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11月23日(ブルームバーグ):ブッシュ米政権が中国の一部の製繊維製品に対する輸入制限の発動を発表した18日、米財務省は9月の海外からの対米証券投資が落ち込んだと報告した。外国貿易と国際投資の流れが循環的な性格を帯びており、米国のように輸入が輸出を上回る国は、海外からの投資資金の流入に依存していることを思い出させてくれた。
米財務省の報告では、対米証券投資の買い越し額は42億ドル(約4600億円)と、1998年9月以来の低水準となった。米国は巨額の経常赤字に陥っているだけに、重大なニュースだ。米国の対中貿易赤字は9月に過去最高の127億ドルに達し、1−9月期の累積赤字は前年同期比で22%増加している。
米国の貿易赤字に関する報道を問題視するのは通常、頑固な保護主義者だけだ。これまではほとんどの場合、外国人投資家や外国政府による米国の株式・債券へのどん欲な投資の結果、米国への資本流入がプラスとなり、経常赤字は簡単に穴埋めされてきた。ところが9月は、米国債投資額で世界3番目の中国政府が米国債保有額を18億ドル減らし、米政府系機関債を9億ドル売り越したことが判明した。
問題点
9月の統計が提起したのは、外国からの対米証券投資熱が破たんしかねないという問題だ。資本流入が小休止しただけかもしれない。投資パターンが本当に変化したかどうかが分かるまでには、しばらく時間がかかるだろう。ただ、一つだけ明白なのは、外国が対米投資中止を決めれば、ドルは急落するということだ。
中国の貿易黒字の規模や伸びをめぐっては、数年前から米議会で批判の嵐が吹き荒れている。ブッシュ政権は今回の繊維製品の輸入制限発動により、中国に対し、世界貿易機関(WTO)加盟合意の条件を強制できることを知らせた。
WTOは加盟国に輸入増加率を前年比7.5%に抑制することを認めており、今回の措置は全く合法的なのだが、保護貿易主義のきらいがあるのは否めない。大統領選挙まで1年足らずだと考えると、選挙対策というにおいも漂ってくる。ブッシュ政権下では米製造業で260万人余りの雇用が失われており、次の選挙戦で貿易が大きな争点になるのは確実だ。
中国の反応
問題は、中国が繊維輸入制限をどう解釈するかということだ。全面的な貿易戦争の前触れだと受け止めるのだろうか。
最初の手掛かりとなるのは、中国商務省からの反応だ。同省は、米国が自由貿易原則に反していると批判した。中国政府当局者は大豆買い付けのための訪米を「技術的問題」を理由に延期。その後、国営新華社通信は、馬秀紅・商務次官の発言を基に、中国が米製品に対する関税引き上げを検討していると報じた。
繊維製品の輸入制限発動というリスクをとったブッシュ米政権は、9月の対米証券投資統計に注意を払った方がよさそうだ。中国が米国に欲しくない衣料品を購入させることが不可能なら、米国も、中国などの国に米国債の購入を強要できないはずだ。
米国の多額の財政赤字を考えると、主要貿易相手国による米国債の不買運動は、債券利回りの上昇という結果を招くことになる。そうなればブッシュ政権も歓迎できないだろう。(デービッド・デローザ)
(注:デービッド・デローザ氏は、米デローザ・リサーチ・アンド・トレーディング社長で、エール大学経営学部助教授を務めています。コラムの内容は同氏自身の見解です)
Last Updated: November 27, 2003 01:49 EST
http://quote.bloomberg.com/apps/news?pid=80000003&sid=aDOEQKau.hp0&refer=top_kaigai