障が生じないよう万全を期すこと」、そして、「善意かつ健全な借り手に対して、円滑な資金供給を図るよう配意すること」を命じたところでございます。
これを受けて、同行におきましては通常の融資対応がなされているものと承知をしておりますが、先生が御心配されているのは、その要注意以下の方々の件ではないかと思います。こういう要注意先以下の債務者についても、個々の債務者の実情に応じてきめ細かな対応がなされるよう、私どもとしては十分に配慮していかなければいけないというふうに考えておるところでございます。
渡辺喜美
今、足利銀行は、経営監視チームというんですか、進駐軍が今週の月曜日から常駐をしています。したがって、この進駐軍の御意向を受けてすべての業務が動いているわけでございまして、このお墨つきがなければ何にもできない、そういう状況なんですよ、実際。したがって、これは国の責任は重大ですよ。冒頭申し上げたように、破綻をさせてしまえば生きているものは必ず劣化をしていくんです、必ず腐っていくんです。この流れを食いとめることが今回問われているんです。預金保険法102条ができて初めて3号措置が適用された、その真価が問われますからね。よろしくお願いします。
金融危機対応勘定というのが今回の公的資金で使われる財布ですね。たしか1兆9,000億円ぐらいしかもう残りがないんだと思います。だんだん少なくなってきちゃったんですね。しかし、お金を惜しんだらだめですよ。釈迦に説法でございますが、預金の切り捨てをしない限り、金融問題というのは延々と財政間題になってまいります。ペイオフはやっていないんですから、今。
ということは、ここで3号措置という一番責任の重い、かつ、お金のかかる措置を選択した以上、新たに投入される公的資金の出し借しみはあってはなりません。
いつごろ決めるんですか。一体幾ら入れるんですか。
五味廣文 金融庁監督局長
特別危機管理銀行につきましては、受け皿となる金融機関にこの銀行が引き継がれます際に資金援助が行われるということでございます。その際の資産、債務のその差額を資金援助していくということになりますので、現時点では資金援助が幾らぐらいになるかということが申し上げられない、申し上げる材料がないという状態でございます。
また、いつごろになるかというのも、今後、新経営陣、それから政府を含めまして、できるだけ早くということでありますが、現状ではまだいつというようなことが申し上げられる状況にございません。
それから、数字のお話がちょっとございましたが、1兆9,000億余りというのは、これは危機対応勘定がその財源手当てのために現在借り入れを行っているその借り入れの残高、つまり、りそな銀行に投入されました1兆9,600億円分、この分を借り入れて、その借入残高が1兆9,600億円であるということでございまして、この勘定の政府保証枠は15兆円でございます。この15兆円のうち1兆9,600億円分の借り入れが実行されて、今、残高として残っている、こういうことでありまして、まだたくさんございます。
それから、16年度、これはまだ予算要求を申し上げている段階ですが、この「りそな」で使うことになります分を別にして、なお従来と同じ15兆円という枠が確保できますように、16年度においては17兆円の政府保証枠を今要求させていただいております。
枠は用意しておりますので、必要な資金援助に支障が出るようなことはございません。
渡辺喜美
いずれにしても、改革にはお金がかかるということですよ。お金だけ使って改革しないというのもだめ。お金を使わずに改革をやろうというのも、これもできない話なんです。この点は腹をくくってやっていただきたいと思います。
結局、今のお話にもありますように、出口のシナリオなんですよ、問題は。どういうシナリオを思い描いておられるんですか。
引き受け手がないという場合には、安楽死、あるいは対日投資促進で外資系ファンドに買ってもらうという道もあるでしょう。しかし、その場合には、彼らは商売になる部分しか買ってくれませんよ。身ぎれいになった部分だけしか引き取ってくれないわけでありますから、これは地域再生にとっては重大な支障が出てまいります。
あるいは、地域銀行、広域地銀をつくろうなんという話もありますね。だれが言っているのか知りませんけれども、埼玉りそなとくっつけちゃったらどうだとか、地元の地域信用金庫や地域金融機関とくっつけたらどうだとか、他人様の土地に絵をかくような議論がなされておりますけれども、そういう道を選ぶんですか。出ロシナリオ、いかがでしょうか。
竹中平蔵 経済財政・金融担当大臣
先ほど来委員が御指摘の点は、実はまさに我々にとって非常に重い御指摘だと思います。この3号措置というのはまさに初めてであります。この3号措置の真価が問われるんだ、別の言い方をすると、金融庁の真価が問われていると思います。
一点だけ、進駐軍が今行っているというふうにおっしゃいましたが、これはまさに、その意味は、こういう形で措置を講じた場合に、そこにいわば経営の空白といいますか、ガバナンスの空白ができて、通常貸し付けるべき貸し付けが行われないとか、そういうことになると困る。だから、私たちの監視チームを送っております。ですから、先生が御心配することがないように、その監視チームをぜひ機能させなければいけないと思っております。
その金額等々について今申し上げられることはありませんが、とにかく再生をさせるところはしっかりと再生をさせる。これまでこういう地銀では余りやったことのないような、例えばDIPファイナンスのようなことも、きちっとした経営者のもとで私はやればいいんだと思うんです。そういうことができる経営者を早く見つけて着任させることこそが、先生がまさにお尋ねの、出口に向かうやはり最大のポイントになると思っております。これは人選は大変難しいと思いますが、今申し上げたような趣旨を生かすためにも、この経営陣の人選が本当に重要でございます。出口のシナリオについては、その経営陣のもとで速やかに再生を図って、できる限り早期に3号措置を終える、それが預金保険法の趣旨なんだと思います。
預金保険法の120条には、3号措置を終えるものとしての4つのパターンが規定をされております。受け皿が存続するような合併、受け皿との新設合併、受け皿への営業譲渡、受け皿への株式の譲渡。ただ、いずれの場合にしましても、これは一つの形式でありますから、今回我々がこうした措置をとった趣旨は、地域の経済をしっかりとさせていこう、まさにそういう趣旨に基づいて、この3号の、我々の真価が問われているわけでございますから、その当初の目的を果たすべくしっかりと対応したいと思っております。
渡辺喜美
昨日、栃木県議会では、県民銀行をつくってはどうかという提案がなされました。私どもも大賛成であります。受け皿としてこういった、地域が本当にこの銀行を必要としているんだ、そういう覚悟を示すことが大事なことなんですね。
県民銀行が受け皿として名乗りを上げてきたらどうされますか。資本金、どれくらい必要なのかも教えてください。
伊藤達也 内閣府副大臣
今後の受け皿のあり方については、今大臣が答弁をさせていただいたように、現段階で今後どうなるかという見通しを述べることは困難でございますが、今御質問の県民銀行も含めて、新しい銀行のあり方、そういうことに対してどのように考えるかということにつきましては、一般論として申し上げれば、受け皿金融機関として最低の資本金の規制がございます。これは20億円でございます。こうしたもの、そして自己資本比率規制、国内基準行の場合4%、これを満たす必要があるということでございます。
渡辺喜美
足銀のリスクアセットが3兆円ぐらいですから、そうすると、4%で1,200億円という感じですね。県は今、県庁舎建てかえで500億ぐらい持っているらしいんですけれども、これは建てかえをやめちゃえば、それくらいお金はできちゃうんですね。
また、足りない部分は、県債を発行して郵政公社にでも引き受けてもらえば、郵貯の地域還元になるわけですよ。栃木県から、郵貯だって3兆円ぐらいあるんじゃないですか。県債を発行したら引き受けていただけますか。どうですか、副大臣。
山口俊一 総務副大臣
もう渡辺委員御承知と思いますが、郵政公杜は、市場を通じた地方債証券の購入と、さらには財政投融資計画の一環として行う直接貸し付けの方法、この二つによって地方公共団体に対する郵貯、簡保資金の提供を行っております。
いずれにしても、委員御指摘の県出資分に充てる県債につきましては、具体的にこの起債のスキームあるいは発行条件等が明らかになりましたら、目本郵政公杜に認められた地方公共団体に対する資金運用の制度にのっとって、発行条件等を踏まえ、公杜において運用の是非を判断させていただくということになろうかと思います。以上です。
渡辺喜美
ぜひ前向きに御検討をお願いいたしたいと思います。
やはりこういう状況に至りますと、産業再生ということをあわせて考えなければいけません。私は、栃木県産業再生機構というのをつくれ、そして金融再生と一体でやるべきだという提案をしておりますので、ぜひ御協力をよろしくお願いいたします。
そして、足利銀行は、やり方次第によってはもう見違えるような銀行になれるんですよ。今、レガシーシステムにおんぶにだっこでありますが、オープン系のネヅトワーク型金融サービスを提供できるようになったら、もうシェアがべらぼうにでかい銀行ですから、これだけで見違えてしまうんですね。物すごい収益を上げられるようになるわけでございます。
こういう点、どうですか、大臣、御感想は。
竹中平蔵 経済財政・金融担当大臣
基本的に、同行が持っている潜在力というのは極めて高いものであるというふうに私たちも思っております。
今、そのシステムについての言及がございましたが、これはいわゆる情報システムだけではなくて、ビジネスモデルそのものを革新的にすることによってその力を存分に発揮させろという御趣旨であろうかと思います。
先ほどの新経営陣の選定の際にもそうしたことを十分に考慮して、ぜひこの銀行を再生させたい、3号措置の趣旨をぜひとも生かすように努力をしたいと思います。
渡辺喜美
とにかく、前向きにやっていかなければなりません。ピンチはチャンスでありまして、破綻をさせられた足利銀行が、次の未来には日本一すばらしい銀行になっている、栃木県が真っ先に、疲弊した地域経済の中で先頭を走る地域になっている、我々はそれを目指して頑張りますので、政府もよろしくお願いをいたします。
ありがとうございました。
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