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11月24日(ブルームバーグ):ドルを好む人を探すのは難しい。
先週はその傾向が一層鮮明になった。背景にあったのは、1)外国投資家による米国株・債券の買い越し額が9月に減少したことを示す2カ月前の統計、2)外国投資家だけでなく国内投資家にも影響を及ぼす可能性がある貿易戦争への懸念、3)米国の経常赤字をめぐる漠然とした不安――だ。米国の経常赤字が国内総生産(GDP)に占める割合は2四半期連続で5%を超えている。
ブッシュ政権は18日に中国繊維製品の一部を対象にした輸入制限を発表。この制限は、すでに火の手が上がっていた貿易問題に油を注ぐものだった。米政府には、鉄鋼セーフガード(緊急輸入制限)が世界貿易機関(WTO)協定違反と認定されたことに対処する課題も残っている。
米ケイトー研究所主催の年次会合で18日講演したグリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、保護貿易主義に対して警告を発し、「経常収支の不均衡の大きさを考えると、新たな保護主義的試みは、世界経済の柔軟性を著しく低下させる可能性がある」との考えを示した。
「穏当な」解決方法
一方、同議長は、経常収支の不均衡は「穏当な」方法で解決できる可能性があるとも指摘した。その理由を「経済の柔軟性が高まっていることにより、各国は変化する環境によりスムーズに対応できるようになった」と説明。保護貿易主義はそうした対応をより困難なものにするとの考えを示した。
経常収支の赤字をめぐるさまざまな議論には、忘れられがちな事実がある。それは、経常収支と資本収支は「常に均衡している」(調査会社ハイ・フリークエンシー・エコノミクスのチーフエコノミスト、カール・ワインバーグ氏)という点だ。
安価な中国製品を購入するために米国外に流出したドルは、外国投資家が米国の株式や債券に直接投資する形で米国内に戻ってくる。グリーンスパン議長は、経常収支が資本収支を先導しているのか、またはその反対なのかを判断するのは難しいとの見方を示している。
直感的に言えば、ドルの方向性は因果関係を反映しているようにみえる。 1990年代後半、米国株市場には外国から大量の資金が流れ込んだ。その結果ドルは上昇。この時は資本収支がドルの方向性を決めたことになる。
反対に経常収支が主導権を握るとドルは下落するようだ。外国人投資家の対米投資意欲が衰え、米国の資本収支黒字が縮小すれば、ドルや米国株・債券相場は下落することになる。
タイミングがすべて
理由は分からないが、資本の純流入は悪いことで、モノやサービスの純流出は良いことだと受け止められる風潮がある。
調査会社ビアンコ・リサーチ(シカゴ)のジム・ビアンコ社長によると、この資本の純流入の持続性に疑問を投げ掛けたのが、財務省の統計だったという。9月の外国投資家による米国株・債券の買い越し額は158億ドルと3年ぶりの低水準を記録した。
この統計についてビアンコ氏は「月間ベースの経済統計は心電図のようなものだ」として、12カ月全体の数字を重視していると指摘。先週は「ドルの対ユーロ相場が最安値を更新した日と財務省の統計の発表がたまたま重なっただけだ」と言い、エコノミストはかねてから、米国の経常赤字は「持続不可能」との見方を示していたと語った。
だれを批判すべきか?
米銀大手J.P.モルガン・チェースの米国担当シニアエコノミスト、ジム・グラスマン氏は「暗に求められているのは、米国の減速だ」と言う。つまり米経済には成長ペースの減速が、その他の国には成長加速が必要ということだ。そうなれば米国の輸出は増加し、輸入は減少する。
ただ、この処方せんの明らかな問題は、中国と並んで米国が世界経済のけん引役を担っているという点だ。
民間調査機関、全米景気調査局(NBER)のエコノミスト、アンナ・シュワルツ氏は「米国の経常収支を左右するのは米国以外の国々だ」と指摘。「米国以外の国々は、米国にモノやサービスを輸出し、手にしたドルで米国資産を購入する考えだ。こうした状況にある以上、米国に責任があるとはいえない」と語った。
どちらであるにしろ、ドル安論者の考えが変わる可能性は低いのだろう。(キャロリン・ボーム)
(ボーム氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
Last Updated: November 26, 2003 00:02 EST
http://quote.bloomberg.com/apps/news?pid=80000003&sid=a5CcDqOwzn.s&refer=top_kaigai