現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産32 > 193.html ★阿修羅♪ |
|
政府は29日夜に、金融危機対応会議を首相官邸で開催し、栃木県が地盤の地銀グループ、あしぎんフィナンシャルグループ(本店・宇都宮市、日向野善明社長)傘下の足利銀行が経営破たんしたと認定し、公的資金の投入を決める。足利銀行が03年9月中間期末に債務超過に陥ったためで、国が預金保険法102条に基づき、足利銀行の全株式を取得して一時国有化し再生を目指す。投入する公的資金は1兆円を超える見通し。預金は全額保護され、営業も通常通り継続する。
足利銀行には、金融庁が27日に03年3月期末に債務超過だったとする検査結果を通知。同行はこれを受けて9月中間決算の確定作業に入っていた。だが、監査法人から、将来の利益を前提に過去の納税分の一部が戻ってくることから、自己資本に組み込みが可能な繰り延べ税金資産を大幅に圧縮するように求められた結果、自己資本比率が急低下。9月末時点でも大幅な債務超過に陥ることになった。
政府は、足利銀行に対する公的資金投入の方法として、今年5月にりそなグループに対して実施した公的資金による資本増強(預保法102条1号措置)の可能性も検討していた。しかし、同行が債務超過となったことから、一時国有化し特別危機管理銀行とする破たん処理(同3号措置)を初めて適用する以外に方法がないと判断した。銀行が破たん処理されるのは、02年3月の中部銀行以来。
足利銀行に対する破たん処理では、預金保険機構が全株式をゼロ円で強制取得することで一時国有化する。株式は無価値になり、株主責任も問われる。政府が派遣する新経営陣は旧経営陣の責任を追及するとともに、不良資産を整理した後で、営業譲渡する金融機関を探す。
足利銀は29日臨時取締役会を開き、公的資金投入の申請を決定し、同行の頭取を兼務する日向野社長ら経営首脳が退任する。日銀は資金繰りの支援のために、同日中に臨時政策委員会を開き、特別融資を実施できる体制をつくる。
足利銀は県内の観光産業向けなどバブル期の過剰融資が焦げ付き、経営が悪化。98、99年に3回にわたり計1350億円の公的資金の投入や地元自治体の増資引き受けなどの支援を受けたが、経営再建に失敗した。政府は預金や貸し出しで県内シェア4割以上を持つ足利銀の破たんで地域経済に混乱が生じないよう万全を期す方針だ。【白戸秀和】
◎ことば=預金保険法102条
首相が「国または地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずる恐れがある」と認めた場合、金融危機対応会議を開き、預金を全額保護したうえで、金融機関に公的資金を投入できることを定めた条項。時限立法だった金融再生法に代わり01年4月施行された。
投入方法は(1)自己資本が足りない金融機関への資本増強(1号)(2)債務超過か預金の払い戻しを停止する恐れがある金融機関に金融整理管財人を送り、預金保護のため資金援助する(2号)(3)債務超過でかつ預金の払い戻しが停止する恐れがある金融機関の全株式を政府が0円で取得し、特別危機管理銀行にする(3号)――の3種類がある。
[毎日新聞11月29日] ( 2003-11-29-12:11 )
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/20031129k0000e020032002c.html